根尾は24日の楽天戦で4回5安打1失点と粘りのピッチングを見せた(C)産経新聞社

 中日根尾昂は投手転向3年目を迎えた。今季は転向してから初めて1軍キャンプを完走。ここまで練習試合・オープン戦通算2試合に登板し、計7イニングを1失点にまとめている。日に日に高まっていく、開幕ローテーション入りへの期待。立浪和義監督も開幕ローテ候補である旨を明言している。

 1年前を考えれば、この状況には驚きを隠せない。というのも、1年前の今頃は開幕ローテの「か」の字もなかったのだ。

【動画】期待高まるローテ入り!投手転向3年目を迎えた根尾昂のピッチング練習の映像

 2軍の読谷キャンプ打撃投手を務めるも、いきなり死球。他の打者には9割方ボール球を投じてしまい、打撃練習にならないと強制降板させられたのだ。

 ただ、そこからが根尾の凄いところで、短い距離のネットスローから始めて、投球フォームも左脚を捻るトルネード気味のものに変更。鍛錬が実を結び、5月末にはウエスタン・リーグの先発マウンドに立っていた。

 夏場まで2軍で経験を積みながらイニング数を増やしていき、満を持して1軍にやってきたのが9月半ば。2試合で先発し防御率0.71。勝ち星こそつかなかったものの、大きな進歩を見せた。

 この昨季の進歩があった上で、現在の根尾の状況を考えると「よくここまで来たな」と思わずにはいられない。加えて、そもそもは遊撃手として入団しているのだ。唯一無二の道を歩んでいるのは間違いない。

 今季の根尾はカーブを重点的に鍛えている。これまでもカウント球で多少投げていたが、武器の一つにしようと、実戦でも多投。臨時コーチで指導に入った今中慎二氏(中日だけでなく大阪桐蔭高の大先輩でもある)のエッセンスを加えつつ、自分のものにしようと奮闘している。目指す領域は金子千尋(元オリックスほか)やダルビッシュ有パドレス)のような「球の速い変化球投手」なのだろう。

 現状の中日において、開幕ローテ入りが確定的なのは柳裕也小笠原慎之介髙橋宏斗、ウンベルト・メヒアの4名。この4名は指揮官の言う開幕投手候補でもある。残り2枠を大野雄大涌井秀章のベテラン勢や、進境著しい梅津晃大、昨季ドラ1の仲地礼亜などが争っている。根尾の立ち位置もここで、言わば「当落線上」。他の投手に比べて実績がないため、一戦一戦が勝負のマウンドだ。

 根尾が投げると、ドラゴンズファンはもちろん、多くの野球ファンの注目を集める。今季はそんな瞬間がたくさん見られるかもしれない。まずは次のマウンドがいつなのか、心待ちにしたい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

中日・根尾昂は開幕ローテに入れるか? 「当落線上」だが、1年前を思えば大きな進歩