●老舗の町中華が大人気の上野・御徒町。実は「餃子の聖地」とも知られています。人気町中華3軒の餃子をテイクアウトで食べ比べしてみる！
年代を問わず多くの人で賑わう街、上野・御徒町界隈。古くから続く個人商店の町中華が今も現役バリバリで営業しており、こういった飲食店の散策も実に楽しいエリアです。
町中華店では当然「餃子」が人気であり、一部餃子ファンの中では、このエリアの店を「日本一」と評する声もあるほどです。これを真に受ければ「餃子の聖地」とも言える上野・御徒町界隈ですが、今回は同エリアの人気町中華3店の餃子をテイクアウトして食べ比べ。どんな違いがあるのかを比べながら、ご紹介します。
長い歴史の中で巨大化？ 名物餃子で大人気の『昇龍』
まずは、「上野で餃子」の筆頭とも言える町中華の老舗『昇龍』の餃子からいただきます。創業から70年以上愛されている町中華の名店で、「『昇龍』の餃子で育った」という人は世代を問わず多くいることと思います。
『昇龍』の餃子は、まずサイズが通常の2倍以上あります。かなり古くから通っていた人によれば「昔は今ほど大きくなかった。だんだん巨大化していった」という声もあり、とにかく美味しいのが餡です。
野菜たっぷりの餡で、巨大ですがぺろっといただけます。また、この餡に醤油、ラー油、酢が染み込むことで旨みがグーンと引き上がり、とにかくご飯がよく進む味に変化。薄めながらもモチっとした食感の皮との相性も抜群で、不思議とクセになる味わいです。
土日・祝祭日などには、この餃子目当てに行列ができることもある『昇龍』。上野・御徒町界隈で餃子を語る上では絶対に外せない名店です。
ビールが恋しくなる餃子の優等生！『珍々軒』
続いては『昇龍』の斜向かいにある1948年創業の老舗『珍々軒』。戦後の上野駅前で屋台のラーメン屋から始まったお店で、こちらも70年以上の歴史があります。『珍々軒』は、どのメニューを頼んでも「ザ・町中華の優等生」的な味で、何故だか泣きそうになるほど美味しいです。特に人気なのが、シンプルなチャーハンやラーメンですが、もちろん餃子もシンプル・イズ・ベストな味わいです。
『昇龍』ほど大きくないですが、大きめサイズの餃子は、野菜と肉が程よいバランスで詰まており、ほのかに感じるニンニク感からビールが欲しくなる一品。『珍々軒』がある界隈は、店の外にテーブルを広げた焼鳥店、モツ煮店などが複数あり、『珍々軒』も居酒屋的な使われ方をしており、酒のつまみとして、ド定番メニューがやはり餃子です。
『珍々軒』の餃子は、他のメニューとの相性も抜群。優等生的な『珍々軒』を象徴する一品と言って良いかもしれません。テイクアウトにも快く応じてくれるので、上野・御徒町界隈の散策のお土産にもバッチリです。
もっちり皮が売りの行列ができる町中華！『中華珍満』
最後は、御徒町エリアにある『中華珍満』の餃子をいただきます。時間帯によっては行列ができるほどの人気店で、特に餃子は絶大な支持を受けています。「餃子百名店」にも選ばれた実績もあり、餃子は店内・テイクアウトともに売り切れてしまうこともあるため、確実に食べたい場合は、早い時間に行くのがベターです。
『中華珍満』の餃子は一見シンプルですが、かなりハイレベル。噛み締めるごとに餡から溢れ出す多彩な旨みを感じられます。また、野菜と肉、味付けの絶妙なバランスを包むもっちりとした皮がクセになり、食べ応えも十分です。
無数にある『中華珍満』の町中華メニューの中でも、特にダントツの支持を受ける理由がよくわかります。ニンニクは、効いているものの比較的優しめ。しつこくない一方で、十分な味わいと満腹感を得られる繊細な設計によって完成された味が『中華珍満』の餃子のように思いました。
まとめ
ここまで上野・御徒町界隈の町中華の名店の餃子を紹介しましたが、いずれも絶品揃いで甲乙つけがたいと思いました。食べ応え抜群のジャンボサイズなら『昇龍』、シンプルかつ酒やご飯にも合う餃子なら『珍々軒』、もっちりとした皮と餡そして繊細な旨みを感じたい場合は『中華珍満』。このようにチョイスすべきだと思いました。
昨今、後継者不足や大型資本の飲食チェーンの濫立などから、逆に「贅沢品」とさえ感じられる町中華。こういった町中華がエリア内に現役バリバリで存在し、そして、その味を支持し続ける常連さんたちが通い続ける上野・御徒町界隈。「餃子の聖地」という呼び名も、あながちオーバーではないと思いました。食べ歩きはもちろん、テイクアウトにももってこいの上野・御徒町界隈各店の餃子。ぜひあなも味わってみてくださいね。
（取材・文◎松田義人（deco））
コメント