初実戦で快投を披露した山本。しかし、チーム内では意外な課題を指摘された。(C)Getty Images

 迫るレギュラーシーズンの開幕に向け、注目の“日本人ルーキー”の思わぬ課題が見えてきた。

 去る2月28日ドジャース山本由伸レンジャーズとのオープン戦で今春初登板。2回を投げて被安打1、3奪三振、無失点と好投。4度の世界一を経験する敵将ブルース・ボウチーをして「ああいう投球ができるのは素晴らしい。だからドジャースは彼と契約したんだ」と言わしめる上々の“デビュー”となった。

【動画】癖は見抜けるか? レンジャーズ戦での山本由伸の投球フォームをチェック

 日本で3度の沢村賞を獲得した実力は、メジャーでも通用する。そんな手ごたえを掴んだ一方で、山本には“ある課題”も浮かび上がった。それはセンター後方のカメラからボールの握りが見えてしまうというものだ。

 ロサンゼルスの日刊紙『Orange County Register』によれば、ドジャースのマーク・プライアー投手コーチは、山本の投球フォームについて「注意を払わなければいけない」と指摘。後方からボールの握りが見えてしまっているため、二塁走者などから投球を見抜かれてしまう可能性を論じた。

「偶発的なものではない。ほぼすべてのチームが何らかの形で“クセ”を見抜くことは取り入れている。それもゲームの一部になっているんだ」

 メジャーリーグでは、2017年のワールドシリーズアストロズによる「サイン盗みスキャンダル」が明るみになって以降、そうした行為は厳しい取り締まりがされている。それでも、今なお「積極的に行われている」(プライアー投手コーチ談)という。

「相手のクセを盗む行為にはバリエーションがある。グラブの動きやテンポ。さらに舌を出すことで知らせるパターンもある。とにかくいろいろだ。ただ、結局のところ、バッターがリアルタイムで実際に行動に移せるものは何かを見極めようとしているんだ。私たちは、全投手のそうした行動をかなり警戒している。今も何人かの投手については注意深く観察し、できる限りそれを改善しようとしているよ」

 山本が盗まれたとしても「それは彼だけの問題でもない」と強調するプライアー投手コーチは、「テコ入れをしても解決策が白黒はっきりしないこともある。もし手を打てば、盗まれなくなるのか、投球に影響が出るのか。我々はそのコストを天秤にかけなければならないんだ」とも指摘。大幅なフォーム修正は施さず、当面は実戦での経過を見るという意向を示している。

 もっとも、当の山本は「シーズンが始まったらコーチと相談して調整する」と断言。それだけに現時点で大きな心配事ではなさそうだ。いずれにせよ、来る3月6日に予定しているホワイトソックス戦での登板では、コーチ陣が懸念を抱いた“課題点”に注目を集めそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

山本由伸に思わぬ課題!? フォームの“癖”が盗まれる可能性をド軍コーチが懸念「注意を払わなければいけない」