人口爆発、環境破壊、食糧難、超格差社会……50年前にリチャード・フライシャー監督が現代社会の恐るべき惨状を予言していた衝撃作「ソイレント・グリーン」デジタル・リマスター版が5月17日から公開される。

ミクロの決死圏」(1966)、「絞殺魔」(1968)などでも知られるフライシャー監督が、SF作家ハリイ・ハリスンが1966年に発表した「人間がいっぱい」を原作に、人類の行く末を描く。1973年に製作されている映画であるにも関わらず、人口爆発・異常気象・食糧難・資源枯渇・生態系崩壊・貧困など、21世紀の世界が抱える問題を真っ直ぐに見つめた予言的映画だ。

舞台は、爆発的な人口増加により人々には住居もなく、急激な気候変動による環境破壊で熱波にさらされるニューヨーク。食料難は状態化しており超格差社会に生きる人々は、無為に街中をうろつき、ただ週に一度政府から配給される「ソイレント」なる栄養食品を待つばかえりの日々を送っている。そんな中、究極の栄養食を謳う新製品「ソイレント・グリーン」を発表したばかりのソイレント社幹部サイモンソンが何者かに殺害される。殺人課の刑事ソーンが事件の捜査を開始する……。

近未来を題材にしたSF作品が数多とあるなかで、50年の時を越えてもなお、これほど現実とリンクした未来予想図はないと感じさせる衝撃作だ。併せて、得体の知れない栄養食品「ソイレント・グリーン」の佇まいが印象的なティザービジュアルも披露された。世界中の海から集められた、エネルギーをたっぷり蓄えたプランクトンから生成された"ミラクルフード"というが……毎週火曜日に配給される謎の物体を本編で確認してほしい。

5月17日からシネマート新宿ほか全国にて順次公開。

謎に包まれた緑色の物体 (C)2024 WBEI.