株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の医薬品・医療器材物流アウトソーシングビジネス、医療器材通信販売ビジネス、中古医療機器流通ビジネスなどを調査し、市場規模、参入企業動向、将来展望を明らかにした。ここでは医薬品・医療器材物流アウトソーシング市場について公表する。

1.市場概況

2022年度の国内医薬品・医療器材のメーカー物流アウトソーシング市場規模(受託企業売上高ベース)は、前年度比6.8%増の1,250億円となった。医薬品・医療器材等の出荷量および物流関連企業等への委託率の増加、委託業務範囲の拡大などが継続しており、当該アウトソーシングサービスの市場は堅調な推移を示している。同年度の市場規模は2013年度比で約1.6倍に伸びている。



2.注目トピック~医薬品ではGDPに基づく品質管理がポイント

医薬品の物流アウトソーシングサービスでは、過去には倉庫業としての管理対応が主体であったが、近年は輸配送部分を含めた管理から納入までの一気通貫のプロセスや品質が重視されており、輸配送ネットワークの堅牢性が問われる。

2018年12月、厚生労働省から医薬品流通基準に関し日本版GDP(Good Distribution Practice)ガイドラインが発出され、医薬品の物流業務についてもGDPに基づく品質管理が求められるようになっている。GDP対応可能かどうかは、外部委託先選定のポイントになっている。

医薬品の物流アウトソーシングサービスの範囲は広がっており、メーカー製品出荷から医療機関等に届くまでの流通状況の可視化に向けたデータプラットフォームなども同サービスの周辺付加価値になっていくとみる。

3.将来展望

「物流の2024年問題」は医薬品・医療器材物流アウトソーシングサービスにも影響を及ぼしている。各種物流業務の効率化に向け、物流事業者のみならず、荷主側の意識改革も必要となっている。医薬品・医療器材等の複数メーカーの製品の運搬を対象とする共同輸送、中継物流拠点を設ける形のリレー輸送、鉄道輸送等を活用するモーダルシフト※の取り組みなどが一部で行われ始めている。

医薬品・医療器材等の納入先は、病院を主体として比較的集中していることも事実である。「物流の2024年問題」をひとつの契機として、メーカー、卸、ユーザー等に向け、輸送にかかる工数や環境負荷を極力減らして物品を流通させるために、医薬品・医療器材物流アウトソーシングサービス業界内全体の業務を最適化する仕組みづくりの検討などが進むものと推測する。

※モーダルシフトは、車両等による貨物輸送を、環境負荷が小さく大量輸送が可能な鉄道や船舶などの輸送手段に転換することを指す。

※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
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調査要綱
1.調査期間: 2023年11月~2024年1月
2.調査対象: 物流関連企業、医薬品・医療器材物流アウトソーシング、医療器材通信販売、中古医療機器流通関連事業者
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに電話・eメールによるヒアリング調査併用
4.発刊日:2024年1月31日

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