2大会連続6度目のオリンピック出場を目指すなでしこジャパンは、24日に「パリオリンピック2024 女子サッカーアジア最終予選第1戦」で朝鮮民主主義人民共和国北朝鮮)女子代表と対戦した。

 『パリオリンピック2024女子サッカーアジア最終予選』はホームアンドアウェーで行われるが、北朝鮮ホームの第1戦が開催地の選定で難航。アジアサッカー連盟AFC)が途中から第3国開催を提案し、最終的には21日にサウジアラビア・ジッダにある「プリンスアブドゥッラー・アル・ファイサル・スタジアム」で開催されることに決まった。急遽の長距離移動を余儀なくされ、非常に難しいコンディションで試合に臨むことになった。

 なでしこジャパンのスタメンは、GKが山下杏也加、最終ラインは清水梨紗、古賀塔子、南萌華、高橋はな、中盤は熊谷紗希(キャプテン)がアンカーを務め、インサイドハーフ長谷川唯と長野風花、前線には藤野あおば、田中美南、植木理子が入り、4-3-3の布陣になった。

 立ち上がりから緊張感が漂う展開となった。北朝鮮が5バックを採用し、リスクを冒さずプレーしたこともあり、なでしこジャパンが圧倒的にボールを支配する展開となる。

 しかし、27分にピンチが訪れた。高い位置でキム・キョンヨンにボールを奪われると、そこからカウンターを許し、最後はミョン・ユジョンに右足を振り抜かれる。シュートは枠を捉えられたが、これはなでしこジャパンの守護神、山下が好セーブ。得点を許さなかった。

 なでしこジャパンは守備意識の高い北朝鮮に苦しめられる。中央に縦パスを入れられず、なかなか効果的な攻撃を仕掛けることができなかった。

 それでも42分、なでしこジャパンに初めての決定機が訪れる。右サイドから藤野がクロスを入れると、相手のクリアミスを誘発。ペナルティーエリア内でこぼれ球を拾った田中がドリブルから左足でシュート。相手に当たってコースが変わったボールは、ゴール中央に飛んだが、惜しくも相手GKの好セーブに阻まれてしまった。

 前半はこのまま両チームともに得点が生まれず、ハーフタイムに突入した。

 後半も一進一退の攻防が続いたが、前半よりも北朝鮮が攻撃的な姿勢を強めてきた。ボールも北朝鮮に支配される時間が前半よりも長くなった。

58分にはキム・キョンヨンにペナルティーエリア内への侵入を許し、深い位置からマイナスのクロスを供給され、最後はミョン・ユジョンに合わせられる。これは枠を外れたが、失点覚悟の危険な場面だった。

 その後も北朝鮮に攻め込まれ、我慢の時間帯が続くなでしこジャパン。73分には、北朝鮮の右サイドからリ・ミョングムにクロスを上げられると、ゴール前でミョン・ユジョンにヘディングを許す。シュートはクロスバーに当たり得点にはならなかったが、失点覚悟の場面だった。

 球際の激しい攻防が続き、北朝鮮のラフプレーも目立ったが、なでしこジャパンは最後まで冷静に戦い続けた。そして、このまま第1戦はスコアレスドローで終了。難しい状況で臨んだアウェイゲームを最低限の結果で乗り切った。

 セカンドレグは2月28日(水)18時34分から国立競技場で開催される。2戦合計の得点が多いチームが出場権を獲得。同点の場合は第2戦後の延長戦、PK戦で決着をつけるレギュレーションとなっている。

なでしこジャパンMF藤野あおば[写真]=Getty Images