普通は出会うことのない職業の人々はいくらもらっている?
普通は出会うことのない職業の人々はいくらもらっている?

物価高が続く今、賃金動向が日本経済の明暗を分けそうだ。ところが直近の発表では、実質賃金は2年連続でマイナスを記録したという。大手企業を中心に広がる賃上げはどこまで波及しているのか? 徹底的な現場目線でその実態を調査した!

まずお目にかかれないお仕事の実態は? 聞いたこともない職業のお給料をのぞき見できるのは週プレだけ!!【みんなの給与明細 2024年春闘真っ盛りver. Part7】

*本特集に出てくる年収やボーナスは、額面の金額です。すべて個人の取材によるもので、職種や業界の平均値ではありません

■近年のサウナブームを追い風に独立、起業

サウナ伝道師(男/30代半ば)

〈年収〉【額面】650万円
〈冬のボーナス額〉なし
〈ベアは?〉なし

海外駐在していたが、2019年に帰国して独立。しばらくフリーランスとしてサウナ文化を広める活動を行なっていたが、ニーズの高まりを受けて法人化した。海外流のサウナの作法や技術を教えるために、イベント開催や講師業、グッズの販売などが主な事業。

近年のブームにより、売り上げ的には波があるものの右肩上がり。生活の満足度は会社員時代より確実に高い。やはり、自分の好きなことで、人に喜んでもらえている実感が持てるのは、会社員時代と大違い。

サウナブームは文化として定着しつつあり、今後も仕事はなくならないと思う。

■午前は事務仕事。午後から猟へ

・雇われ猟師(男/20代半ば)

〈年収〉【額面】300万円
〈冬のボーナス額〉なし
〈ベアは?〉なし

会社の業務として鹿を狩り、その加工を行なっている。

午前中は役場への申請業務や事務処理などのデスクワークが中心。午後はたいてい14時から16時の間に狩りに出て、獲物が取れたら解体作業に取りかかる。なお、勤務後や休日も猟に出かけることがある。鹿の駆除1頭につき自治体から1万3000円もらえるので、副業みたいになっている。

求人票にはボーナス5.5ヵ月分ありと書いてあったが、今年は支給されなかった。そんな不満もあったので、年度末で退職を決めた。今後は北海道・知床で世界遺産の保全や生態調査の任務に当たる予定。

■知られざるアダルトグッズメーカーの裏側

アダルト系メーカー プロモーション(男/40代前半)

〈年収〉【額面】700万円
〈冬のボーナス額〉45万円(前年比↓)
〈ベアは?〉なし

自社のグッズやブランドに関するプロモーションを担当している。

業種的に型破りなスタッフが大勢いるイメージを持たれがちだが、実際は真面目で堅い人材が多い。

不満としては、会社が大きくなるにつれ、スタッフの出入りが激しくなり、新しく入ってきたスタッフの育成がうまくいっていないこと。メンタリティの違いから古参社員とそりが合わず、社内の二極化が進みつつあるのでやりにくい。

年齢的にもそろそろ転職は考えたい。せっかく特殊な会社で経験を積んだので、できれば次は雇われではなく、自分のキャリアを生かし独立したいところ。

■資金調達がそのうち滞らないかとおびえる日々

バイオベンチャー 主席研究員(男/30代後半)

〈年収〉【額面】900万円
〈冬のボーナス額〉なし
〈ベアは?〉なし

製薬会社や病院、大学などとの共同研究で、主に創薬や病態解明を目指す研究チームのマネジメントを行なっている。

創業6年目の会社だが、いまだに赤字続き。バイオベンチャー業界は不祥事も多いので、そのうち資金調達が滞るのではないかという怖さはある(うちの場合、不正はなさそうだが)。

ただ、そういう不安定さを感じつつも、ひとりひとりの裁量が大きいのがベンチャーの楽しいところ。それでもやる気のない部下がいたり、高学歴でも仕事のできないスタッフがいたり、不満がないわけではないので、次は安定した製薬会社に行きたい。

■ゲーマーにとっては天国のような職場

・ゲーム会社 バグチェック(男/30代前半)

〈年収〉【額面】220万円
〈冬のボーナス額〉3万円(前年比→)
〈ベアは?〉なし

10時から18時まで、1日中ずっと新作ゲームのバグチェックをするお仕事。

裏技が実際に起動するか、セリフが枠の中に収まっているかなどを細かくチェックしている。新作ゲームを誰よりも早く試せるのは、ゲーム好きとしてはうれしい。また、自分がチェックしたゲームが世に出た瞬間や、話題になっているのを見たときなどは、なんともいえない満足感がある。

会社はオタク気質の人が多く、仕事中はとても静か。煩わしい人間関係などはなく、上司から怒られることもない。休憩中もゲームの話で盛り上がるくらいだから、良い職場なのだと思う。

取材/井澤 梓 奥窪優木 友清 哲 西田哲郎 橋本愛喜 東田俊介 室越龍之介 文/友清 哲 イラスト/服部元信

普通は出会うことのない職業の人々はいくらもらっている?