外食する時にあると嬉しいサービスが、好きな物を心ゆくまで堪能できる食べ放題。お客様にはお得感があり、店側にとっても一定の利益が見込める。双方にとって嬉しいサービスの一つでもあります。

しかし、2024年2月1日に「豊洲 千客万来」に合わせてオープンした「海鮮バイキング いろは」の食べ放題の価格が話題になっています。一般的な食べ放題の相場よりも2倍近い強気な価格をしているからです。そのため、SNSでは「インバウンド価格」などと揶揄されており、攻めた料金設定から味やサービスに対して注目を集めています。

そこで、強気な価格をしている「いろは」のバイキングを実食ルポしていきました。果たして値段に見合うサービスなのでしょうか。

◆圧倒的な強気すぎる価格設定

いろは」は、2024年2月1日にオープンした海鮮を中心としたバイキング。席数は130席あり、貸切サービスも行っています。最大の特徴として、マグロの解体ショーが体験でき、仲卸業者が厳選した「生本まぐろ」や「希少部位」が食べられます。

食べ放題の料金プランは3コース。
いろは(70分):大人税込6578円
まつり(70分):大人税込7678円
・うたげ(100分):大人税込8228円

一般的な食べ放題の相場よりも2~3倍は高めの設定ですね。最安値でも6000円以上になり、強気な価格であると言えるでしょう。それだけに、味やサービスへの期待が高まります。

食べ放題メニューに加えてオプションメニューも用意されています。
大トロ盛り:税込1100円
・希少部位盛り合わせ:税込み1650円
希少性の高い部位ではあるため、割高になるのはやむを得ないのでしょう。

また「貸し切りプラン」もあり、40名から100名ほど利用可能です。
・ソフトドリンク飲み放題2時間制:税込8778円
・アルコール&ソフトドリンク飲み放題2時間制:税込10428円
こちらも一人当たりの単価が高めに設定されています。

メニューは海鮮料理が中心。豊洲市場から直送しているのとのこと。注目商品は「生本まぐろの中とろ」や「本ズワイ蟹」といったところでしょうか。

中トロや本ズワイ蟹、赤海老を好きなだけ食べられる点はお得感があります。

◆50種類のメニューが待ち構えるバイキングコーナー

いろはバイキングは50種類のメニューを取り扱っています。強気な値段を考えると、唐揚げソーセージなど定番メニューよりも時価単価の高そうな海鮮を攻めた方が賢明でしょう。

豪快に山盛りにされたカニの皿は、見ているだけで優越感に浸りそうになる光景です。

また、新鮮なホタテや赤海老を焼きたてで食べられるコーナーでは、職人さんが焼き加減を見極めて焼いてくれます。

定番メニューの揚げ物は、唐揚げやフライポテトはもちろんのこと、マグロやカキといった海鮮をメインとした揚げ物もあります。

和風の一品料理コーナーには、マグロの煮つけや鶏のあんかけが並んでいます。

◆インパクトしかない!マグロの頭がお出迎え

思わず目を奪われたのが大きなマグロの頭。なかなか至近距離で目の当たりにする機会はありませんから、貴重な体験になりました。こうした演出も付加価値の一つなのかもしれません。それにしても、威圧感がある。

光沢感と鮮度の良さを感じる刺身も並んでいます。酢飯も用意されているため、自分の好きなように海鮮丼を作り上げるのも可能。

ケーキやワッフルなどのデザートも充実しています。ただ、デザートコーナーには、強気の値段を支えるような目玉商品はないように感じますね。

お酒の飲み放題プランもあり、セルフサービスになっています。好きな濃さに調整できるのは嬉しいポイントかもしれません。

◆贅沢な一品料理に心が躍る

活き活きした鮮度の高さが伝わってくる刺身たち。特に中トロは、口に入れた瞬間に舌先の温度でほどけてくる。臭みもなく、魚本来の旨味がダイレクトに味わえます。

広島カキフライには、たっぷりとタルタルソースを乗せていただきました。ミルキーなカキの甘味。そこへ濃厚なタルタルソースが旨味の後押しを仕掛けてくる。口の中で、互いの旨味が重なり合い、クリーミーでコク深い美味しさを与えてくれます。

濃厚カニクリームコロッケの衣はサクサクとした歯切れの良い食感。中から溢れ出てくる濃厚なカニクリームがたまりません。一瞬で口の中が充実感で満たされていきました。

色が変わり、味が染み込むまで丁寧に煮込まれたであろう「絶品!本まぐろの煮つけ」。マグロの旨味を逃がすことなく凝縮した味わい。味付けは家庭的でシンプルなものですが、マグロ本来の旨味が活きた逸品ですね。

◆カニやホタテを豪快に食べ尽くす

豊洲市場直送の「本ズワイ蟹」は、カニ好きにはたまらないメニューでしょう。食べ放題の元を取るためにも、多めに食べておきたい一品。

小刻みに震えるカニの身に、いろは特製の酢タレを付けて食べれば、プルプルしたカニの柔らかさが出迎えてくれる。そして、カニのほのかな甘味が優しく口に広がっていき、新鮮な旨味に酔いしれます。

ホタテもエビも焼き上げたことで、香ばしい磯の匂いが漂っています。ホタテは跳ね返すくらい身に弾力があって、食べ応え満点。エビは、殻ごと食べられるくらいにパリパリに仕上がっています。プリっとしたエビの食感が心地良い。

◆ラーメンやカレーだって侮れない!

いろはのメインは海鮮ではありますが、ご飯やラーメンだって充実しています。ぶつ切りのネタが散りばめられた「バラちらし寿司」は、レンコンのシャキッとした歯応えが特徴的。そんな「バラちらし寿司」のポテンシャルをより高めてくれたのが「明太子たくあん、もずく酢、イカの塩辛」。それぞれが、ちらし寿司と良く合い、味にアクセントを与えてくれました。

また、海鮮ラーメンは、魚介の旨味が凝縮された出汁が、味わい深くてクセになるスープ。具材のつみれは、ふわふわと柔らかな食感。それでいて、魚介の旨味も閉じ込められています。食べ放題のラーメンとしては、クオリティは高めですね。

エビを筆頭に、大きめにカットされたイモやエリンギがゴロゴロと入った海鮮スープカレーは、ガツンと魚介のエキスが効いたスパイシーな味わい。魚介の旨味が溶けだしているためコク深く、ご飯と良く合いますね。これは侮れないカレーでした。

◆〆に食べたくなるデザート

デザートの中で気になったのが「生抹茶どら焼き」。ふわふわと柔らかい口当たりで、後から抹茶のほろ苦い風味が甘さを優しく包み込む。上品さを感じる仕上がりです。

◆「いろは」独自の楽しみ方!

いろはでは、面白いアイデアを提案しています。それがオリジナルレシピ。好きな刺身のネタを好きなだけ盛った自分好みの海鮮丼が作れます。また変化球食べてみたいならば「いろは」がおすすめする、ネギトロとソフトクリームを組み合わせた「とろけるコラボ」を試してみるのも面白いでしょう。

そして、驚くべきことに。マグロの解体ショーが見学できるのです。上質な赤身や中トロは、さばいた後にバイキングで提供されます。切り分けられた部位をリアルタイムで食べられるのは、独自サービスと言えるでしょう。

今回は時間の都合上、解体ショーが見られずに残念でした。解体ショーは、市場休業日以外は毎日開催しているとのこと。タイミングが合えば、解体ショーを楽しみつつ、食べ放題も満喫できるかもしれません。

強気の価格設定をしているだけあって、魚の鮮度や質は本物でした。マグロ解体ショーや希少部位が食べられるのは、他のバイキングにはない独自サービスと言えるでしょう。ただ、それらを加味したとしても、強気すぎる値段設定に感じたのは否めません。万人受けを狙ったバイキングではないのかもしれませんね。

<取材・文/みくた
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みくた
プロレスラー。現在は文章で人を魅了するためにライターとして活動中。溢れ出す食への探求心から年間100件近く食べ歩き。マスクの下に隠す素顔はいかに… X(旧Twitter):@UrumantoN