阿部サダヲ主演の金曜ドラマ「不適切にもほどがある!」(毎週金曜夜10:00-10:54、TBS系)の第5話「隠しごとしちゃだめですか?」が2月23日に放送された。同作は、昭和のおじさんがコンプライアンスで縛られた令和の人々に考えるきっかけを与えていく、完全オリジナルの意識低い系タイムスリップコメディー。第5話では、市郎(阿部サダヲ)が渚(仲里依紗)の父・ゆずる(古田新太)と対面。ここからいろんなことが明らかになっていった。(以下、ネタバレを含みます)

【写真】サカエ(吉田羊)はムッチ先輩(磯村勇斗)と、昭和の頃の自分を少し離れたところから眺めた

宮藤官九郎の脚本によるオリジナル・コメディー作品

脚本は宮藤官九郎が務め、プロデューサーは磯山晶氏が担当。「池袋ウエストゲートパーク」(2000年)、「木更津キャッツアイ」(2002年)、「タイガー&ドラゴン」(2005年、全てTBS系)でタッグを組んできた2人が、令和で新たな作品を生み出す。

同ドラマには、突如1986年から2024年へタイムスリップし、令和では考えられない“不適切”な言動を繰り返す小川市郎役で阿部、バラエティー番組のアシスタントプロデューサーとして働くシングルマザー・犬島渚役で仲が出演。

とあるアイドルに心酔するあまり、その身なり言動すべてを完コピする男“ムッチ先輩”こと秋津睦実を磯村勇斗、市郎と逆で、2024年から1986年に息子と共にタイムスリップする社会学者の向坂サカエを吉田羊、そして、市郎の一人娘・小川純子を河合、サカエの息子・向坂キヨシを坂元愛登が演じる他、袴田吉彦、山本耕史ら個性豊かな面々がストーリーを盛り上げる。また、錦戸亮が若かりし頃のゆずる役で出演している。

■渚、渚の父親・ゆずる、市郎の3人の関係が明らかに

渚(仲里依紗)に“父に会ってほしい”と言われた市郎は、渚の父ゆずる(古田新太)に会うことにした。

そのゆずるに「お父さん」と呼ばれ、当惑する市郎。その時、渚が市郎のスマホに“ある写真”を送った。それは娘の純子(河合優実)が赤ん坊を抱っこしている写真だった。

「は? 抱っこされてるガキは?」という市郎の問いに、渚は「私です」と答え、ゆずるは「渚は純子の娘です」と説明。ようやく理解した市郎は渚に「孫?」と聞くと、「おじいちゃん」と返ってきた。

驚きながらも状況を把握した市郎は、「だからビリビリしたのか」と、下心を持って渚に触れようとした時のことも思い出し、腑に落ちたようだ。「孫に手出しちゃダメ。危ないところだった」とホッとした様子。

ゆずるの変化に「面影ってものがあるんだよ、普通」とツッコむ市郎

孫と義理の息子が目の前にいる。そうなると気になるのは、令和の今、娘の純子がどうしているのか、ということ。

渚たちに尋ねると答えづらそうにしながらも、離婚して今は海外にいると伝えた。純子についてゆずるに聞いてみると、高校3年の時に地元のヤンキー仲間と縁を切って、大学に現役で合格。“女子大生ブーム”に乗っかりモデル事務所にスカウトされ、カメラマンに六本木のディスコに連れていったもらった時に黒服をしていたゆずる(錦戸)と出会った。

そこまで話したところで、市郎に若い頃の自分の写真を見せるが、「面影ってものがあるんだよ、普通」とツッコまれてしまう。

さらに話は進み、市郎の家に純子がゆずるを連れてきた当時の話題に。結婚の許しを得るために。もちろん市郎は2人の結婚を認めようとしなかったが、純子は「もう遅い! おなかに赤ちゃんがいるの」と衝撃的な告白をした。

渚はすかさず「それが私です」と笑顔で答えるが、市郎は、病み上がりのゆずるの胸ぐらを掴み押し倒してしまうほどカッとなってしまった。

■未来に起こる悲劇を聞かされた市郎は気丈に振る舞った

純子はゆずると結婚し、渚も生まれたが、市郎はそれでも2人の結婚を認めなかった。バブルが崩壊し、ディスコ産業が斜陽になり、ゆずるは神戸にある実家を継ぎ洋服の仕立てを行っていた。

渋々だが、市郎は神戸に行き、ゆずるに自分のスーツを仕立ててもらうことにした。採寸などを行ううちに市郎はゆずると打ち解け、純子と3人で朝まで飲み明かすほどの仲になった。

朝になり店を出て、ゆずるが「お父さん、背広が出来上がったらお届けにあがりますね」と伝えると、市郎は「バカヤロウ! 取りにくるよ」と上機嫌。純子は「お父さんを駅まで送ってくる」と言って、店の前でゆずると別れた。

そして1995年1月17日午前5時46分。阪神淡路大震災が発生。市郎と純子は帰らぬ人となった。

ゆずるは令和の現在は都内で「テーラーINUSHIMA」を営んでおり、市郎は3人で喫茶店で話した後日、そこを訪れ、ゆずるから1995年1月17日のことを聞かされた。同じ頃、渚は秋津くん(磯村勇斗)に同じ話を伝えていた。秋津くんは「知ってたんじゃないかな」と言って、以前、渚が市郎と秋津くんに“阪神淡路”の時に母が亡くなったと伝えていたことを指摘した。

市郎は知っていてだまされているふりをしていた。

「でもよかった。ちゃんと打ち解けて、仲直りして、酒飲んだり、孫抱っこしたり、そういうの一通りあるんだ。楽しみだ!」と気丈に振る舞う市郎。その言葉は、自分に言い聞かせる言葉でもあったと思うが、採寸などに手間取って時間がかかったばっかりに市郎たちを震災に巻き込んでしまったことをずっと悔やんできたであろうゆずるへの、父親としての気遣いと優しさでもあったのかもしれない。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

朝まで営業している店で呑みながら談笑するゆずる、市郎、純子の3人/(C)TBS