なにわ男子の高橋恭平が、3月8日公開の『映画 マイホームヒーロー』に出演。彼が演じるのは、主人公・鳥栖哲雄(佐々木蔵之介)の策略によって所属していた半グレ組織から逃亡する身となった間島恭一だ。その役柄ゆえに、ふだんのアイドルとしての姿とは違い、「怖さを表現する必要があった」とインタビューで語る高橋。一方で、「共感できる部分は?」という質問には「家族を大切にしているところ。僕も若干家族思いなので」と、照れ笑いしながら答えてくれた。

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■恭一を演じる上で悩んだ“怖さ”の表現

 『マイホームヒーロー』は、累計発行部数370万部を突破した漫画が原作のノンストップ・ファミリー・サスペンス。2023年にドラマシリーズが放送され、映画はドラマから7年後が舞台となる。どこにでもいる普通の父親・鳥栖哲雄が娘に危害を加えようとした彼氏を殺してしまう衝撃の幕開けから始まった物語。殺した彼氏が所属する半グレ犯罪組織に狙われながらも、哲雄は家族を守るために命がけのだまし合いを繰り広げた。映画では、その物語の一つの完結までが描かれる。

――ドラマシリーズに出演されて、周りの反響はいかがでしたか?

高橋:「(役柄が)合っているね」という連絡をいただいたり、「面白かった」と作品自体を評価してくださる方が多くて。そういう声が聞こえてくると、うれしいし、ありがたいです。

――演じる恭一は半グレ犯罪組織の一員で、アウトローな役柄でした。

高橋:恭一を演じる上で“怖さ”を喋り方や仕草で表現する必要があって。ただ、彼はたくさん喋る人物でもないし、どうやって怖さを出していくのかドラマのときから悩んでいました。役柄的に組織の上の立場でもあったので、役者の大先輩が集まる中で恭一としての強さを見せないといけないのも難しかったです。そんな初めてのことばかりでしたが、だからこそすごく良い経験になりました。芝居の幅も広がったと思います。「なにわ男子の中なら、アウトローな役は高橋くんが良いよね」と言ってもらえるようになりたいです。

――恭一はドラマの最後で半グレ犯罪組織から追われる身となり、7年後が描かれる映画では逃亡しながらの生活を送っています。

高橋:ドラマでは哲雄とある種バディみたいな感じでしたが、その哲雄のせいで恭一は逃亡せざるを得ない状況になりました。そんな中で、7年後にあることがきっかけで再び哲雄と相まみえることになります。哲雄と会った恭一の怒りは、相当なものではないかと。彼はそこまで感情が表に出るタイプではないですが、映画では気持ちがあらわになる瞬間や恭一の人間味が見えたと個人的に感じたシーンもあって。そういうアウトローでクールな面と、熱い感情が出てしまうところのメリハリを意識して演じました。難しかったですが、監督と相談しながら、何度もテイクを重ねました。

■メンバーとお酒を飲みに行くのが息抜き

――高橋さんが恭一に共感できる部分はありますか?

高橋:彼は一見冷めているように感じますが、内には熱いものを持っていて、家族思いなんです。僕も自分では言いにくいですが“若干”家族思いなので、そこは共感できます。

――ぜひ、最近の家族エピソードを教えてください。

高橋:引っ越しの話をしました。「引っ越ししたいんだけど、どこが良いかな?」って電話しながら、一緒に(家を)探しました。

――家族との仲良しエピソードが多い高橋さんですが、そんな高橋さんから見て、鳥栖一家の絆はどう映っていますか?

高橋:何もなければ、ただの良い家族。哲雄は娘や家庭のことが大好きで、すごく大事にしていますし、愛に溢れています。罪は犯してしまいますが、娘のためにそこまでの行動ができる哲雄はすごいです。(裏切られた)恭一としては腹が立って仕方ないですが(笑)。

――ドラマでは恭一が料理を作っている裏で哲雄が一計を案じ、行動していました。

高橋:だまされました。せっかく「最後の晩餐(ばんさん)」を作ってあげたのに、裏でコソコソされて(笑)。そういう経緯もあるから、恭一は哲雄のことをものすごく恨んでいると思います。7年後に出会ったとき、殺意も湧いたんじゃないかな。そんな気持ちを持った恭一がどんな行動を起こすのか…恭一と哲雄の再会は見どころの一つだと思います。

――哲雄を演じる佐々木蔵之介さんとのやり取りも多かったと思います。共演してみて、いかがでしたか?

高橋:蔵之介さんは、原作をすごく大事にされている方なんです。現場でも時間があるときは原作をずっと読んでいらっしゃって。細かいところまで「ここはこう見せよう」と納得いくまで演じられている姿に、刺激を受けました。また、撮影の合間にお話させていただいたときは、すごく優しくてお父さんみたいな方でした。

――先ほどから“7年”というキーワードが出ていますが、高橋さん自身はこの7年を振り返ってみて、変化を感じていますか?

高橋:7年前は、なにわ男子を結成する前でした。そう考えるとすごく環境が変わったなと思います。まだ10代でしたが、いつの間にか20代にもなって。…まぁ、20代になったから変わったということはあまりなく、お酒が飲めるようになったくらいですかね(笑)。メンバーと仕事後にお酒を飲みに行くのが息抜きになっています。

■高橋恭平にとって“ヒーロー”は?

――本作は“正義”についても考えさせられる作品です。高橋さんは自分が正義だと思っているけれど、周りから理解されにくいことはありますか?

高橋:うーん、難しいですね。というのも、“正しい”なんてこの世にはない気がするので。それぞれの尺度もあるでしょうし。例えば、僕の中では年中サンダルが当たり前なんですけれど、冬に買い物へ行って「サンダルありますか?」と聞いても大体ないんです。珍しいことに、なにわ男子にはもう1人同じ考えを持っているメンバーがいますが、あまり多くの人から理解されないようで…。

――それくらい“正しい”と思っていることは人によって異なる。

高橋:僕はそう思います。

――では、高橋さんにとって、ヒーローとはどのような存在ですか?

高橋:(志野寛治役の)津田健次郎さんがヒーローです。僕はアニメが大好きなのですが、津田さんはよく見ていた作品でキャラクターの声を務めていらっしゃって!

――その作品とキャラクターは?

高橋:『遊☆戯☆王』の海馬瀬人です! 津田さんに初めてお会いしたときに「大好きでした」と伝えちゃいました(笑)。その後も「あのセリフめっちゃ良いです」とか「あれはどう録っていたんですか?」という話をさせていただいて。そしたら津田さんが、僕の目の前で海馬瀬人のセリフを言ってくださったんです! めっちゃテンションが上がりました。家に帰って「ドロー!」とかちょっと声を真似してみたのですが、全然ダメ。あの声は津田さんにしかできません。そんな津田さんが僕の中ではヒーローですね。

――津田さんとの今後の共演も願っています! 本作を通じて役の幅が広がったという高橋さん。今後はどんな役柄に挑戦したいですか?

高橋:芝居をやり始めてまだ間もないので、今の段階ではジャンル問わず、いろいろな役を演じていきたいです。現実の僕はあまり賢くないので、弁護士や医者など、芝居で賢く見せられる役とかをやってみたいですね(笑)。経験を積んで、自分の芝居の幅をより広げていけたら良いなと思っています。

(取材・文:M.TOKU 写真:小川遼)

 『映画 マイホームヒーロー』は、3月8日より全国公開。

高橋恭平  クランクイン! 写真:小川遼