DeNAで実績を残したバウアー。しかし、メジャーからのお呼びはいまだにかからない。(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 シーズン開幕が迫るなかで、日本球界も知る大物の去就は不透明なままだ。今オフにDeNAとの単年契約が終了となったトレバー・バウアーだ。

 フリーエージェントとなった33歳の元助っ人は、今オフにメジャーリーグへの復帰を懇願。昨年末から代理人を通じ、新天地を模索してきたが、依然として契約先は見いだせていない。現時点では噂すらも立っておらず、当人の願いが叶う可能性は限りなく小さいと言える状況だ。

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 実力に疑いの余地はなく、衰えも見られない。バウアーはDeNAプレーした昨季に19先発で10勝をマーク。防御率(2.76)、WHIP(1.15)、QS率(78.95%)といずれもハイアベレージを記録し、サイ・ヤング賞受賞(20年)投手のポテンシャルをしっかりと印象付けた。

 それでもバウアーへの逆風はなくならない。21年に324試合の出場停止処分(その後に処分は194試合に短縮)を受けた女性への性的暴行疑惑(昨年10月に和解が成立)をはじめとする彼に対する「問題児レッテル」が、コンプライアンスを重視する各球団との障壁になっていると見られている。

 バウアー獲得が「難しい」と見る声は米メディアでも絶えず上がっている。メッツの専門サイト『Inside The Mets』のジョー・ナジャリアン記者は、千賀滉大が右肩痛によって開幕が絶望的な状況となったチーム状況をリポート。そのなかで「エースが負傷したが、そのオプション(バウアー獲得)にメッツは興味がない」と断言し、次のように論じている。

メッツがバウアーとの契約を望んでいないという事実に驚くべきことではない。過去にいくつかの不祥事を起こした投手と契約すれば、明らかに反感を買う。それはニューヨークの巨大なメディア市場によって増幅される。センガの役割を担える新たな投手を探すにしてもバウアーではない」

 バウアー自身は国内のニュース番組に出演して「僕は間違いを犯した」と謝罪するなど、猛省する姿勢を示している。それでも「興味がない」と断じられ、沈静化の一途をたどる状況はあまりに厳しい。

 日本球界復帰のウワサも囁かれるバウアーだが、このままいけば、日米問わず開幕ロースター入りは限りなく不可能。果たして、怪腕はどこに向かうのだろうか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

沈静化に突き進むバウアーの苦境 MLB復帰を望むもメッツ番記者が語った“リアル評”「契約すれば、反感を買う」