韓国4大事務所の1つ、“SM ENTERTAINMENT”の所属アーティストが一堂に会したイベント「SMTOWN LIVE 2024 SMCU PALACE @TOKYO」が、2024年2月21日、22日に東京ドームで開催された。

【写真】音楽活動を休止していたヒチョルの登場で、東京ドームを揺らしたSUPER JUNIOR

■13組55名のアーティストが参加

この「SMTOWN LIVE」は、東方神起、SUPER JUNIOR、NCT、aespaなど、SMエンターテインメント所属のアーティストが一度に見られるだけでなく、グループの垣根を越えた数々のコラボステージも見どころの、お祭り的なイベント。韓国ではもちろん、世界各地でコンスタントに開催され、東京ドーム公演としては通算20回目となる今回は、13組55名の所属アーティストが参加した。

■トップバッターはデビューしたばかりのNCT WISH

オープニングを飾ったのは、2月28日に1stシングル「WISH」をリリースしたNCT WISH。そのCD発売を6日後に控えたこの東京ドームでのステージで、“正式デビュー”となった。約47500人の観客を前に、緊張の面持ちながらも1曲目の「NASA」を堂々とパフォーマンス。歌い終わった後、ついに正式デビューが叶った喜びと、この記念すべき日を東京ドームのステージで迎える事が出来た感激の気持ちを溢れさせ、「これからも成長し続けて、カッコいい先輩たちのようになる為に頑張るので、皆さんにもゼヒ応援していただけたら嬉しいです!」とフレッシュ感満載で意気込みを語り、会場から温かい拍手が起きた。興奮と緊張が伝わるMCに続いて披露したプレデビュー曲「Hands Up」では、MCでのぎこちなさから一転、元気爆発で余裕も感じさせるパフォーマンスで会場を掌握。トップバッターとしての役目を見事に果たした。

■「SMTOWN」でしか見られない多彩なコラボステージ

少女時代のヒョヨンが、ラップにWayVのヤンヤンを迎えて「DESSERT」を披露した後は、SUPER JUNIOR Mのメンバーでもあるチョウミが登場し、SUPER JUNIORのウニョクと「Manana(Our Drama)」をデュエット。「SMTOWN」への参加は8年ぶりとの事で、「皆さん、会いたかったです」と流ちょうな日本語で挨拶。そして、「SMTOWN」で一緒にパフォーマンスするのは初めてで、「いつか皆さんに聴いてもらいたいと思ってたのですが、まさに今日ですよね!」と、笑顔いっぱいで紹介した後、SUPER JUNIORのリョウクと共に「Starry Night」をムードたっぷりにデュエットし、歌い終わるとお互いに抱き合い、変わらぬ友情を見せた。

続いては、“SMの長男”KANGTAのピアノ演奏と共にNCT 127のドヨンが「Doll」を情感たっぷり熱唱。KANGTAは、「美しい歌声のドヨンさんと一緒に歌ったら、ボクの歌声ももっと美しく聞こえる気がした」と、後輩のドヨンに感謝。このように先輩と後輩のコラボが楽しめるのが「SMTOWN」の醍醐味。コラボで新たな一面が見られてますます好きになったり、推し以外のアーティストに興味を持つきっかけにもなり、この後のコラボステージにも期待が高まる。

■日本での「SMTOWN」初参加のRIIZE

VTRを挟んで、日本の「SMTOWN」初ステージとなるRIIZEが登場し、会場のボルテージが一気に上がった。日本での正式デビューはまだだが、すごい声援。デビュー曲の「Get A Guitar」に合わせて掛け声が会場中に響き渡り、メンバーの一挙手一投足に歓声が上がる。グループカラーのオレンジ色一色になった会場を見渡して感激するメンバーたち。そして、熱気を肌で感じた彼らは「今日も、あっちぃね」と嬉しそう。現在、新たなアルバムの準備中だと明かし、会場を湧かせた後は、「LOVE 119」を日本語で披露し、日本での正式デビューにも期待を抱かせた。

■ガールクラッシュの魅力爆発のaespa

会場の温度が上がりまくったところに登場したのはaespa。SNSのダンスチャレンジでも盛り上がった「NEXT LEVEL」をバンドパフォーマンスver.で披露し、一緒に踊るファンも。1人1人の挨拶では、ジゼルが「ただいまー!」と言い、会場から「おかえりー!」の声が。今夏、日本でのアリーナツアーが決定した、と嬉しいお知らせをした後、これまた大ヒットの「Spicy」を。セクシーで力強いダンスでガールクラッシュな魅力を爆発させた。

セクシーさではWayVも負けていない。妖艶で官能的な雰囲気で「Love Talk(English ver.)」をパフォーマンス。そんなセクシーさから一転、MCでは1人1人日本語で挨拶して、カワイさを見せ、そのギャップがたまらない。そして、シャオジュンライブビューイングや配信で観ているファンに、カンペを見ながら噛み噛みで日本語のメッセージを贈り、心が折れそうになったところを、メンバーが「よくやった!」と拍手で頑張りを誉める一幕も。不慣れな中でも一生懸命日本語を話してくれる姿が嬉しい。MCでなごんだ後は、「みんな大好きな『Phantom』です!」と曲紹介をして、再びカリスマも感じさせるセクシーな“WayV ワールド”に引きこんだ。

■日本の有名曲もカバー

そして、SUPER JUNIORのイェソンがソロでOfficial髭男dismの「Pretender」を。確かな日本語と卓越した歌唱力で歌の世界を表現し、カバーを越えて彼の持ち歌かと思うほどだった。今回の公演では、他にも、Red VelvetWENDYとaespaのWINTERがあいみょんの「空の青さをする人よ」、東方神起チャンミン、SUPER JUNIORのキュヒョン、RIIZEのショウタロウYOASOBIの「アイドル」と、日本の有名曲を披露。日本の観客を楽しませる趣向に溢れ、会場は大いに盛り上がった。

Red Velvetのスルギ、NCT DREAMのジェノ、aespaのカリナ、RIIZEのウォンビンの「Hot & Cold」に続き、NCT 127が登場。カジュアルなジャケット姿で「Be There For Me」を歌い、会場中が幸せな気持ちで満たされた。

ドームを揺らした、SUPER JUNIOR・ヒチョルの登場

SUPER JUNIORのリョウクがRIIZEのソヒとデュエットした「Little Prince」、少女時代テヨンの「To.X」、アイリーン&スルギの「Monster」と続き、再びNCT WISHが登場。彼らが誕生したオーディション番組「NCT Universe:LASTART」の課題曲だったSUPER JUNIORの「U」を披露し、ファンは大歓喜。1コーラスを終えたところで曲が一瞬止まり、本家SUPER JUNIORが登場。まさに夢のコラボが実現した。

更に特筆すべきなのは、ヒチョルの登場。彼は過去の交通事故の後遺症の為、この数年はSUPER JUNIORの音楽活動に参加していなかったが、今回、リーダーのイトゥクに誘われて急遽参加を決めた。「U」ではおなじみの扇をヒラヒラさせるヒチョルの姿に、ドームが揺れた。比喩ではなく本当にドームが揺れていた。「もうヒチョルが踊る姿は見られないかもしれない…」と思っていたのに、ある意味“奇跡”とも呼べるこの光景に観客は胸を熱くし、涙を流すELF(SUPER JUNIORのファンの名称)も数多く居た。

続くコラボも観客を歓喜させた。「2023 MAMA AWARDS」での東方神起とRIIZEの「Rising Sun」のパフォーマンスを、今回再び披露したのだ。ナマでこのステージを見る事ができ、ファンは大興奮だった。

■NCT DREAMは、久しぶりの楽曲を披露

興奮が冷めやらぬ中、NCT DREAMのステージへ。NCTのグループカラーのガウンを羽織って登場し、まずは日本デビュー曲の「Best Freiend Ever」を。メンバー同士楽しそうに絡みながら歌う姿に、こちらも笑顔になる。「ワンちゃん、ジェノでーす」「お姫様と王子様、こんばんは。皆さんのウサギちゃんとネコちゃん、ジェミンです」など、個性溢れる自己紹介をして、ファンをキュンキュンさせた後、ガウンを脱ぎ、センターステージに移動しながら久々の披露となる「We Go Up」でさらに盛り上げた。

■20年目の貫禄を見せつけたSUPER JUNIOR

少女時代テヨンとNCT 127のジェヒョンのスイートなコラボや、NCT 127テヨンのソロステージ、今年10周年を迎えるRed Velvetのステージの後、再びSUPER JUNIORが登場し、「Sorry,Sorry」をロックアレンジで披露。「Sorry Sorry Sorry Sorry!」と客席とのコール&レスポンスでヒートアップした後、ステージ後方にヒチョルが登場し、またまた大歓声が。歌の最後に彼が「SUPER JUNIOR―っ!!」と叫び、会場の興奮は頂点に達した。

上がった息が収まらない中、MCゾーンへ。MCに与えられた時間は3分。9人がそれぞれ自分の言いたい事を一斉に話し出し、何を言ってるのか全くわからず、観客は大笑い。そんな散らかりまくったMCも彼らの持ち味だ。そして、今日はキュヒョンに話す権利を与える事になったが、4月に東京と大阪で行われる自分のソロコンサートの宣伝をし始めて、メンバーからブーイング(笑)。それを物ともせず、彼は「まだまだ売り切れてはないだから、お申込みしてください!」と宣伝を続け、ヒチョルに強制退場させられていた(笑)。その隙を狙って、ドンヘとウニョクは2人のユニット“D&E”のコンサートの宣伝を…。トークが止まらない中、3分が経ち、強制的に暗転となって「BONAMANA」のイントロが。慌てて立ち位置につき、カリスマ溢れる姿に一瞬で戻り、20年目の貫禄を見せつけた。

NCT 127テヨン、NCT DREAMのジェノ、WayVのヘンドリーとヤンヤン、そして紅1点のaespaのジゼルによるゴリゴリのヒップホップナンバー「ZOO」の後は、TENのソロ曲「Nightwalker」。シースルークロップド丈のノースリーブで、女性ダンサーを従えてしなやかに妖艶に踊る姿が美しく、世界観に引きこまれてしまうパフォーマンスだった。

ワイルドな姿で魅了したNCT 127

これまでの「SMTOWN」のシーンが順番に流れる歴史を感じさせるVTRの後は、各アーティストが次々に1曲ずつ披露。そして再びNCT 127が登場。先程のさわやかブレザー姿から一転、革のジャケットに濃いメイクでワイルド全開で「2 Baddies」を。さわやかイメージも危険でセクシーな面もどちらもハマる、この振り幅の大きさが彼らの魅力だ。

「ボクたちのコンサート、観た事がありますか?」と尋ねると、ほとんどの観客が「はーい!」と答える。そこで、「Fact Check」の掛け合いを試す事に。「Check the facts,go check that」の彼らの声に合わせて、会場中が同じように叫び、それがしばらく続いた後、「一緒に歌って!」と曲が始まった。単独コンサートさながらの熱狂だ。

■大トリは東方神起

ラストを飾ったのは、東方神起。グループカラーの真紅のジャケットで「Rebel」を披露した後、メインステージからセンターステージに移動し、スタンドのファンも気遣う。そして、ユンホが「『SMTOWN』の主人公は、皆さん」と、超満員の会場に感謝した。ラストソングは、彼らの代表曲の1つでもある「呪文-MIROTIC」。チャンミンが「最後までもっともっと大きな声で叫んでくださいね」と言って、タイトルを告げると、会場から大歓声が起きた。

エンディングは、「SMTOWN」の最後を飾る曲「Hope from KWANGYA」。全員がイベントのTシャツを着て登場し、トロッコで会場を周ったり、ステージの端まで行ってファンサービスをしたり、また、スマホでお互いを撮り合ったり、会場の光景をカメラに収めたり…。グループも先輩後輩も入り乱れて思い思いに楽しむ姿に、ファンも嬉しくなり幸せいっぱいに。“SMファミリー”の絆が感じられる瞬間だった。

48曲ノンストップで、約4時間があっという間。外は厳しい寒さだったが、大いに楽しみ満足して、温かい気持ちで帰路についた。

◆取材・文=鳥居美保

13組55名が集合した光景は圧巻/(C)髙村祐介、釘野孝宏