スタジオジブリ作品の世界観が楽しめるジブリパークの新エリア「魔女の谷」が3月16日(土)に開園する。それに先立ち、2月28日にメディア向けの内覧会が開催。ジブリパークのある「愛・地球博記念公園内」で同日「ジブリパーク施設説明会」が開かれ、ジブリパークの制作現場を指揮したスタジオジブリ宮崎吾朗監督が登壇。「およそ 7年の歳月をかけてやっとここまで辿り着いてほっとすると同時に、愛知県の皆さん、設計会社や施工会社といったあらゆる人たちに感謝したいという気持ちでいっぱいです」と感慨深い表情で語った。

【写真を見る】いまにも動きだしそう!「魔女の谷」にあるハウルの城が迫力満点

「魔女の谷」は魔女が登場するジブリ作品をイメージしたヨーロッパ風のエリア。『魔女の宅急便』(89)の「グーチョキパン屋」や「オキノ邸」、『ハウルの動く城』(04)の「ハッター帽子店」や「ハウルの城」、『アーヤと魔女(21)の「魔女の家」が建っているほか、「メリーゴーランド」や「フライングマシン」といった遊具、レストラン、ショップなどが入っている。

宮崎監督は「『魔女の谷』は森に囲まれているので、周りの世界とは切り離されたような独自の空間を生みだせると思いました。ジブリ作品は日本を舞台にした和風な作品もあれば、ヨーロッパを彷彿とさせるようなファンタジックなものも多いんですよね。そこで、魔女をテーマにした洋風な世界観を作ってみました」と同エリアのコンセプトについて述べた。

ハウルの城」については「(簡単に)図面に引けない建物ですよね。平面的に見ても、直角で交わるところがあまりなくて、なおかつ建物の下部は不思議な形をしているので、三次元的に設計する必要がありました。コンピュータがあって本当に良かったです(笑)」と説明。「サツキとメイの家」については「2005年の愛知万博の時に建てさせていただいたので、もう20年経つんですよね。今後20年も100年もジブリパークが愛されることを願っています」とコメントした。

■『魔女の宅急便』に登場する「グーチョキパン屋」や「オキノ邸」に行ってみたい

魔女の宅急便』の主人公、キキと黒猫ジジが暮らしたパン屋「グーチョキパン屋」は、ヨーロッパの伝統的な木造建築技法であるハーフティンバー様式の2階建ての建物となっている。1階のパン屋では実際にパンをテイクアウトできるし、キキやジジが寝泊まりした屋根裏部屋に入ることができる。

また、キキが魔女の修行に旅立つ前まで過ごした「オキノ邸」の前には、四季にちなんだ花や草が植えられた庭園が。家の隣には車庫があり、1階の玄関から中に入ると、左側にあるのは母親のコキリが薬を作っている魔女の店も。ほかに客間や居間、台所もある。そして2階にはキキの部屋や、魔女を研究している父親の書斎があり、オキノ一家の生活を垣間見ることができる。

■『ハウルの動く城』の「ハウルの城」は生き物のような存在感が!

ハウルの動く城』で主人公ソフィーが切り盛りする「ハッター帽子店」は、ヨーロッパの伝統的な木造建築技法であるハーフティンバー様式の外観が印象的。ソフィーの作業場やショップがあり、中庭から建物の奥に進むと、ソフィーが帽子を製作する作業場をのぞくことができる。1階のショップではオリジナルのキャンディー缶や帽子を販売し、中庭から2階に上がると、魔女や魔法にまつわる書籍が揃う本屋「魔女の本棚」がある。

ハウルの動く城』の「ハウルの城」は、まるで生き物のような形をした存在感のある城(高さ約20m)だ。1時間に数回、城の一部が動き煙を吐くというまさに“動く城”となっている。城の周辺には劇中を彷彿とさせる荒地が広がり、かかしのカブがたたずんでいる。 2階建てで、正面の階段から1階に入ると、薄暗い雰囲気の居間があり、カルシファーの炉や流し台、テーブル、ソフィーの部屋などがある。2階にはハウルの寝室やハウルの衣裳部屋、ハウルアトリエのほか、浴室やマルクルの部屋があり、城の中での生活感がうかがえる。

■『アーヤと魔女』のアーヤが過ごす「魔女の家」も登場

アーヤと魔女』の主人公アーヤが引き取られた「魔女の家」には、魔女ベラ・ヤーガの作業部屋や、アーヤの寝室などが再現されている。

ベラ・ヤーガの作業部屋は怪しげな雰囲気に満ち、ミステリアスな魔法の材料が隙間なく置かれている。ベッドなどが置かれたアーヤの寝室にあるのぞき穴からは、どんな世界が見えるのか、ワクワクしてしまう。ほかにも図書室やバスルーム、キッチンなども配されている。

なお、チケットは、魔女の谷開園で5エリアすべてが揃う3月入場分から新しくなり、エリアごとに販売してきた従来のチケットから、ジブリパークの複数エリアを周遊できるチケット「ジブリパーク大さんぽ券」に変更される。これは、5エリアすべてを周遊できるスタンダードなチケットで、魔女の谷ではヨーロッパ風の世界に浸りながら、「グーチョキパン屋」や「ハッタ―帽子店」などの入場や観覧、「メリーゴーランド」や「フライングマシン」の利用ができ、さらに「ジブリの大倉庫」では映像展示や3つの企画展示、子ども向けの遊び場などを楽しめる。また、カフェ・レストランやショップ、もののけの里の「五平餅炭火焼(ごへいもちすみびやき)体験」にも利用できる(一部は、別途有料となる)。

また、ジブリパーク大さんぽ券と同様に5エリアすべての入場に加え、「地球屋」(青春の丘)、「サツキとメイの家」(どんどこ森)、「オキノ邸」、「ハウルの城」、「魔女の家」(以上、魔女の谷)の特定5つの建物内部を観覧できる。「ジブリパーク大さんぽ券プレミアム」も販売される。

チケットは予約制で、毎月10日14:00に発売され、3月10日(日)14:00に5月入場分が発売される。チケットはBoo-Woo(ブーウー)チケット、ローソンミニストップ店頭の「Loppi」、ローチケWEBなどで購入可能だ。ぜひこの春、映画の世界観に没入できる「ジブリパーク」を訪れ、童心に帰ってジブリ映画の世界観を堪能して。

文/山崎伸子

ジブリパークの新エリア「魔女の谷」のグーチョキパン屋/[c]Studio Ghibli