「SMTOWN LIVE 2024 SMCU PALACE@TOKYO」出演全アーティスト

韓国の大手芸能事務所SM ENTERTAINMENT主催のライブイベント『SMTOWN LIVE 2024 SMCU PALACE @TOKYO』が2月21日(水)・22日(木)の2日間、東京ドームで行われた。

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『SMTOWN LIVE』は、2008年に韓国・ソウルで初開催され、これまでアジアを中心に世界各国で行われている。日本には2011年に初上陸し、東京ドームでの公演が今回で10回目を数える。

K-POP第4、第5世代が台頭

『SMTOWN LIVE』といえば、日本でSM ENTERTAINMENTの名前を広めた草分け的存在のBoA東方神起に始まり、SUPER JUNIOR、少女時代SHINeeといった00年代にデビューしたアーティストたちが中心を担っていたが、近年はその形が変化してきている。今回歌唱された全48曲のうち、コラボも含めるとNCTメンバーが20曲以上に参加。まさに中核となる存在に成長した。

NCTのデビューは2016年。それでいうと“第3世代”と呼ばれるが、“NCT”を母体にして、次々とグループやユニットが結成されていく形をとっているため、最新グループのNCT WISHは第5世代となり、第3~5世代にわたる一大グループとなっている。

その勢いを示すように、今回のトップバッターはNCT WISHが務めた。背面に巨大ビジョンが配されたメインステージにメンバーのシルエットが現れると、それだけで大歓声が上がる。緊張した面持ちも見せながら、『NASA』『Hands Up』の2曲を披露し、ライブ後半にはデビュー曲『WISH』を韓国語と日本語で歌唱。東京ドームという多くのアーティストが憧れとして名を挙げるステージで、華々しいスタートを切った。

NCTとして2組目に登場したのは中国出身メンバーによるユニットWayV。最新曲『On My Youth』のほか、ファンの間で人気を誇る『Love Talk』『Phantom』もパフォーマンス。特に彼らの妖艶な魅力が際立つ『Phantom』では、メンバーの見せる一瞬の表情や動きにファンの歓声が止まらず、大きな盛り上がりを見せた。

今回の日本公演の前日に、待望の3大ドームツアーを発表したNCT DREAMは、MVでも着用していたグループカラーのパール・ネオ・シャンパン色のガウンを羽織って、日本デビュー曲の『Best Friend Ever』をキュートにパフォーマンス。対して、ライブ後半には『ISTJ』で、力強く男らしい一面も見せる。デビュー時は全員10代だったメンバーも、今や末っ子のチソンが22歳となり、年相応の色気でもファンを魅了した。

NCT 127

日本で3大ドームツアーを開催中のNCT 127は、昨年末にリリースされた自身初のウィンタースペシャルシングルから『Be There For Me』を歌唱し、普段はあまり前面には出していないかわいらしい一面もアピール。一方で、5thアルバムのリード曲『Fact Check』、根強い人気の『2 Baddies』では、彼ら独自の音楽性とカリスマ性を誇示。メンバー固定のグループとしては、NCT最年長となる威厳も見せつけた。

NCTが確実にSM ENTERTAINMENTを代表するアーティストとなる中、女性グループではaespaが圧倒的な勢いを見せた。2020年にデビューし、メンバー全員が00年代生まれの彼女たちはまさしく“第4世代”を代表するアーティスト。昨年8月の東京ドーム単独公演は、デビューから2年9カ月という海外アーティスト最速を記録し、今夏も日本アリーナツアーを行なうことが発表されている。

人気曲の『Next Level』『Spicy』のステージでは、スレンダーなスタイルが際立つタイトな衣装で、愛らしさとかっこよさが共存するパフォーマンスを見せる。最新曲『Drama』では、赤と黒を基調にしたエレガントさとパワフルさを兼ね備えた衣装で、自らの力で前に進んでいく主人公の姿を歌いあげる。相反するイメージを自在に操る表現力に、観客たちは心をつかまれ、彼女たちの見せるさまざまな表情に歓声を上げていた。

aespa

さらに、昨年9月にデビューを果たし、“第5世代”の筆頭と目されるRIIZEも、日本の『SMTOWN LIVE』には初登場にも関わらず、大きな歓声を起こしてその人気ぶりを証明。デビュー曲の『Get A Guitar』、初の日本語バージョン曲となった『Love119』と、耳に残る印象的なフレーズのある楽曲で観客との一体感を高めたほか、『Siren』では圧巻のダンススキルを見せつけるなど、多才ぶりを発揮した。

世代を超えたコラボで盛り上げる!

ここでしか見られないコラボが続々

若手の台頭に対し、デビュー10年を超えるアーティストたちは、確立したそれぞれのカラーでゆるぎない存在感を放つ。個々のステージでは進化し続ける最新のパフォーマンスを見せ、『SMTOWN LIVE』の大きな見どころであるコラボステージでは、後輩たちを引き立てつつ、磨いてきた技を惜しみなく注ぐ。

SM ENTERTAINMENTの“長男”であるカンタは、NCTのドヨンと『Doll』を披露。自らはピアノを弾き、歌い出しをドヨンに譲るも、二人での美しいハーモニーを聴かせる。一転、自身の楽曲の『Eyes On You』では歌って踊る姿も見せ、彼を長く見守るファンたちも喜ばせた。

東方神起は、昨年デビュー20周年を迎えたタイミングでリリースした最新曲『DOWN』で、衰えを知らぬカリスマ性を標ぼう。さらにRIIZEと昨年末の『2023MAMA AWARDS』でも注目を集めた『Rising Sun』で再コラボを果たす。真っ白な衣装をまとったRIIZEの初々しさもある懸命なパフォーマンスも良かったが、彼らの背後から現れた東方神起の貫禄は、一朝一夕にはかなわないもの。登場しただけでその場のすべてを掌握し、後半に向かってボルテージをマックスにまで持っていく流れは圧巻だった。

SUPER JUNIORは彼らにしかできない緩急あるステージを展開。『Sorry, Sorry』『BONAMANA』といったヒット曲で一体感を作り出す一方、MCでは爆笑必至のトークを繰り広げる。普段からMCが長いことで知られる彼らだが、今回はイベントのために持ち時間が少なく、リーダーのイトゥクの号令で、それぞれがしゃべりたいことを一度に話しだし場内を爆笑の渦に巻き込む。結果、何を言っているのか分からず、自己紹介すらできずに終わっても、「これがSUPER JUNIORだよね」と納得してしまうのは、ここまでに築いてきたグループの色があってこそ。

SUPER-JUNIOR × NCT WISH

そんな彼らは、NCT WISHと2006年リリースの『U』でコラボ。まずはバックステージでNCT WISHがパフォーマンスし、その後メインステージからSUPER JUNIORが登場するという流れで、当たり前かもしれないが厚み、深みの違いを感じる。この曲のリリース当時まだデビュー2年目で、今のNCT WISHのメンバーとさほど変わらない年齢だったことを思うと、18年前の姿がNCT WISHに重なりつつ、18年後のNCT WISHが楽しみにもなった。

少女時代テヨンとヒョヨンはソロアーティストとして後輩とタッグを組む。SM ENTERTAINMENTの中でもずば抜けた歌唱力を誇るテヨンは、NCT 127のジェヒョンと共に『Starlight』で極上のハーモニーを届ける。また少女時代の中でも随一のダンススキルを持つヒョヨンは、『DESSERT』でWayVのヤンヤンとコラボ。ヤンヤンのラップに乗り、クールなダンスをきめていた。

Red Velvetは日本オリジナル楽曲『WILDSIDE』や、最新曲『Chill Kill』で、それぞれの曲のコンセプトに合わせた完璧な姿を見せつつ、アイリーン&スルギでの『Monster』も披露。今年、デビュー10年目を迎える安定的なパフォーマンスと、更新し続ける表現力で観客をステージに引き付けた。

また日本での開催ということで、日本のアーティストの楽曲をカバーする面々も。SUPER JUNIORのイェソンは、Official髭男dismの『Pretender』を本家顔負けの高音ボイスで歌い上げ、ウェンディRed Velvet)とウィンター(aespa)はあいみょんの『Her Blue Sky』を、透明感のある歌声で届ける。“ギュライン”と呼ばれるキュヒョン(SUPER JUNIOR)、チャンミン(東方神起)らの仲良しメンバーは、毎回コミカルなパフォーマンスで楽しませてくれるが、今回はショウタロウ(RIIZE)を迎えてYOASOBIの『アイドル』をカバー。ファンを喜ばせるためならどんなことにも全力を尽くす“完璧で究極なアイドル”の姿を見せてくれた。

CHANGMIN × KYUHYUN × SHOTARO

他にも、各グループの精鋭が集まったダンスコラボや、ソロデビューを果たしたNCT 127テヨンやWayVのテンがステージを披露。また、8年ぶりの『SMTOWN LIVE』への参加となったチョウミ(SUPER JUNIOR-M)は、チームメイトのウニョクやリョウクとのコラボで楽しませる。リョウクはソロデビュー曲『The Little Prince』をソヒ(RIIZE)とともに歌唱し、ソヒの安定したクリアな歌声に笑顔で拍手を送るなど、ここでしか見られない特別のステージが繰り広げられた。

『SMTOWN LIVE』がスタートした当初は、出演者の年齢も近かったが、今では親子ほどの年齢差がある者もいる。それは、ベテラン勢が変わらぬ実力を保ちながら、若手がしっかりと育ってきていることの証でもある。入れ替わりが激しく、新人が活躍するのも簡単ではない世界で、確実にヒット作を世に送り続けるSM ENTERTAINMENTの力はやはり偉大だと感じる。世代間が広がるほど、それはさらに難しいこととなるだろうが、いつか祖父母と孫ほどの年齢差ができたとしても、このイベントが続くことを願いたい。

文:瀧本幸恵
撮影:髙村祐介/釘野孝宏