阿部新監督の下で新体制を発足させた巨人。その中にコーチとして招聘されたパク・ソンミン氏との契約には、往年の名助っ人の存在があった。 (C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 日韓両球界にとって興味深い決定だった。3月1日巨人は元韓国代表のパク・ソンミン氏を育成コーチとして招聘したと発表した。

 現在38歳のパク・ソンミン氏は、昨年までKBO韓国プロ野球リーグの三星ライオンズやNCダイノスで現役選手として活躍。2017年のワールド・ベースボール・クラシックには韓国代表の一員として参戦するなど、母国内では知名度のある名手だった。

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 引退直後からKBOの複数球団から誘いもあった。ではなぜパク・ソンミン氏は、日本の盟主での挑戦を決意したのか。韓国メディア『OSEN』で「小さい時から日本の先進的な野球に関心があった。私はいつか日本に行って野球を学びたいという考えをいつも持っていたんです」と語った38歳は、巨人との交渉の舞台裏を明かした。

イ・スンヨプ監督(現斗山ベアーズ監督)が、阿部監督に僕を推薦してくれて、巨人との話し合いはスムーズに進められたんです。それから日本行きが決まった後も、チョン・チャンヨン代表が、巨人側とコミュニケーションを取りながらたくさん助けてくれた。本当にいろんな人たちが助けてくれたおかげで良いチャンスを得たと思っています」

 イ・スンヨプと言えば、2006年から約4年間にわたって巨人に在籍。06年シーズンには41本塁打108打点を記録するなど活躍した助っ人だ。そんな韓国野球界のレジェンドが日本で同僚でもあった阿部慎之助監督との間を取り持ち、今回の異例の契約は実現したというわけだ。

 当然ながら言語や野球観が異なる“異国”での指導は並大抵のものではない。それでも日本を熟知するレジェンドの手厚いサポートを受けるパク・ソンミン氏は、「日本の野球の基本的な部分や技術力は個人的に世界一だと思っている。だからこそ、巨人で監督やコーチングスタッフと呼吸を合わせ、一生懸命学んでいきたい」と意気込んだ。

 韓国からやってきた新人指導者による名門・巨人での挑戦は日韓野球界にどのような影響をもたらすのか。その行方を興味深く見守りたい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

「日本に行って野球を学びたい」――韓国の“新人コーチ”はなぜ阿部巨人に? 異例挑戦の舞台裏にいた名助っ人の存在