この記事をまとめると
■800万円という予算があれば新車でも中古車でもゾクゾクするようなスポーツカーを手に入れられる
■そんな800万円で購入可能なモデルを主観混じりで選んでみた
ライトウェイとスポーツカーがよりどりみどり
クルマ好きにとって、800万円というのは意外と悩ましい数字ではないでしょうか。なんとなれば、新車の予算としてみても、スープラやロータス・エリーゼあたりに手が届きそうだし、中古車を探すとなればゾクゾクするようなスポーツカーの夢も広がります。しかも、ちょい古というより現行モデルに近いものだったりするわけで、いずれにしろ心躍るスポーツカーライフが手に入るのかと。そんなモデルを筆者の主観まじりでピックアップしてみました!
アルピーヌA110
2017年にルノーからリバイバルされたミッドシップのライトウェイトスポーツカー。往年のスタイル、シルエットを追いかけながら、現代的なユーザビリティやルノーお得意の真摯な運動性能に仕立てられ、発売から数年を経たいまでも好き者の食指を動かし続けていることでしょう。
1.8リッター直4ターボですから、252馬力/6000rpm、32.6kgf·m/2000rpmと目の覚めるようなパワーでもありません。が、現代のクルマとしては破格の車重、すなわち1110kgという数字に心動かされるクルマ好きは少なくないでしょう。峠の下りで、アクセルとハンドルを操り続け、あたかも瞬間移動するかのような鋭敏なコーナリングは、昔日のモンテカルロラリーばり!
プルミエール、ピュア、リネージといったカタログモデルに加え、ツール・ド・コルス、アトリエといった特別仕様モデルも数多く発売されていますので、好みの仕様を選びやすいことも魅力的です。既存のルノー部品を多数使用しているというのも故障の心配をいくらかは和らげてくれるかもしれません。
オーナーズクラブ的なグループも少なからずあるようですから、同好の士にも恵まれるはず。気軽に乗れるわりに、エンスー度は低くない逸品でしょう。
BMW M240i xDriveクーペ
ミニバンのような車体がもっさり動くクルマに乗り慣れていると、M240i xDriveクーペのスムースでシャキシャキした乗り味には目を丸くすることでしょう。また、速いクルマに乗り慣れている方にしても、路面に張りつくようなスタビリティやスムースなこと極まりないパワーデリバリーには驚きを禁じ得ないはず。
2シリーズの車格はそれこそE30当時のM3に通じるものがあり、それはコクピットに座った瞬間に感じるバランスのよさや、適度な緊張感からも体得できるかと。そして、さほどスピードを出さずとも、4輪の動きが手足のように感じられるドライバビリティには思わず頬が緩むはず。
また、3リッター直6ターボエンジンの滑らかさや、アクセルへの順応性はさすが伝家の宝刀だけあって文句のつけようもありません。
とにかく、車体とパワー、そして運動性能が高次元でバランスしており、かつハイパースポーツのような手を出しにくいドライブと違って「本気で飛ばしたくなる」のがM240i xDriveクーペのキャラクターに違いありません。
新車価格は790万円となっていますが、アダプティブMサスペンションやスポーツシート(いずれも乗るなら必須にしたいもの)といったオプションを加えたら簡単に800万円オーバー。なので、ここは新古車を狙ってみるのも一興で、仮に予算が余ったらタイヤやブレーキパッドなんて装備にお金をまわすのが吉ではないでしょうか。
中古モデルならひとつ上ゆくモデルも狙える
ジネッタ G4
予算を思い切り走りにふれるとしたら、小型軽量、ハイパフォーマンスなスポーツカー一択です。そんな場面ではケーターハムやロータスなんかを思い出すかもしれませんが、ここは通好みのジネッタなんていかがでしょう。
ジネッタはイギリスのバックヤードビルダーとして、それこそロータスやケーターハムと肩を並べ、ときには凌駕していたメイクスです。ご多聞に漏れず、経営はすったもんだありましたが、2010年以降は新型をじゃんじゃんリリースしたり、レースシーンでそこそこ活躍するなど侮りがたい存在です。
※写真はジネッタG4のレースモデル
G4は1961年にデビューし、鋼管フレームに1リッター直4エンジンをフロントに縦置き、F:ダブルウイッシュボーン、R:トレーリングアームと、バックヤードとしてはコンベンショナルな造り。車重はFRPを使ったボディ、簡素なコクピットもあわせて445kgとかなりの軽量ぶりですから、40馬力を使い切るドライブはさぞや痛快なものかと。
※写真はジネッタG4のレースモデル
もっとも、800万円の予算となると、時代は下ってマイナーチェンジを数回こなした後のマーク4あたりが順当でしょう。ケーターハムなどと同じく、1.7リッター直4エンジンに換装されたほか、初代よりも車体、そしてキャビンがいくらか拡大され、どうにかこうにか「普段も乗れる」ことに(笑)。
※写真はジネッタG4のレースモデル
ジネッタには、ミッドシップのG12といった兄貴分もいますけど、こちらは手練れがサーキットを走っても「簡単にはいかないよ」ってくらいのハードマシン。サーキットデビューを目論みつつ、エンスー仲間から一目置かれ、とにかくスリル満点なドライブが楽しめるわけですから、G4を見つけたら即チェックすることおすすめです!
トヨタGRヤリス GRMNサーキットパッケージ
GRヤリス、ほんとにいいクルマです! コンパクトなFFの足を固めて、ちょっとエンジンにおまじないをかけたくらいでしょ、なんて先入観はコーナーひとつ抜ければ吹っ飛んでいきますから。
そのヤリスをトヨタが真剣にチューンアップしたGRMN サーキットパッケージですから、楽しくないはずがありません。リヤシートを省いてケージ補強したり、ミッションパーツはショットピーニングしてたり、カスタム手法はレーシングカーと等しいもの。
いまやアルヴェルもそこそこ剛性感のある走りをしてくれますが、GRヤリスGRMNのそれは剛性感のよさに加えて車体の隅々にまでいきわたる精度の高さが味わえるはず。こればかりは、ハンドメイドの仕上げでなければ到底得られるものではありません。
そんなこといったって、もう手に入らないじゃないか、そうお嘆きのあなたは2024年のGRヤリスRZを見学しにいった体で、セールスマンからGRMNの売り情報なんて探ってみてはいかがでしょう。キャンセルされた個体や、中古に巡り合える可能性もゼロではないでしょう。
むろん、プレミアがついたりして800万円は余裕で越えてしまうかもしれませんが、リセールバリューで超過分は相殺できるはず。
いまやGT-Rは2000万円クラスですから、800万円で同等の楽しさ、満足度が得られるGRヤリスGRMNはお買い得といっても過言ではありません。最先端の「速いクルマ」に乗りたいなら、ランボやアストンよりもGRヤリスGRMNが光って見えてくるはずです。
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