劇場公開中の『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が第4週にして動員207万人、興行収入34億円という大ヒットを叩き出している。現在は4DXやMX4D、Dolby Cinema(R)といった体感型シアターでの拡大上映も始まっており、SNSではまた違った映像体験ができると評判だ。実際、通常上映とは何が違うのか。今回はTOHOシネマズの4Dシアターに足を運び、噂の4DX版を体験してきた。なお、これから鑑賞に向かうという人のために出来る限りネタバレは避けているが、シーンへの言及を少なからず含んでいることは受け止めておいてほしい。(※本記事は『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の一部ネタバレを含みます)

【写真】話題になったラクスのパイロットスーツ姿。最終決戦でキラと共に!

■特殊効果が臨場感倍増の体験を作り上げる

まず体感型4Dシアターとは何か。これは可動する座席“モーションシート”の動きや水、風、はたまた香りといった特殊効果で演出されるアトラクションのような映画体験だ。入口で手荷物をロッカーに預け、スマホをはじめ電子機器の安全にも気をつけて着席すれば準備は万端だ。

4DXの特殊効果を生かした演出が加わると映像体験はどう変わるのか? 初体験の驚きは冒頭すぐにやってきた。ミレニアムの発進時、座席からの細かい振動でGが再現され、続くモビルスーツの発進時にはさらに大きな揺れがぶつかってくる。戦艦とモビルスーツとで種類の違う振動を起こし、Gの違いまでを体感させてくれるとは驚きだ。

大気圏突入では熱を帯びた風が吹き付け、戦闘になればさらにアトラクション感はマシマシに。アクションに合わせて激しく座席が揺さぶられ、ビームライフルの発砲に合わせて風が巻く。着水・離水では水飛沫が上がり、核ミサイルの大爆発では激しい振動と水、そして熱風がないまぜになって叩きつけられてくる。リピーター組なのでこのやってくるシーンは分かっていたものの、核爆発のあまりの体感には恥ずかしながらちょっと呆然となってしまった。

そんなアクションシーンだけでも新鮮な体験だが、それ以上に驚きだったのが、キャラクター描写にも体感演出が生かされているところだ。これは本当に予想をしていなかった新体験だ。心象風景でも工夫を凝らした4D演出があり、キャラクターの心に走る動揺や衝撃が、揺れなどの体感を通して伝わってくる。何より、オルフェ・ラム・タオの登場シーンで、すうっと鼻孔に入ってくるフローラルな良い香り。そう、嗅覚までを刺激する演出で、オルフェの貴人らしい強烈な個性を刻み込んでくる。これこそ4DXでなければ楽しめない、“ここだけ”の趣向と言えるものだ。

4DXだからこそ、より明確になるシーンの意図

今回の4DX体験の中で、これは一番の嬉しい収獲だった。通常劇場での鑑賞にはない体感が加わることで、主観と客観といった視点がより明確になってくるのだ。例えばストーリー冒頭、キラ・ヤマトたちコンパスが出動した市街地戦では、ブルーコスモスモビルスーツが巻き起こす爆発と大振動から逃げ惑う民衆の気持ちでスクリーンを眺めることになり、モビルスーツという“巨大兵器の恐ろしさ”をリアルに味わうことになる。

また、中盤最大の山場、あのズゴック登場シーンでは、体感視点はまさに操縦席から這い出た直後のキラのものに切り替わる。ズゴックが突然間近に現れる風圧、飛び散る水飛沫、轟音と振動が、キラの困惑と、アスランに向ける頼もしさとなって伝わってくる。そうした仕掛けで没入度も一層高まるため、正直、鑑賞中は4DX演出を悠長に分析している余裕などないほどだ。それだけ夢中になって観てしまうというすごさの現れで、劇場を出て、落ち着いたところで今こうして感想を綴っている。

■体感で気づく、映像に隠されていた新発見

さて、気になるのは盤上が二転三転する最終決戦が、4DXでどう演出されるかだろう。ド派手な乱戦で、シン・アスカブラックナイトスコードたちの乱戦では目まぐるしい体感視点の移動がありつつ、分身や様々な攻撃を繰り出すシンと、これに翻弄されるブラックナイトスコード、双方のリアクションを受け止めることになる。ここはもう体感してほしいと言うしかない。

総じて4DXは、最上質のアトラクションと呼ぶのが相応しい体験だった。「揺れる映画館」くらいに考えている人にこそ、ダイナミックなリアル体感で解像度の増した『SEED FREEDOM』を楽しんでみてほしい。前述したように映画全体の緩急もより明確に伝わってくるため、純粋な鑑賞としてだけでなく、物語やキャラクターへの理解も深まることになり、「4DX、良かった!」と間違いなくなるはずだ。

公開中の今でしか楽しめない体感型4Dシアター。長らく待ったSEED劇場版は、それを初体験するにはこれ以上にない機会。筆者は、次はMX4D、Dolby Cinema(R)での鑑賞へと向かってみたい。

文:佐野達郎

劇場公開中の『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』 (C)創通・サンライズ