阿部を破り、フェザー級の王座を守ったロペス(左)。同階級屈指の名手は井上(右)への想いを過去に明かしていた。(C)Getty Images、(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 王座に君臨し続けるチャンピオンの強さを明確に示した。

 現地時間3月2日に米ニューヨーク・ベローナで行われたボクシングの世界IBFフェザー級タイトルマッチで、同級王者のルイス・アルベルトロペスメキシコ)は、同級1位で挑戦者の阿部麗也(KG大和)と対戦。8回39秒TKO勝ちを収めた。

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 貫録の内容だった。初回からノーガードで強打を繰り出す、野性味あふれる変則的ボクシングを展開したロペスは、2回に鋭い左フックを炸裂させる。これで阿部の右目を大きく腫れ上がらせると主導権を取り、試合を完全に掌握する。

 優位となってもロペスは「相手のことは常にリスペクトしているし、日本人選手はハートが強い」と気を緩めず。初の世界戦で食い下がる阿部に着実にダメージを加えると、「ここで決めてやる」と意気込んだ8回に約20発の猛ラッシュを仕掛け、趨勢を定めた。

 試合後にリング上で行われたフラッシュインタビューで「統一王者になることが今の夢だ。上の階級に上がってもいいが、次の勝者(WBA世界フェザー級新王者)を相手にしたい」と語ったロペス。自身3度目の防衛を果たした男はフェザー級でのさらなる挑戦を誓った。

 となると、ロペスが将来的にスーパーバンタム級の4団体統一王者である井上尚弥(大橋)と対峙する可能性もゼロではないか。

 今年は自ら「今の適正」とした階級でのタイトル防衛戦に専念する意向を明らかにしている“モンスター”だが、年内で上でもベストを出せるという確信さえ持てれば、25年に戦いの場をフェザーに変える可能性は大いにある。

 実際、ロペスは過去に井上を意識したコメントも残していた。昨年8月に母国のボクシング専門サイト『Izquierdazo』のインタビューに応じた30歳のメキシカンは、「イノウエは伝説だ。凄いファイターなんだ」と強調。「ここ(フェザー級)にいる選手たちは強いし、タフだ」と前置きしたうえで、こう言い残していた。

イノウエファイターだ。戦いにおいて勇敢に前に出るし、ハードヒットもする。そしてコンビネーションの組み方も知っている。どんな時も相手よりも優位に立つんだ。彼にはあまり足がないようにも見えるけど、どんな獲物も殴って倒してしまうパンチ力があるから凄いね。彼との対戦は実現したら楽しみだ」

 あくまで可能性を論じたに過ぎないものの、ロペスイノウエとのビッグマッチの実現に確かに心を躍らせていた。

 無論、試合の実現は両者の今後の結果と状況次第ではある。それでもフェザー級で王座を守り続けている名手に日本の怪物が挑むとなれば、興味を抱かずにはいられない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

阿部麗也を圧倒TKOの名手ロペス 過去に語ったフェザー級での井上尚弥戦への願望「イノウエは伝説だ。凄いんだ」