松山は侍ジャパンを経験して一皮むけるか(C)産経新聞社

 3月6、7日に行われる侍ジャパンの強化試合・欧州選抜戦のメンバーが発表された。今秋のプレミア12に向けて新戦力発掘が大きな目的となり、多くの初選出者が生まれた。その中から今回は松山晋也(中日)について紹介したい。

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■令和に甦る山口高志
 松山は大卒2年目の右腕。今回選出された選手だと、小園海斗(広島)、万波中正日本ハム)、渡辺翔太(楽天)と同世代にあたる。中日だと根尾昂らと同世代だ。

 何と言っても、その豪快な投球フォームに目を奪われる。真上から叩きつけるような腕の振りは昭和の投手のようで、オールドファンに言わせると「山口高志(元阪急)を思い出す」という。常勝阪急の抑えの切り札・山口を彷彿させる松山からは、大物の香りがする。

 実際に投じられるボールも凄まじく、ストレートの最速は156キロ。落差の大きいフォークも空振りを奪うには十分な質を誇る。

■鮮烈なデビューイヤー
 青森出身の松山は八戸学院野辺地高、八戸学院大を経て、2022年育成ドラフト1位で中日に入団。高校、大学を通して目立った実績はなく、世代別代表の経験もなし。大学ラストイヤー、しかも秋のリーグ戦で頭角を表してプロへの切符をつかんだ。

 新人合同自主トレから強烈なインパクトを残し、ファームでは開幕からクローザーに就任。6月初旬までにウエスタン・リーグで最多の10セーブを挙げる活躍が認められ、支配下登録に変更。同17日の日本ハム戦(バンテリンD)で1軍デビューを果たす。ここでいきなり三者連続三振をやってのけたのが大きかった。以後は腰痛による離脱こそあったものの、シーズン終盤にはセットアッパーを担うようになっていた。

 36試合に投げて1勝1敗17ホールド防御率1.27。加えて、奪三振率は脅威の「12.74」。これはチームの絶対的クローザーライデル・マルティネスの数値(11.96)をも上回る。新人としては文句のつけようのない成績だ。

■侍初選出の2年目は「ライデル超え」目指す
 2年目の今季は、志願して平野佳寿オリックス)の自主トレに参加。日米通算250セーブを誇る右腕から教えを乞い、フォークの握りも伝授された。シンカー気味に落ちる平野のフォークと、ジャイロ回転する松山のフォークは球質が異なるが、これを投げ分けることができれば進化を遂げるはずだ。

 そして、今回の侍ジャパン初選出だ。井端弘和監督、吉見一起投手コーチから高い評価を受け、本人も秋のプレミア12のメンバー入りを狙っている。育成ドラフト指名から主要な国際大会メンバー入りとなると、宇田川優希オリックス)を思い出すが、ぜひ松山も宇田川のような「シンデレラストーリー」を歩みたいところだ。

 そのためにも、今季は自身も公言する「ライデル超え」を果たせるかがポイントだ。すでに中日の「ネクストクローザー」候補ではあるものの、本家クローザー・ライデルの壁は高く厚い。持ち前の身体の強さ、ボールの強さを活かして、投げ続けることが最低限の条件になるだろう。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

侍J初選出の松山晋也、竜のネクストクローザーが歩む「シンデレラストーリー」とは?