【家電コンサルのお得な話・169】大阪市が発表した認可保育施設の無償化対象の拡大は、多くの家庭にとって朗報と言えるだろう。9月から第2子までの保育料が無償化されることになる。この政策は、子育て家庭の経済的負担を軽減し、誰もが安心して子育てできる社会を目指す一環として導入される。

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 保育料の無償化の対象となるのは、特定教育・保育施設(保育所、認定こども園)や特定地域型保育事業(小規模保育事業、家庭的保育事業)に在籍する0~2歳児クラスの第2子以降の児童である。

 認可外保育施設については対象外であり、その点に関しては別途、国の制度や市の独自制度に関するホームページで確認するといいだろう。

 この政策の背景には、少子化対策と子育て支援の強化がある。経済的な理由で子育て世帯が第2子以降の子どもを持つことをためらうケースが少なくない。保育料の無償化は、こうした家庭の負担を軽減し、より多くの家庭が安心して子どもを持つことができるようにするためのものである。

 また、児童のカウントにおける所得制限の撤廃も大きな改善点である。これまでは年収360万円以上の世帯は、小学生以上の子どもをカウントの対象外としていたが、これからは年齢や保育施設等の利用の有無に関わらず、生計を一にするきょうだいを年長順にカウントする(図1~3参照)。この変更は公平性を高めるとともに、より多くの子どもたちが支援の対象となることを意味している。

 しかし、この政策には予算の議決を経る必要があり、3月の市会での承認が待たれる。政策の実施には財政的な支援が不可欠であり、市会での議論は子育て支援の将来にとって重要な意味を持つことだろう。

 また、経済的な支援だけでなく、子どもたちの豊かな成長を促す環境を整えることが重要である。無償化政策を機に、保育施設の質の向上や教育内容の充実も同時に推進されるべきである。

 ただ、この支援策は「すでに結婚している方」に向けた意味合いが強く、この支援策によって「結婚しよう」という動機付けにはならない。少子化対策には「結婚を増加させる」ことが重要であり、子育てと結婚のしやすさは両輪である。

 結婚に不安を抱かせず、子どもたちが健やかに育ち、家庭が子育てを喜びとともに経験できる社会の実現に予算を使ってもらえたらと思う。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

■Profile

堀田泰希

1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。

図1 児童のカウントにおける所得制限等の撤廃(出典:大阪市)