かつては「4つのタイヤに盛り塩」「納車にくる方角の指定」なんて験担ぎもあった新車販売現場! ただしいまでも「晴天時納車」だけは重要だった

この記事をまとめると

■新車の販売現場では「験を担ぐ」習慣がいまだに残っている

■「晴れの日の納車」や「大安納車」の人気が高い

■納車時はトラブルを避けるために、天気がいい日に屋外で傷の確認をすることがオススメだ

納車時は天気を気にするべし!

 令和の世の中になっても新車販売の世界では「験を担ぐ」ことがいまだに残っている。「大安納車」がそのいい例といえるだろう。暦のうえでの大安吉日が土曜日や日曜日に重なれば、セールスマンによってはほぼ終日、納車業務に追われることもあるとのこと。

 以前はお客の自宅など指定先へ新車を持ち込んでの納車も多かったのだが、いまや店頭での納車が当たり前となったので、少しは負担が軽くなったようにも感じるが、本来の事務的なものに加えてセレモニー的なメニューが納車時には増えているので、セールスマンの負担はそんなに軽減されているようにも見えない。

新車販売現場に未だに残る「験担ぎ」とは

 また、お客の自宅などへの納車がメインのころは、「●●通りを通ってきてほしい」とか、「北西の方角からきて」といった要望や、納車時にタイヤの四隅に盛り塩をするなど、まさに儀式的なことが行われることもあったようだが、いまはそのようなことはかなり限定的なものとなっているようである。

 験を担ぐこと以外に自動車購入では、「お天気」というものも重視されている。「そんなことは日本だけなのでは?」と思いきや、世界的にも有名な某ケーブルチャンネルにて、過去の名車を格安で購入したあと見事にレストアして転売するというイギリスの番組があるが、この番組内で「本来は雨の日は中古車を買うなと言われていますが……」といったセリフが、雨の日に過去の名車を買い付けに行くときには決まったように入ってくるので、世界的にもその傾向があるのだと筆者は感じている。

新車販売現場に未だに残る「験担ぎ」とは

 新車購入における天気との関係でまず挙げられるのは下取り査定。セールスマン側からみると、基本的に夜間の査定は行わないし、雨の日も避けたいというのが一般的認識とも聞いている。夜間や雨天時に査定を強く希望してくるときには、もちろん断るということはないものの、その当該車に何かあるな(訳あり)ということを前提に査定を行うので、算出される査定額も思い切ったものにはせずに、リスクヘッジ(つまり抑えめ)したものになることが多いとも聞いている。

新車販売現場に未だに残る「験担ぎ」とは

 夜間や雨天も含む荒天時は外装の傷などのマイナスポイントを見落とす可能性が高いのである。つまり、かけ値なしの下取り査定額というものを期待するならば、夜間や荒天時を避けたほうがより期待に沿える査定額が算出されやすくなるのである。

 とはいうものの、いまどきの新車ディーラーでは、セールスマンがお客の自宅などを訪れることはまずないし、多くの店舗では午後6〜7時ぐらいには営業終了となるので、真冬でもない限りは夜間に下取り査定を行うというシチュエーションはまず存在しなくなっている。

新車販売現場に未だに残る「験担ぎ」とは

 セールスマンとしては晴天でしかも太陽が真上にある昼どきの査定がとくに外装の傷などの確認をするうえではベストと思っているので、下取り車のある新車購入商談ならば晴天の昼時はベストともいえるかもしれない。

納車後の申告はトラブルの元!

 同じ理由で納車も晴天の昼どきがベストとなる。新車は工場で完成車として出荷されたあとは、木箱などに入ってディーラーへ配車されることはない。保護シートなどがボディに貼られているケースもあるが、基本的には外装剥き出しのまま陸送などで運ばれる。

 そのため販売現場では、目を凝らせば見えるような細かいような傷は、新車であろうとあって当たり前と思いながら納車準備を進めるように心がけているとも聞いている。昭和のころには、納車予定車に傷を発見したら、納車のときにその傷の前にずっと立っていて傷を発見されないようにして新車を納めたといったエピソードもあったとか。

 ただし、仮に納車時にボディに許容できないような大きな傷を発見したときは、当該新車の受け取りを拒否し、購入したディーラーとその解決策を探っていくようにすること。そのまま受け取った時点で「傷を了承して引き取った」ということになるからである。

新車販売現場に未だに残る「験担ぎ」とは

 ちなみにボディカラーにもよるが、朝早めや夕方など太陽が傾いていると細かい傷が見えなくなることがある。太陽光、しかも真上に太陽があるときは傷の確認もしやすいものといえる。最近はディーラー店舗内に納車室といったものを設けるディーラーもあり、外装確認しやすい照明配置になっていることも多いが、できるならば太陽光の下へ当該車両をもっていき再確認したほうがいいかもしれない。

 納車はセレモニーではなく、発注したとおりにオプションが装着され、傷の有無やエンジンコンディションなどを確認し、問題ないことを購入者が確認して引き渡すという大事な業務なのである。そのため、一度店舗を出たあとに見覚えのない傷を発見して抗議したとしても、問題がないと本人了承を得て引き渡しているという前提があるので、問題解決がなかなか満足のいくものとならないことが多い。忙しいからなどの理由で、夜間や荒天時に新車を引き取るのは可能な限り避けたほうがいいだろう。

新車販売現場に未だに残る「験担ぎ」とは

 前述したとおり、いまどきの納車は店頭納車が主流なので、わがままな客にも思われてしまうかもしれないが、「天気予報をみると、納車日は天気がかなり悪いようだから延期したい」とするのもいいだろう。ただし、あまり敷地の広くない店舗では保管場所確保の問題から断られることもあるので、契約時に最終的な納車日は天気次第といった特記事項を設けるのも有効かもしれない。

 なお、天気とは関係ないが、年末には「納車は越年するが、登録だけさせてくれ」といった話もよくある。年内に新車が手元になくとも、納車されるときは越年して1年落ち車となるので、新車を買い慣れている人は契約時に新規登録が年内に間に合うタイミングだったとしても、「越年登録」、「越年納車希望」などとセールスマンにしっかり伝えるようにしているとも聞いたことがある。

 まあ晴天納車はあくまで理想だし、個々でその判断は分かれることでもある。ただ、ボディに雨滴もついてしまうので、やはり雨天時納車はリスクが高まる。細心の注意が求められるのは間違いないだろう。

大安のイメージ

新車販売現場に未だに残る「験担ぎ」とは

かつては「4つのタイヤに盛り塩」「納車にくる方角の指定」なんて験担ぎもあった新車販売現場! ただしいまでも「晴天時納車」だけは重要だった