宝塚歌劇団の劇団員だった女性が急死した問題で、遺族の代理人は2月27日、東京・霞が関で記者会見を開いた。亡くなった女性の妹で、現役の劇団員でもある遺族が代理人を通じて、書面でコメントを出した。この中で「姉が受けた行為は、パワハラ以外の何ものでもありません」「宝塚は治外法権の場所ではありません」「これ以上姉と私たち遺族を苦しめないでください」と悲痛な想いを明かしている。

遺族代理人の川人博弁護士は「この事件が昨年10月以降、メディアで報道される過程で、元劇団員の方で、発言をされている方は相当数います。妹さんとしては、現在も所属している団員として意見を言いたいという思いが以前からありました。今回は書面による発表になりましたが、いわゆる遺族の一人という面もありますが、宝塚でも長く活動してきたものとして、コメントを出したいというお話があって、今日は持参して代読しました」と述べた。

以下、女性の妹が会見に寄せたコメント全文を掲載する。

●「姉が受けた行為は、パワハラ以外の何ものでもありません」

私は遺族として、大切な姉の為、今、宝塚歌劇団に在団している者として想いを述べます。いくら指導という言葉に置き換えようとしても、置き換えられない行為、それがパワハラです。
劇団員は宝塚歌劇団が作成した【パワーハラスメントは一切行わない】という誓約書にサインしています。
それにもかかわらず、宝塚歌劇団は、日常的にパワハラをしている人が当たり前にいる世界です。
その世界に今まで在籍してきた私から見ても、姉が受けたパワハラの内容は、そんなレベルとは比べものにならない悪質で強烈に酷い行為です。
厚生労働省パワハラの定義を見れば、姉が受けた行為は、パワハラ以外の何ものでもありません。
宝塚は治外法権の場所ではありません。宝塚だから許される事など一つもないのです。

劇団は今に至ってもなお、パワハラをおこなった者の言い分のみを聞き、第三者の証言を無視しているのは納得がいきません。
劇団は、生徒を守ることを大義名分のようにして、パワハラを行った者を擁護していますが、それならば、目撃したパワハラを証言してくれた方々も、姉も同じ生徒ではないですか。
そもそも【生徒】という言葉で曖昧にしていますが、パワハラを行った者は、れっきとした社会人であり、宝塚歌劇団は一つの企業です。
企業として、公平な立場で事実に向き合うべきです。

スケジュール改革や、各種改善策に取り組んでいるような発表をしていますが、姉の死を軽視し、問題を曖昧化しているとしか思えません。
これ以上姉と私たち遺族を苦しめないでください。
姉は体調を崩している訳でも、入院している訳でもありません。
二度と帰ってきません。
姉の命の重さを何だと思っているのでしょうか。
劇団は、「誠意を持って」「真摯に」という言葉を繰り返して、世間にアピールしていますが、実際には、現在も遺族に誠意を持って対応しているとは思えません。
これ以上無駄に時間を引き伸ばさないでください。
大切な姉の命に向き合ってください。

宝塚歌劇パワハラ死亡、妹の現役劇団員が悲痛な思い「治外法権はない」「これ以上苦しめないで」