米ヒップホップ界の大御所、ランDMCジャムマスタージェイことジェイソン・ミゼルが2002年に殺害された事件の裁判で、現地時間2024年2月27日に陪審員から有罪の評決が下されたことを受け、故人の息子であるT・J・ミゼルを通じて遺族が28日に米ビルボードに声明を発表し、正義とアカウンタビリティー(結果に対する責任)を果たすために関わったすべての人に感謝した。

 遺族は、「検察当局、警察当局、そしてこれらの人物たちを裁くことに関わったすべての人々に深く感謝します。彼らの揺るぎない献身は、ジャムマスタージェイを失った悲劇に対する一定のアカウンタビリティーを確実にしました。振り返るために立ち止まると、ジェイが数え切れないほどの人生に与えた深い影響が思い出されます。彼のレガシーは、その音楽、その精神、そして私たちが大切にしている思い出を通して続いています。私たちは彼の思い出を称え、彼が残した不朽のレガシーを祝うことに全力を尽くしていきます」と述べている。

 そして、「この困難な旅を通して私たちを支えてくれたすべての人々に、心からの感謝を捧げます。皆様の愛、優しさ、そして揺るぎない支援は、私たちの最も暗い瞬間における強さの源でした。彼の音楽と、世界に与えたポジティブな影響を通じ、ジェイの思い出を称え続けるようお願いします。私たちの喪失の痛みは常に残るでしょうが、正義が果たされたとわかって慰められます。私たち家族は神の計画を信じており、その信仰こそが、ずっと前に気持ちの整理をつける助けとなりました。ジェイの人生の功績を称えることによって、彼のレガシーを支え続けているすべての人々に感謝しています」と声明は続いている。

 殺人罪で有罪判決を受けたカール・ジョーダンジュニア(40歳)とロナルドワシントン(59歳)は、それぞれ最低20年の禁固刑に処せられる。彼らは裁判官と、連邦控訴裁判所に対し評決を争う選択肢がある。

 伝説のラップ・グループ、ランDMCのメンバーとして有名だったジェイは、2002年10月に米ニューヨーク州クイーンズで殺害された。彼の死は2020年までヒップホップ界で最も有名な未解決事件の一つであり続けたが、刑事たちが十分な手がかりを掴み、検察がジョーダンワシントンを起訴することになった。

 3週間に及ぶ裁判では、30人以上の証人がジョーダンワシントンに不利な証言をし、ジェイからコカイン取引を打ち切られた仕返しとして彼を殺害したと告発した。

 有罪評決を受け、ブリオン・ピース連邦検事は声明で、「ジェイソン・ミゼルを彼のレコーディング・スタジオで殺害してから20年以上が経過した今、ジョーダンワシントンはついに強欲と復讐に駆られた冷酷な犯罪の責任を問われることになった」とコメントした。

 ワシントンの弁護士であるスーザン・G・ケルマンは、この件に関して異なるスタンスをとっており、裁判では依頼人にふさわしい正義が与えられていなかったと考えているようだ。彼女は、「(検察は)動機をでっち上げ、厳然たる事実を否定した。彼らがただ無関心だったことが、この国の現状を物語っている。真実はもはや考慮の対象ではなく、私たちは本当に“代替的事実”の世界に生きている。そして、それは正義ではない」と米ビルボードに対し声明でコメントした。

ランDMCの故ジャム・マスター・ジェイ殺人事件の裁判で被告2名に有罪評決