阿部サダヲ主演の金曜ドラマ「不適切にもほどがある!」(毎週金曜夜10:00-10:54、TBS系)が現在放送中。クセと愛に溢れたキャラクターが登場する本作で、ひときわ強い存在感を放っているのが主人公・市郎(阿部)の一人娘、純子を演じる河合優実だ。第1話から独自の世界観と巧みな演技力で視聴者を魅了、SNSでは「昭和のイケてるヤンキー女子そのもの」「ナイスキャスティング」といった声が相次いでいる。このたび、WEBザテレビジョンでは、TBSの連続ドラマにレギュラー出演するのは初だという河合にインタビューを行い、宮藤脚本の魅力や共演者とのエピソード、そして撮影の裏話などについて語ってもらった。(以下、ネタバレを含みます)

【写真】ロングワンピースがひらり…河合優実の全身ショット

■ 昭和の“ダメおやじ”が令和へタイムスリップ

同作は、昭和のおじさんがコンプラで縛られた令和の人々に考えるきっかけを与えていく意識低い系タイムスリップコメディー。脚本は宮藤官九郎が務め、プロデューサーは磯山晶が担当。阿部とは、「池袋ウエストゲートパーク」(2000年)、「木更津キャッツアイ」(2002年)、「タイガー&ドラゴン」(2005年、全てTBS系)でタッグを組んできた2人だ。

同ドラマには阿部と河合の他に、バラエティー番組のアシスタントプロデューサーとして働くシングルマザー・犬島渚役で仲里依紗、とあるアイドルに心酔するあまり、その身なり言動すべてを完コピする男“ムッチ先輩”こと秋津睦実役とゆとり世代の会社員・秋津真彦役で磯村勇斗、市郎たち昭和の人間の破天荒さに鋭いツッコミを入れる向坂サカエ役で吉田羊らが出演している。

河合演じる純子は、父・市郎とは日々言い争いが絶えないが、本当は父親思いの優しい一面も併せ持つ高校2年生。これまでも市郎を時に励まし、支えてきたことが分かる描写がいくつもあった。しかし、2月23日放送の第5話では渚の母親が純子であること、そして1995年に起きた阪神淡路大震災で市郎と純子が亡くなってしまうことが明かされると、視聴者に大きな衝撃が走った。

■「夢のような日々」、金曜ドラマ枠に約5年ぶりのカムバック

――撮影がスタートして約2カ月が経ちましたがいかがですか?

あっという間だなと感じていますが、とにかく楽しいです。宮藤さんの作品に参加できることがとても楽しみでしたし、“コメディーがやりたい”とか“ドラマに出たい”とか、そういうことではなく、とにかく“宮藤さん(の作品)だからやりたい!”と思ったので、今は夢のような日々を送っています。

――テレビドラマ初出演作は「インハンド」(2019年)とのことで、同じ金曜ドラマ枠にメインキャストの一人としてカムバックした心境はいかがですか?

今回の撮影現場で、数人のスタッフさんが「『インハンド』で会ってたわ!」と声をかけてくださって。当時の私はこの世界に入ったばかりでしたし、勝手も分からず、しかもゲストでほんの少し出ているだけの役だったのに、覚えてくださっていたのがうれしかったです。

宮藤官九郎が手掛ける脚本は「笑いながら読みました」

――最初に台本を読んだときの感想を教えてください。

笑いながら読みました。企画書をいただいた時点で期待値が高かったのですが、それを超えてくるといいますか、すごく面白かったですし、今も毎話台本が届くたびにすぐに読んでいます。

撮影の合間時間にマネージャーさんから(台本を)いただくと、「ちょっと今読んできます!」ってセットの中に持ち込んでしまうほど、楽しみに待っています(笑)。

――撮影は終盤に差し掛かっていると伺いましたが、ここまで演じてみて純子を演じてみていかがですか?

キャラクターが強いので、最初はちゃんと飲まれないようにしようと意識しないと、キャラクターっぽく見え過ぎてしまって人間味がなくなってしまうんじゃないかと思っていました。

ですが、撮影が進んでいくにつれて自分の実感も積み重なっていきますし、何より脚本の中で純子というひとりの人間がしっかりと描かれているので、目の前のことに一生懸命に向き合っているうちに、反抗しているだけじゃなくて、父親を思っているという部分は自然と出ているなと感じています。

――SNSなどでは、序盤の話から細かい伏線などに気付き「渚の母親が純子などでは?」という声も上がっていました。

すごいですよね、ご飯を食べながら見ていたら私だったら絶対に聞いていないなと思うくらいサラッと言っていたのに、皆さん本当に細かい部分まで見てくださっているなと感じます。お客さんを信頼して作るってこういうことなんだなと思いました。

阿部サダヲとの掛け合いは「瞬発力が必要」

――父・市郎役を演じる阿部サダヲさんとは共演経験があるそうですね。

舞台で2回ご一緒させていただいたのですが、その時は阿部さんを含め周りの大人計画の役者さんに“どうにか食らいついていかないと!”という意識が強くて。

今回もそれを思って撮影に入ったのですが、(阿部は)すごくおおらかな方ですし、過去2回共演した舞台の時よりも少し余裕をもって、楽しみながら撮影できているなと思います。

――市郎と純子はテンポの速い掛け合いも多いですが、事前に打ち合わせをするのか、またはリハーサルなどで合わせながら撮影をしているのか、どちらが多いのでしょうか。

実際にやってみながら本番までに良くしていくので、瞬発力が必要ですね。でも、大体撮影が終わったあとに“ああやって返せばよかった…”と反省することばかりです。

――磯村さんは以前、河合さんとドラマで共演するのが楽しみというお話をされていました。ムッチ先輩とのシーンも多いと思いますが、磯村さんはどんな印象ですか?

宮藤さんの作品って、見る方も演じる方もコメディーとか軽いタッチのつもりで触れ始めることが多いと思うのですが、ムッチ先輩を含めそれぞれへの気持ちがちゃんと高まってくるように描かれているし、皆さん素晴らしい俳優さんばかりだなと感じています。

ムッチ先輩って、最初は少しおバカな愛すべきヤンキーだなと思っていたのですが、徐々に印象も変わってきて…昨日顔を合わせて撮影する中でつい感動しちゃいました。

第4話(2月16日放送)の撮影でも、磯村さんが“あの姿”で、且つちゃんと思いを届けてくれるお芝居をなさっているので、きっと磯村さんご自身もムッチ先輩のようなキャラクターを演じることも好きなんだろうなと思います。ムッチ先輩の中でちゃんと気持ちを表現するということは誰にでもできることじゃないので、今回ご一緒できてうれしいです。

■「自分の世界をちゃんと見つけていけるのか注目してほしい」

――本作ではある一定の行き来のみタイムスリップすることができますが、もし好きな時代に行けるなら、河合さんが行きたいのは過去?未来?

過去ですかね、やっぱり未来は知りたくないです。もしタイムスリップするなら、自分の生まれたときに行ってみたいです! 1986年代は今ドラマの中で役として経験できているのですが、たった38年でこんなに変わるんだなと思ったんです。

私は2000年生まれなのですが、きっと、この24年の間にもいろんなことが変わっているはずですし、自分が生まれた頃の時代をちょっと覗いてみたいです。

――最後に、第6話以降の見どころと読者へのメッセージをお願いします。

純子は、お父さんやムッチ先輩、キヨシ(坂元愛登)など近い存在の人たちとぶつかり合ったり、恋をしたりしてきた人だと思うのですが、そんな純子が自分の世界をちゃんと見つけていけるのか注目してほしいです。現代ではなく、昭和の高校生がどうやって自分を見つけていくか、ぜひ楽しみしていてください!

撮影=加藤翔/ヘア&メーク=村上綾/スタイリスト=高崎奈々(高は正しくは「はしご高」、崎は正しくは「立つ崎」)

衣装協力=サカイ、ミキモト カスタマーズ・サービスセンター

「不適切にもほどがある!」純子役で話題の河合優実にインタビューを実施!/ 撮影=加藤翔