遡ること14年の2010年3月4日、筆者は池谷幸雄の参院選出馬会見取材のため、都内のホテルを訪れていた。池谷は前日のブログで、比例代表候補のひとりとして、民主党から公認されたと報告。そして会見では、

「(政治も体操も)両方とも得点が出るのは同じ。相手がどう評価するかというところも似ています。全国民に体を動かすことの大切さを知ってもらいたい。トップ当選を目指して頑張ります」

 満点での着地を目指すと、熱い思いを語ったのである。

 池谷はソウルバルセロナと2大会連続でメダルを獲得した元五輪体操選手だが、引退後はタレントに転身。1995年に元アイドルの樹あさ子とデキ婚して女児をもうけるも、1997年テレビ朝日・吉元潤子アナとの不倫朝帰りを激写され、離婚した。不倫のイメージがついたことで、テレビからフェードアウトすることになってしまったのである。

 ところが2000年、再び脚光を浴びることになる。12歳上で2人の子供を持つバツイチ女性実業家との電撃再婚だった。当時、池谷を取材したスポーツ紙記者によれば、

「彼は翌年、自身の体操クラブを設立しているのですが、その資金も奥さんがスポンサーだったとされます。住まいは恵比寿にある高級ホテルで、ポルシェを買ってもらい、まさに『逆玉』を地でいくような生活ぶり」

 ところが、である。五輪で見せた完璧な「着地」は私生活ではなかなかうまくいかず、この結婚も4年で破綻する。バツ2となってからは体操教室での後進の育成を中心に、講演やイベント出演を行ってきた。

 そんなこともあってか、突然の政治家転身宣言に芸能マスコミは驚いたわけだが、選挙戦での「選挙カー上での倒立」という仰天パフォーマンスもむなしく、落選。ただ、出馬によるメリットは大きかったのか、2012年のロンドン五輪では解説者として返り咲くことになった。

 そんな最中にまたも勃発したのが、「女性自身」が報じた「一夜妻が妊娠7カ月を激白!」という衝撃のスキャンダル。相手女性は電子書籍「女を虜にする極秘テクニック」などの著書を持つ、作家の西麻布よしこ氏だった。

 2人は知り合って3回ほどデートを重ねた後、彼女の妊娠がわかったのだという。「女性自身」の取材に西麻布氏は「DNA鑑定にも応じてもらいました。結果は完全に一致しました」とするも、当初は金銭的援助を求めないなど、円満解決に向かうと思われた。それがなぜか、すったもんだするハメに。

 池谷はその後、2020年にも29歳のグラビアアイドルから二股をかけられていたと告発され、大騒ぎになった。

 だが、体操で鍛え抜かれた根性とパワーは健在。2022年にはなんと、3度目の結婚をしている。かつてバルセロナ五輪後のインタビューでは、

「取材を受けていたため、ビーチでトップレスで泳ぐ欧州の女子選手を見られなかった。それが一番の後悔」

 と語っていた池谷。そう、日本の軟弱人男子たちは、こぞって彼の爪の垢でも煎じて飲むべきなのかもしれない(笑)。

(山川敦司)

1962年生まれ。テレビ制作会社を経て「女性自身」記者に。その後「週刊女性」「女性セブン」記者を経てフリーランスに。芸能、事件、皇室等、これまで8000以上の記者会見を取材した。「東方神起の涙」「ユノの流儀」(共にイースト・プレス)「幸せのきずな」(リーブル出版)ほか、著書多数。

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