法人向け健康管理ソリューションサービス「Carely(ケアリィ)」を提供する株式会社iCARE(本社:東京都渋谷区、代表取締役:山田洋太)は、【3月1日- 8日 女性の健康週間】に向けて、企業の健康管理・健康経営の部門で働く206名に「働く女性の健康支援と健康経営の実態調査」を実施しました。

 調査の結果、女性社員比率や雇用形態に関係なく、6割以上の企業がなんらかの女性の健康支援に取り組んでいる一方で、企業の業種・規模別では取り組み状況にギャップが見られました。取り組み内容は「健診・検診補助」「生理休暇」など法令対応の範囲が主であり、経産省が提案する(※1)「リテラシー向上」などの、組織全体の理解やコミュニケーションを改善する支援は進んでいないこと、取り組む上で社員や経営層の巻き込みへ課題意識を抱える割合が高いことが明らかになりました。

※1参考:「健康経営における女性の健康の取り組みについて」(H31.3 経産省ヘルスケア産業課)


■調査背景

2023年に政府が発表した「女性版骨太の方針2023」(※2)の中で、女性の健康支援について定期健診・検診の見直しや企業の産業保健活動の充実などの指針が明記されたことを受け、厚生労働省で健康診断の項目見直し検討が始まるなど、これまで以上に女性の健康について注目が集まっています。

2024年2月に経済産業省(以下、経産省)は女性特有の健康課題による経済損失額は3.4兆円に上ると新たに発表(※3)しました。ジェンダー差に基づく多数の健康課題の中でも、規模が大きく、経済損失が短期で発生することから、特に職域での支援が期待される4項目「月経随伴症」「更年期症状」「婦人科がん」「不妊治療」について、パフォーマンス低下や休職・離職など就労への影響が大きいことが示されています。

毎年3月中旬に発表される、経産省管轄の健康経営の顕彰制度「健康経営優良法人」認定の過程でも「女性の健康」支援が重点評価されるようになり、小手先の対応ではなく組織全体での取り組み推進が必要不可欠になっています。

iCAREでは、そうした社会背景から、実際に企業における働く女性の健康支援がどのように変化・進捗しているのかを明らかにするべく、企業の人事・健康管理部門や健康経営の推進部門を対象に調査を実施しました。

※2 参考「女性版骨太の方針2023」 (令和5.6 内閣府 男女共同参画会議)

※3 参考「女性特有の健康課題による経済損失の試算と健康経営の必要性について」(令和6.2 経産省ヘルスケア産業課)

■調査結果サマリー



■主な調査結果

1.女性の健康課題の認識と支援の取り組み状況

【女性の健康課題の認識】

 女性の健康課題の認識状況を問う設問では、「月経関連の症状や疾病(月経不順・月経痛など)」が60.2%、次に「メンタルヘルス」58.7%、「更年期障害」53.4%が続き、「女性のがん・女性に多いがん」「PMS(月経前症候群)」も過半数近い回答があった。「何が健康課題かわからない・特定できていない」という回答も13.6% 見られた。 


【取り組み状況(全体)】

女性の健康支援に取り組む企業は全体で64.4%、女性社員の比率の違いによる取り組み差異はほとんどなく、雇用形態別では「正社員」と「パート・アルバイト」で約9%の差はあるものの、全体としてはほぼ影響差がなく、取り組んでいると言える。


企業規模別では、従業員1,000名以上で82.7%、10,000名以上で90%となっており、特に299名以下の企業と平均30%以上の差が出ている。

【取り組み状況(業種別)】

業種別に見ると、「宿泊・飲食・サービス」「製造」「運輸・物流」の順で多く、いずれも70%以上が回答。最も回答が少なかったのは「不動産」、続いて「官公庁・教育・団体」「医療・福祉」。


【取り組み体制】

女性の健康支援の取り組み体制について問う設問では、「人事労務または健康管理室など健康管理部門およびその担当」が89.5%で最も多く、次に「健康経営推進室および同義の部門およびその担当」が続く。


2.女性の健康支援の取り組み内容

【女性の健康支援の取り組み内容】


取り組み内容を具体的に問う設問では、「婦人科健診・検診への金銭補助」が70.5%と最も多く、「生理休暇などの健康のために取得しやすい休暇の整備」が65.9%で過半数を超えている。女性の健康課題に関する研修や、女性向けヘルスリテラシー向上のための教育などの取り組みは3割程度にとどまり、女性特有の健康課題の治療と仕事の両立支援制度やツール提供はほとんど進んでいない。

【女性の健康支援の施策数】

1.で全体の64.4%が女性の健康支援において何らかの取り組みを行っていると回答したが、施策の充実度をみると、全体の30.8%が施策数1-2つと回答し、従業員299名以下の企業では全体の過半数以上の回答が見られた。施策数7つ以上と回答した企業は300名以上の企業のみで、10,000名以上の企業では44.4%が回答している。


3.女性の健康支援に取り組む上での課題

【女性の健康支援に取り組む上での課題】

女性の健康支援に取り組む上での課題を問う設問の回答は「社員の巻き込み」56.4%、「経営層の理解」53.4%が上位、「取り組む体制・人員不足」、「女性社員の意識醸成」の回答が続く。「社員の巻き込み」「経営層の理解」「女性社員の意識醸成」の回答数は全体の71%あり、そのうち社員・経営層双方の巻き込みに課題意識がある回答者は、職位別では産業保健スタッフ(産業医、産業保健師・看護師)が最も高く、男女別に見ると女性の方が高い。「女性社員の意識醸成」に課題意識がある回答者は、職位別では課長・部長クラスが最も高く、男女別に見ると男性の方が高いことがわかった。


【健康経営における女性の健康支援の取り組み状況】

「女性の健康支援」に取り組んでいる企業のうち、健康経営に取り組んでいる企業は74.4%、取り組んでいない企業は34.2%あり、「女性の健康支援」と「健康経営」の取り組み状況は一致していない。女性の健康支援が健康経営に繋がっている認識が十分に広まっていないと言える。


■解説 iCARE 代表取締役CEO 産業医 山田洋太


2023年に政府の「女性版骨太の方針2023」を受けて、厚労省でも健康診断の項目見直しの検討が始まるなど、これまで以上に女性の健康について注目が集まっています。また、3月中旬には健康経営の認定制度「健康経営優良法人」が発表されますが、その中でも「女性の健康」が重点評価されています。そうした社会背景のなか、今回の調査によって、企業の取り組みは道半ばであることが明らかになりました。6割超の企業が女性の健康支援に取り組んでいることは評価できますが、取り組み体制や充実度は企業事由の影響があると言って良いでしょう。取り組み内容をみると、検診補助や生理休暇など既存制度を拡張する形での整備は進んでいる一方で、従業員それぞれが当事者意識をもてる仕組みは不十分だと言えます。とりわけ女性特有の課題は誰がどのような課題を抱えているかをすべて把握することは現実的に難しく、かつ本人自身も健康課題に気付かないケースも少なくありません。そのため施策の実施にあたっては「社員の巻き込み」「経営層の理解」を促すコミュニケーションの工夫も欠かせないことが本調査からも読み取れます。自社がどんな健康課題を解決したいがためにその取り組みを行うのか、取り組みをどのようにして浸透させていくのか、ぜひ今一度この「女性の健康週間」を振り返る機会にしていただきたいと思います。

■調査概要

調査時期: 2024年2月2日(金)~2月13日(火)

調査対象:従業員規模50名~10,000名以上の一般企業の人事労務部門・健康経営部門

調査実施機関:株式会社iCARE

サンプル数:206名(経営層・部長クラス、部門管理者・担当者、産業看護職・専門職)

調査方法:インターネットによるアンケート調査

※なお、本調査結果を引用・転載される場合は、広報までご一報いただくようお願いします。

■ 法人向け健康管理ソリューションサービス「Carely」


Carelyは企業が主体の「働くひとの健康」づくりを専門家とテクノロジーの力でサポートしています。

ツールによる人事労務の健康管理業務等、実作業への効率化支援だけでなく、課題抽出・分析・施策立案・運用など、一気通貫型で伴走し、経営戦略を後押しします。

詳細を見る株式会社iCARE 「働くひとの健康を世界中に創る」というパーパスを掲げ、現役の産業医である代表:山田が2011年に創業。健康づくりのプロフェッショナルカンパニーとして、法人向けに産業保健・健康経営のソリューションサービス「Carely(ケアリィ)」を提供しています。クラウドシステム×専門家による人的サービスにより、企業の健康課題の解決を一気通貫型で伴走し、経営戦略を後押しします。

【会社概要】
会社名:株式会社iCARE
代表取締役CEO: 山田洋太
所在地:東京都渋谷区恵比寿1丁目23-23 恵比寿スクエア 5階
事業内容:産業保健・健康経営ソリューションサービスの開発・提供
URL:https://www.icare-carely.co.jp

配信元企業:株式会社iCARE

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