今年4月からドライバーの労働時間に上限が設けられる。ドライバーの過重労働を軽減する目論見がある一方、賃金減少や離職、それに伴う物流の混乱が予想される。改革を前に、当事者は今何を思うのか? 現場の声を拾った。

◆運賃安すぎ問題。30年間値上げなし、適正運賃無視の現実

 九州で物流会社を営む松村忠彦さん(仮名・52歳)は、「4月からの時間外労働の上限規制は、あまりにも現場の実態と乖離している」とため息をつく。

 松村さんの会社は20台近くのトラックを所有、地域で水揚げされた魚介類を九州から関西まで運送する。

「運賃は片道約15万円。高速代、燃料代、ドライバーの人件費などの経費を差し引き手元に残るのは約7万円程度です。帰りは水屋と呼ばれる業者から荷物を斡旋してもらい九州方面に運送しますが、この運賃は復路の経費で相殺され利益はほぼゼロ。会社を運営する上ではカツカツですね」

 ドライバーの有効求人倍率は2倍超えと、常に人手不足の状況。「入社してもすぐ辞めてしまう人も多い」と、松村さんは言う。

◆「無理な納期に対応しようとすれば、危険な状況になりかねない」

 現在は月曜朝に九州を出発し火曜朝に関西に到着。水曜には会社に戻ることが可能だ。しかし、時間外労働の上限規制内で運送しようとすると、目的地への到着が1日遅くなる試算だ。

「対策として一台のトラックに2人の運転手を乗せれば、上限規制をクリアしつつ、今までのスケジュールで運搬が可能です。ただ、運賃が据え置きのままだと2人体制は現実的ではありませんね」

 燃料費をはじめ経費は年々増える一方だが、30年以上運賃は上がっていない。

国土交通省は距離に応じた適正運賃を定めていますが、うちのように守られていないケースも多い」

 ドライバーの有効求人倍率は2倍超えと、常に人手不足の状況。「入社してもすぐ辞めてしまう人も多い」と、松村さんは言う。

「先日、思い切って荷主に運賃の値上げを打診しましたが素っ気なくされ、それ以降は街で会っても無視される始末です。無理な納期に対応しようと、ドライバーがスピードを出しすぎたり、積載量を超えた荷物を運ぶ危険な状況になりかねない」

 事故のリスクが上がれば、一般ドライバーにとっても他人事ではない。それでも、「運賃が上がらないと、どうすることもできない」と、松村さんは頭を抱えている。

<取材・文/週刊SPA!編集部 写真/Shutterstock>

―[物流[2024年問題]の闇]―


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