2024年初から、非課税投資枠の大幅な拡大や非課税保有期間の無期限化などが盛り込まれた新NISAの運用が開始されましたが、新NISAの登場は今後の相場にどのような影響を与えるのでしょうか。本記事では、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏が、仮に「新NISAバブル」が起きた場合に投資家が注意すべきポイントについて解説します。

経済・相場は複雑怪奇な動きをみせる

経済や相場の今後について、メディアではいろいろな予想が示されますが、それらは結局、当たるときも当たらないときもあります。経済も相場も、いろいろな人の思惑が合わさって複雑怪奇な動きをしています。

また、予想外の出来事もたくさん起こります。たとえば、新型コロナウイルスの感染拡大や、ロシアウクライナの戦争などは、その3ヵ月前ですら予想するのは不可能だったでしょう。

よって、経済や相場の今後について予想するのは困難であるという現実を、まずは理解しておくべきでしょう。

「新NISAバブル」が起きる可能性はある

その上で、想定される展開として「新NISAバブル」について考えてみましょう。

これは要するに、「新NISAによって株式市場への資金流入が起きる」→「株価が高騰する」→「国民の資産が増えて財布の紐が緩む」→「消費が活発になり景気が上向く」という流れです。

「新NISA景気」ともいえるでしょうし、株価高騰が行き過ぎれば「新NISAバブル」と呼ばれることになるかもしれません。このように、新NISAの開始をきっかけとして株式市場や景気が過熱する可能性は十分にありそうです。

ただし前述の通り、相場は多くの市場参加者の思惑が交差することで複雑怪奇な動きをしますから、正確に予測するのは困難です。また、どこまで景気が過熱し、それがどのぐらいの期間続くのかも読めません。

相場の未来はわからないということを前提としつつ、好景気&バブルが発生した場合は、以下のような点に気をつけるようにしましょう。

高値掴みに注意、株価が際限なく上がり続けることはない

バブルが起きた場合にまず気をつけるべき点は、「高値掴み」です。

株価が上昇し続ける様子を目にすると、それに乗り遅れまいとして株を買いたくなるのが人の心理です。そのためにまた株価が上がり、その上昇をみて株を買い増したり新たに買ったりする人がさらに現れます。

このように、連鎖反応的に株価が上昇することでバブルが起きるのです。

しかし、バブルが際限なく続くことはありません。熱狂はどこかの時点で必ず終わりますので、バブルの最終局面となる最高値付近で株を買った人は、大損をすることがあるのです。

バブルが起きたときに注意すべきこと

結局、相場がどういう状況であろうと、安く買って高く売る人が利益を得るのです。そしてどんな相場でもコンスタントに稼ぐためには、とにかく冷静であることが重要です。

仮にバブルが起きたならば、その時点では株を買うことに慎重になるべきで、むしろその時点での保有銘柄を高値で売り、現金を作っておくほうが賢明といえそうです。

一方、バブルは発生せず株価が割安なまま放置されていると感じるならば、買い時かもしれません。しばらく待っている間に好景気&バブルがやってくれば、大きく利益を伸ばせるでしょう。

日経平均株価のPBR・PER・配当利回りを判断材料の1つに

ところで、そもそもバブルが起きているかどうかはどのように判断すればよいのでしょうか。

相場の過熱感を判断するための材料としては、PBR・PER・配当利回りが挙げられます。23年2月21日時点の日経平均株価でみてみると、それらの指標の状況は以下の通りです。

PBR(実績):1.47倍

PER(予想):18.17倍

配当利回り(予想):1.81%

日本経済新聞社ウェブサイトhttps://www.nikkei.com/markets/kabu/japanidx/より

一般的には、PBRは「1倍」が、PERは「15倍」が割安・割高を判断する基準とされています。また、配当利回りは「3%以上」なら、株価は割安とされることが多いため、現在の株価は「やや割高」といえそうです。今後この数字がどうなっていくかに注目し、株式市場が過熱しているかどうかの判断材料の1つとしてみましょう。

(※写真はイメージです/PIXTA)