ユヴェントスに所属している元フランス代表MFポール・ポグバが、ドーピング陽性反応による4年間の公式戦出場停止処分が正式に決定したことを受け、スポーツ仲裁裁判所(CAS)へ提訴する意思を明らかにした。

 ポグバは昨年8月20日、今季のセリエA開幕節ウディネーゼ戦でメンバー入り。同試合で出番はなかったものの、試合後には無作為に薬物検査の対象として選ばれ、筋力増強などの作用があるテストステロン値の上昇が確認された。その後、イタリアの反ドーピング機関(NADO)は、ポグバから検出された物質が「非内因性のテストステロン代謝物であった」と発表。ポグバは、反ドーピング規定への違反を理由として暫定的な資格停止処分を科され、9月3日に開催された第3節エンポリ戦の出場を最後に、全公式戦を欠場していた。同期間、ポグバの年俸は最低金額の39000ユーロ(630万円)まで引き下げられていた。

 この検査結果を不服としたポグバは再検査を実施したものの、昨年10月6日に新たに採取されたBサンプルの検査結果でも再び陽性が確認された。NADOはテストステロン検査で陽性反応が出たことを受け、ポグバに対して2年間から4年間ほどの出場停止処分を要請。ポグバは処分の軽減が見込まれる司法取引はしないことを選択しており、この件はイタリアの反ドーピング裁決機関(TNA)にて審理されていた。

 そして29日、TNAがポグバに4年間の公式戦出場停止処分を科したことが明るみに出ていた。『スカイイタリア』など複数のメディアによると、出場停止となる期間は、暫定的な出場停止処分を科された2023年9月11日から2027年9月10日まで。ポグバユヴェントスの現行契約期間は2026年6月30日までだが、ユヴェントスは契約解除に向けて動き出す可能性もあるという。また、出場停止が明ける2027年9月には34歳となっていることから、そのキャリアに終止符が打たれる可能性さえ懸念されている。

 このような状況を踏まえ、ポグバは自身の公式Instagram(@paulpogba)を通して声明を発表。改めて出場停止処分は受け入れられない主張し、CASへ提訴することを明かした。

「本日、僕はTNAより処分内容を聞かされました。その判決は間違っている、そう信じています。僕がプロサッカー選手としてのキャリアを通して築き上げてきたすべてのものが奪われてしまい、悲しく、ショックで、胸が張り裂けそうです」

「法的規制から自由になった時、全容が明らかになるでしょうが、僕は反ドーピング規定に違反するサプリメントを故意に摂取したことはありません。プロのアスリートとして、禁止薬物を使用してパフォーマンスを向上させるようなことは絶対にしません。これまでに僕がプレーしてきたどのチーム、ならびに対戦したどのチームのアスリートも、サポーターも、決して軽視したことはありませんし、騙すようなこともしていません」

「本日発表された判決を受けて、僕はCASへ提訴する予定です」

 現在30歳のポグバはこれまでにユヴェントスで4度のセリエA制覇を成し遂げ、マンチェスター・ユナイテッド時代にもヨーロッパリーグやEFLカップのタイトルを勝ち獲っていた。フランス代表としても、FIFAワールドカップロシア2018では主力として6試合のピッチに立ち、母国の世界一に大きく貢献していた。

 ポグバの提訴を受け、CASはどのような裁定を下すのだろうか。

ポグバは第3節エンポリ戦を最後に公式戦のピッチに立てていない [写真]=Getty Images