スーパーバンタム級絶対王者に君臨する井上。彼の王座にはオーストラリアの逸材グッドマンも虎視眈々と狙っている。(C)Getty Images

 昨年12月に史上2人目となる2階級での4団体統一を成し遂げた井上尚弥(大橋)。名実ともにワールドクラスファイターとなった30歳は、各国のハングリーなライバルたちから王座を虎視眈々と狙われる存在でもある。

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 そんな日本の怪物の持つ知名度と話題性を活かそうと燃えるプロモーターたちは少なくない。豪興行大手『No Limit』のジョージローズCEOもそのうちの一人だ。現地時間2月26日、同国のスポーツ専門局『Fox Sports Australia』で、年内に母国で井上と現IBF&WBOのスーパーバンタム級1位のサム・グッドマン(豪州)によるタイトルマッチ開催を画策中だと告白した。

 昨年12月に行われたマーロン・タパレスフィリピン)とのスーパーバンタム級4団体統一戦後に「来年(24年)は3試合やりたいとは伝えている」と明かしていた井上。無論、今後の展開次第ではあるものの、2団体で1位に君臨するグッドマンと拳を交わす可能性も十分に考えられる。

 すでに井上が契約をする米興行大手『TOP Rank』の“重鎮”ボブ・アラム氏との交渉も進めているというローズ氏は、「もしも実現できたなら、これはオーストラリアボクシング界だけでなく、オーストラリアのスポーツ界にとっても大きな出来事だ」と強調。日本を拠点に試合を開催している井上を呼び寄せる野望を打ち明けている。

イノウエは一世一代のファイターだ。私から言わせてもらうと世界一でもある。彼の記録、世界タイトルの数々、そのほか全ての功績を見ても、やってきたことはあまりに驚異的だ。

 彼が残してきた功績こそ、日本の会場を超満員にする理由であり、世界中でこれほど多くのファンを抱えている理由であり、彼が世界タイトル戦に臨むたびに世界中が注目する理由だ。もしも、オーストラリアで開催できるならこれほど歴史的なことはない」

 井上は強敵だ。プロキャリア17戦無敗(7KO)のグッドマンも当然ながら倒すのは容易ではない。その力量の差を熟知するローズ氏は、「現時点でイノウエと比較できるファイターパッキャオになる。マニーもフィリピン人であろうと世界中から敬愛された。イノウエも同じだ」と元世界6階級制覇王者の偉人との比較を展開。そのうえで「リンゴの荷車をひっくり返すのは、グッドマンだ」と指摘。独特な自身の顧客である名手への信頼も寄せた。

 井上が最後に国外で試合を実施したのは、21年6月に米ラスベガスで行ったマイケル・ダスマリナスフィリピン)とのWBA・IBFバンタム級タイトルマッチ。そこからは日本で興行を続け、見事な成果を収めてきている。

 直近の日本開催における井上の成功を見る限り、米国や中東といった“金脈”のある国はともかく、オーストラリア興行の可能性はよほどのプラスアルファがない限りは厳しいように思えなくもない。

 それでも「オーストラリアのためにも開催したい」と願うローズ氏の熱い想いは届くのか。そんな御大の願いを叶えたいであろうグッドマンには、現地時間3月13日に行われるマーク・シュライブス(豪州)戦で、圧倒的な結果が求められるのは間違いない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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