全米防火協会の統計によると、2014~2018年にかけて米国消防署が処理した「住宅内での調理」による住宅火災は毎年平均 172,900件。これによる民間死者数は550人、負傷者数は4,820人、物的被害は10億ドルを超えるという。なかでも無人の調理が主な原因となっているようで、死者の25%以上は就寝中に発生しているというデータもある。

火災事故への対策が求められるなか、米国を拠点とするDishlinkは自動タイマーを備えたガスストーブノブ「DishKnob」を発案。現在、クラウドファンディングサイトのKickstarterにて支援を受け付けている。

火災を防ぐタイマー付き“スマートノブ”

Image Credits:Kickstarter

DishKnobは、ユーザーがガスストーブをつけっぱなしにすることを防ぎ、空焚きや火災の危険を回避する“スマートノブ”。既存の調理台に簡単に設置でき、着火時に回すノブそのものが多用途のタイマーとして機能する。ユーザーが設定した時間間隔にもとづいて警告音を発するため、たとえDishKnobをオフにするのを忘れたとしても音声で気づくことができ、ガスコンロが放置される心配はない。

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視認性が高いOLEDタッチ スクリーンを搭載しており、ユーザーはタイマーを確認したり、必要なプリセットを調整したりすることも可能だ。タイマーのモードはカウントダウン形式の「オートタイムモード」、タイマーを手動で調節する「カスタムタイマーモード」の2種類。料理や調理時間に合わせて自由に設定できる。

誰でも1分以内に設置可能。Type-C充電にも対応

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DishKnobは、どんな調理台にも簡単に馴染むエレガントなデザインに加え、高い互換性を備えている。

同製品は世界中の95%のガスストーブに対応しているといい、さまざまなDポートアダプターを使用することで斜め、垂直、水平に配置可能。もちろん電気技師やガス設置の専門家などに依頼することなく、誰でも1分以内に設置できる。

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なお、DishKnobはユニバーサルType-C充電インターフェースを採用しており、スマートフォンと同じように充電するだけで使用可能。1回の充電で3~6か月使用できる(一般的な家庭の調理パターンにもとづく)。

2022年の日本における住宅火災は1,611件

東京消防庁によると、2022年の日本での住宅火災は1,611件にのぼり、出火原因のなかでは「こんろ」が318件(19.7%:うちガステーブル240件)と最も多い結果となった。

国内では火災防止対策の1つとして、温度感知センサーで発火を防ぐ「調理油過熱防止装置」があげられるが、同装置が設置されていないガステーブルもあるため、根本的な解決へは至ってない模様だ。

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多数多様なガスストーブにシームレスに接続し、家庭の安全性・利便性を高めるDishKnob。“世界中の95%のガスストーブに対応”というだけに、アメリカだけでなく日本でもニーズがあるかもしれない。

参考元:Kickstarter

(文・Haruka Isobe