伏見は昨年最も多く先発マスクを任された(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 2年連続最下位からの逆襲を狙う日本ハムでは、各ポジションでし烈なレギュラー争いが繰り広げられている。

 まず注目されるのが、先発ローテーション争い。昨シーズンまで軸として働いてきた加藤貴之伊藤大海に加え、FAで新たに加入した山﨑福也。昨季後半戦、躍動した上原健太、期待の若手、北山亘基、根本悠楓、金村尚真。さらにドリュー・バーヘイゲンパトリックマーフィーといった助っ人も控え、他球団垂涎のラインアップを誇る。

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 また扇の要となる、捕手陣の顔ぶれも充実している。オリックスから2022年オフにFA移籍、昨季は先発マスクをかぶることが最も多かった伏見寅威、長打も魅力のアリエル・マルティネス、昨季シーズン途中に中日からトレードで移籍、いきなり打撃で存在感を示した郡司裕也、今季がプロ10年目を迎える清水優心など。

 一方で投手との相性の良さも重視される捕手ポジションにおいては、出場機会が限られることも多い。現在チームでは複数ポジションを守れるようにして欲しいという指揮官の意向や、チーム事情も重なり、現在チーム内の捕手陣のほとんどが、内、外野など複数ポジションを守ることができる選手が多い。

 実際に捕手の椅子は一つと限られたポジションとあって、強打が売りの郡司も出場機会を求めて清宮幸太郎が負傷で不在となった三塁ポジションのチャレンジに加え、外野ポジションにも果敢に挑戦している。

 2023シーズンは本拠地エスコンフィールドのこけら落としともなった一戦、対楽天との試合にチームはエース左腕、加藤貴之を立て、バッテリーを組んだのは加藤とともに最優秀バッテリー賞を受賞した宇佐見真吾(現中日)だった。

 迎える今季の開幕戦は3月29日、敵地ZOZOマリンロッテと激突する。果たして開幕投手を務める伊藤とバッテリーを組むのは誰となるのか。

 実績からいくと、昨年多くマスクをかぶった伏見が安定しているといえるだろう。きめ細やかな気配りも知られ、今季同じくオリックスから移籍してきた山﨑との「さちとら」バッテリーも注目を集める。すでに24日に行われたDeNA戦でも2人はバッテリーを組み、2回無安打無失点2奪三振と息の合ったところを見せている。

 巻き返しを図っているのは、プロ10年目の節目を迎える清水にもある。昨季はインプレー中にミットを外してファーム降格の屈辱も味わった。本来勝負強い打撃も持ち味。また今キャンプ評価を高めているドラフト2位ルーキー、進藤勇也(上武大)も注目の存在だ。持ち味の強肩を生かしたプレーや打席でも落ち着いた所作が目立つ。ほかにも「ゆあビーム」と強肩が特徴的な田宮裕涼、長打力が魅力のマルティネス、捕手ポジションだけでなく内、外野にも挑戦する郡司が控える。

 捕手ポジションにおいては大事なリードだけではなく、ときにチームを助ける打撃も求められる。果たして新庄監督が勝負の2024シーズンに求める捕手像はどのようなものとなるのか。経験か、若さか、打撃の勢いか、それは開幕までの起用で段々と分っていくのかもしれない。

 今後は3月1日エスコンフィールドで行われるイースタンリーグ春季教育リーグ開幕戦となるオイシックス戦に開幕投手を務める伊藤が今季初登板、1軍メンバーも出場することが決まっている。開幕までの時計の針が刻々と進む中、捕手陣のアピールの日々も続きそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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