泉澤恵一朗と申します。20代専門の人材紹介サービス会社を経営するかたわら、若い世代の仕事観に関する情報を発信しています。

◆上司、先輩は知らない「若手社員が会社に失望する瞬間」

 あなたの会社に入社したばかりの若手社員が、期待とは裏腹に失望の表情を浮かべる日が来るかもしれません。

 それは、彼らが抱いていた理想と現実のギャップ、成長への期待と現場の日常の違いが、心の中で小さな不安の種を生み出すからです。こうした若者は今、急激に増加しています。

 今回は若手社員が会社に失望してしまう瞬間と、そこからどう前に進むかをわかりやすく解説します。

 マネージャーのポジションになると、チーム全体の売り上げを管理するようになるため、次のような会話が生まれることはよくあることだと思います。

「目標達成してるのに、チームの為にあと〇〇円売上作ってこい!!!」

 しかし、このようなコミュニケーションをとってしまうと、部下は目標を達成したにもかかわらず、その達成感が否定されたように感じて、モチベーションが下がります。さらに無理を強いると、心身が疲弊し、ストレスが溜まり、いわゆる燃え尽き症候群を引き起こすリスクが高まります。

◆モチベーションの維持は会社の最重要課題

 大手企業にいた当時の私もそうでした。月末になってからチーム売上を達成者がカバーするように、メンバーの前で怒号が飛ぶ日々。

「お前はいつもないところから売上を作ってきただろう! 今月もあと一件決めてくれ!」

 上司の指示はいつも無茶ぶりで、思考停止で「売上、売上」と叫ぶばかりでした。目標を達成することの重要性やその背後にある会社の戦略が見えないので、正直失望していました。

 セールス部門のモチベーションは会社の売上と成長に直結します。私が今の会社を立ち上げたときから、このセールスのモチベーションをどのように維持するかという課題は最重要事項として、常に考え続けてきたことです。

 実際に私の会社でマネージャー層がチームの売上を最大化するためのコミュニケーションで特に意識しているポイントをいくつか紹介したいと思います。

 まず、マネージャーが責任を負うのはチームの売上ですが、そもそもチームの売上目標は会社全体の売上のどの部分に寄与しているのかをチームメンバーに把握してもらう必要があります。

 そのためには毎月のノルマを達成した先に、年間売上がどの程度成長するのか、それが来年度以降のどの事業への投資に回るのかを説明しておくことをおすすめします。目標達成をすることで、適切な評価や報酬や事業成長が見え、メンバーのモチベーションが高まるからです。

◆適切な目標を掲げてメンバーに共有する

 そして、月間の目標についてはそもそも一朝一夕で達成できるものではないことをマネージャーは理解することが重要。弊社のような人材会社だと売上が上がるまでに1か月から2か月のリードタイムがあります。

 そのため、今月の目標ではなく、来月の目標を前月から仕込んでおく必要があり、週次ミーティングで追いかけるのは来月の目標です。来月のリード獲得のための動きを今月できているかをマネージャーとメンバーは把握する必要があります。

 それでも、どうしても今月の目標が足りないという場合は、新規顧客を獲得するという方法は現実的ではありません。今月売上が立ちそうな顧客の売上をもう一段引き上げる動きや、リリースになってしまいそうな顧客を引き戻す動きのほうが現実的でしょう。

 そうした地に足がついた戦略を考えることもマネージャーの重要な役割なのです。

◆「この会社でずっと働いていていいのか」と悩むZ世代

 セールスの目標は通常、毎月毎月リセットされるものです。そうすると、当然メンバーは仕事に対して飽きがきて、成長が鈍化していきます。

 Z世代1990年代半ばから2010年代初頭にかけて生まれた世代)のキャリアプランは年々スピードアップしています。弊社への転職相談に一番多いのは「この会社でずっと働いていていいのか」という悩みです。

 毎月、同じ目標に向かって努力することがルーティンとなった停滞感や退屈感は、モチベーションの低下や将来に対する不安に必ずつながっていきます。そうすると一年と経たないうちに人材は流出していくでしょう。

 仕組み化された組織ほど、属人性を排除する動きが強くなるので、個人の成長とは真逆になり、そうした組織では若手が活躍することはできません。新しいチャレンジは常に超属人化されているものです。

 仕組み化された業務と、属人化された業務(仕組み化できていない業務)を分離し、属人化された業務を仕組み化するためにハイパフォーマーな人材をあてがうことは重要です。

◆「無茶な目標設定」と「ルーティン化された目標設定」に失望

 私の会社では、目標達成した優秀な若手メンバーにはどんどんマネージャー業務を任せたり、マーケティングなどの別部署のプロジェクトに参加してもらったりと、メンバー個人のやりたいことを聞き、チャレンジしてもらうようにしています。

 20代の若手サラリーマンが自分の会社に失望するのは「無茶な目標設定」と「ルーティン化された目標設定」が原因なのです。

 働き方が多様化する現代、隣の芝は青く見えやすい。若手サラリーマンが求めているのは間違いなく、スキルアップできる環境だといえます。

 そして、そうした環境を提供するのは、先手を打ち続けるマネジメントと仕事の多様性を確保する組織体制でしかありません。

 今一度、自社の若手社員のポテンシャルに目を向けてみてはいかがでしょうか。

【泉澤恵一朗】
20代専門転職アドバイザー、株式会社デザイナー代表取締役CEO。1995年、大阪生まれ。キャリアアドバイザー兼ヘッドハンターとして過去2000人ほど、就活・転職相談に従事している。特に20代のキャリア支援には定評があり、26歳という若さで2022年には西日本ベンチャー100に選出される