アメリカ・フロリダ州の住民たちが、夜になると発生する奇妙な騒音で眠れずにいるという。調査の結果、その音はある魚が交尾している音の可能性があるそうだ。『Smithsonian Magazine』『Washington Post』などの海外メディアが報じている。
■夜な夜な聞こえる重低音
フロリダ州のタンパ湾の奥に位置する海沿いの街タンパでは、年明けから住民たちが奇妙な問題に直面している。夜になるとどこからか謎の低音が大音量で聞こえ、時には家中に振動が伝わることもあるほどだという。
本来であれば騒音の原因をいち早く解明し、事態を解決したいところだろう。だが、どうやら相手が「生き物」のため、住民たちも困っているようだ。
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■魚が交尾している音?
地元の科学者らが説明したところによると、騒音の原因は「魚の交尾」の可能性があるという。
騒音の主と見られているブラックドラムフィッシュは気温の低い冬に交尾し、その際に浮袋周辺の筋肉を曲げることで、太鼓のような音を出す。
そして交尾のために集まる数は時に海を埋め尽くすほどになるというから、その音が騒音のように感じられるのも無理はないのかもしれない。
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■クラウドファンディングで真相究明
タンパで起こるこの現象は2021年から観測されており、住民たちは音についてこれまでにさまざまな仮説を立てている。
ある人は空軍基地から発生している音だと主張し、またある人はパーティ用のボートが響かせる重低音、あるいは建設作業が原因なのではないかとも考えられてきたようだ。
そこで住民たちは音の発生源を突き止めるため、サラソータにあるモート海洋研究所&水族館で音響プログラムマネージャーを務めるジェームス・ロカシオさんに、調査を依頼しようと考えた。そのための資金は、クラウドファンディングサイト『GoFundMe』で集めることにしたという。
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■原因が分かっても…
住民からの依頼を受け、ロカシオさんは2ヶ月間にわたり海中にマイクを設置。するとブラックドラムフィッシュの騒音は、どうやらトンネルなどを通って民家まで伝わっている可能性があることが分かった。
また、この現象は1970年代から「プンタ・ゴルダのうなり声」などとして知られていたが、近年になりブラックドラムフィッシュの個体数が急増していることも、原因の一つとして考えられるという。
しかし、眠れない夜はすべて魚のせいだということが判明しても、住民たちにできることは限られている。寝る時に耳栓をして、魚たちの繁殖期が過ぎるまで耐えることくらいだというのだ。
タンパの住民の1人は、「結局のところ、これは自然の問題なので、我々にできることは何もありません」と諦めたように語っている。
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