ヘンリー王子は英国滞在中の警察警護をめぐる異議を申し立て、内務省が警備の変更を決定したのは「不当で不利な扱いだ」と主張していたが、高等法院で「手続き上の不正はなかった」と判決が下された。裁決文書では、王子が「その人の名前を教えて欲しい」と警察警護の変更を決定した人物を知ることを要求したことも明らかになった。王子は今回の判決を不服とし、上訴するつもりだというが、これに対して王子の元ボディガードは「大きな間違いを起こしている。決して勝つ見込みはない」と懸念を示した。

ヘンリー王子メーガン妃は、2020年1月に高位王族からの引退を発表し、その後米国に移住した。これを受けて2月には、王族や公人の保護を扱う王室・VIP執行委員会「Royal and VIP Executive Committee(以下、RAVEC)」が、王子に対して税金による警察警護を与えないとの決定を下した。

その後、王子は警備費を自己負担すると申し出たものの、内務省から拒否されたため異議申し立てをする許可を求めた

ヘンリー王子の弁護団は当時、王子が英国滞在時の警察警護が受けられないという決定について「不当に、他の人達よりも不利な扱いをされている」と主張していた。

そして現地時間2月28日に英ロンドンの高等法院で行われた裁判で、王子の異議申し立てを棄却する判決が下された。

退官した高等法院判事のピーター・レーン卿は、王子の警護のステータスを変更する決定について「違法でも不合理でもなく、手続き上の不正もなかった」と裁定した。

レーン判事は「仮にそのような手続き上の不公平があったとしても、いずれにしろ裁判所は請求者(ヘンリー王子)に救済を認めることはできないだろう」と述べ、こう続けた。

「なぜなら、そのような違法性を考慮しなくても、請求者にとっての結果は実質に変わらなかったという可能性が高いからである。」

また52ページに及ぶ裁決文書で、ヘンリー王子が「その人物の名前を教えて欲しい」と警察警護の変更の決定を下した政府の責任者の特定を要求したことも明らかになった。

王子は今回の高等法院での判決を不服として、上訴するつもりだという。王子の弁護団は「公爵は優遇措置を求めているわけではありません」と語り、「サセックス公爵は控訴裁判所から正義を得られることを望んでおり、訴訟が進行中である間はこれ以上のコメントは差し控えます」と付け加えた。

ヘンリー王子が英国での警察警護をめぐる裁判を続けることについて、王子の少年時代にボディガードを務めたケン・ウォーフ氏は英メディア『The Sun』の取材に応じ、このように述べている。

「彼は、このようなケースを裁判にかけるという大きな間違いを起こしました。決して勝つ見込みはないのです。」

ロンドン警視庁と政府は、彼のために全力を尽くすと言いました。それで十分だったはずです。彼は実際のところ、かなりの好待遇を受けているのですから。」

ヘンリー王子は米国に移住後、英王室の現役メンバー時代と同レベルの警察警護が自動的に提供されることはなくなったが、英国を訪問するほかの著名人と同様に、状況に応じた警備が決定されている。
(TechinsightJapan編集部 寺前郁美)

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