反響の大きかった2023年の記事を厳選、ジャンル別にトップ10を発表してきた。今回は該当ジャンルがなかったが実は大人気だった記事を紹介する!(集計期間は2023年1月~10月まで。初公開2023年4月20日 記事は取材時の状況です)
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 絶対にバレないと思っているのか開き直っているのかは人それぞれだが、たとえ既婚者であっても不倫相手を自宅に連れ込む者もいる。当然、家族と鉢合わせになれば修羅場になるのは間違いない。

 銀行員の近藤佑人さん(仮名・34歳)も中学時代、そんな衝撃的な体験をしたことがある。学校から帰宅すると“父親ではない男性”が当時小学校低学年だった妹を怒鳴る声が聞こえてきたという。

◆幼い妹を怒鳴ったことに我を忘れ…

 今すぐ妹に駆け寄りたい気持ちをグッとこらえ、状況を把握しようと廊下からドア越しに聞き耳を立てるも聞こえるのは男性の怒鳴り声ばかり。しかし、何がどうなっているのかまったく理解できず、結局勢いよくドアを開けて部屋の中に入ったそうだ。

 すると、見た感じアラフォーくらいの男性がソファーに座ってビールを飲んでおり、母親はつまみでも作っていたのかキッチンに入ったまま。泣いている妹の姿に頭に血が上っていた近藤さんは男性に思い切り睨み、「テメェ、○○(※妹の名前)のことを泣かしやがって……」と言って男性にいきなり蹴りを入れてしまったとか。

◆母親の不倫相手と殴り合いに

「咄嗟に腕をガードされ、しかも殴り返して応戦してきた。恥ずかしながらそれで完全にキレてしまいました」

 銀行マンらしい現在の知的な雰囲気とは違って、当時の彼は地元不良グループの一員だった問題児。普段からケンカに明け暮れ、何発かはパンチを貰ったがまったく怯むことなく逆に男性のことをボコボコに。相手の倍以上の拳を顔面に叩き込み、気がつくと男性は大量の鼻血を流していた。

◆妹は口止めされていた

「母親が泣き叫びながら止めに入ったので途中でやめましたが、2人は私と妹を置いて逃げるように家を出て行ってしまったんです。男性は以前からウチの家に入り浸っていたようですが、私は普段から家にあまり寄り付かなかったので全然気が付きませんでした。父は長期の出張で家を空けてばかりでしたし、妹は当然知っていましたが母から固く口止めされていたそうです」

 このときも父親は地方に出張中だったが近藤さんが連絡して事情を説明。すると、予定を切り上げて翌日には帰宅。ところが、母親は前日に浮気相手と行方をくらましたまま戻って来なかった。

「父は以前から母の不倫を薄々気づいていたようですが私と妹のこともあり、あえて行動を起こさなかったそうです。けど、怒鳴られている妹を助けもしなかったことに父が激怒。弁護士を挟んで離婚協議をすることになりました」

◆手を出したことで慰謝料は減額に

 近藤さんと父親は互いに一緒に暮らすことを望み、父親が親権をもつことで合意したが、問題は妹。母親が養育費欲しさに親権を主張して譲らなかったのだ。

「妹が頑なまでに母親のことを拒んだのもありますが、最終的に父が『お前ら2人を虐待で警察に訴えてもいいんだぞ』と脅し、それでようやく諦めてくれました」

 ちなみに不倫相手は殴られたことで鼻の骨が折れていたらしく、母親からは「お前なんか産むんじゃなかった」との恨み節も。だが、そんな捨てゼリフもどこ吹く風で「こっちもお前みたいな母親から生まれたくなかったわ」と言い返したそうだ。

「ただし、父は私が浮気相手を殴ったことに対しては謝罪。慰藉料を100万円減額して200万円を請求したそうです。父からは理由がどうであれ人様に手を出したことで一発殴られましたが、妹を守ったことについては『よくやった』と褒めてくれました」

◆母親とは関係修復も普通の親子には戻れない

 その後、母親は祖父母からも縁を切られ、浮気相手とも破局。さらに彼の妻からも慰藉料を請求されたが貯金もなかったため、温泉旅館の住み込みの仲居をしながら返済に追われていたそうだ。

「けど、ザマーミロとは全然思えなかったし、自分のせいで家族を壊してしまったとの負い目がありました。正気に戻った母親からは後に謝罪もあり、今では私や妹とも連絡を取り合っていますが、みんな必要以上に遠慮してますね。いつか普通の親子の関係に戻れたらいいと思う反面、やっぱり許せない部分もあるし、難しいのかもしれません」

 不倫で一番傷つくのは当事者やパートナーではなく子供なのだ。

<TEXT/トシタカマサ>

【トシタカマサ】
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。

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