ジョージ・ルーカスが原案、デイヴ・フィローニが監督を務めたアニメーションシリーズ「クローン・ウォーズ」から登場した“異端”のエリートクローン部隊“バッド・バッチ”。彼らを主人公に描いた「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」のファイナル・シーズン(シーズン3)が2月21日から毎週水曜に配信中だが、シーズン2がまさに“いいところで終わった”という感じだったのもあって、配信前後からSW(スター・ウォーズ)ファンを中心に注目が集まっている。SNS上には「最初からずっと面白い!」「やっぱり帝国支配下の様子の描き方が相変わらず良すぎる」「シーズン1、2と違って緊迫感があってこれはこれで好き」といった声が寄せられ、これまでの「バッド・バッチ」シリーズの良さはそのまま継承しつつも、進化・変化も見られる新シーズンになっているのを感じた。今回はそんなファンの反響も交えて、“SW最新アニメ”の魅力に迫りたい。(以下、第4話までのネタバレを含みます)

【写真】オメガ、ハンター、レッカーが再会!ファンからも「エモい」「待ってた!」といった歓喜の声が続々

エリートクローン部隊の物語が“ファイナル・シーズン”へ

同作は「スター・ウォーズ」の生みの親であるルーカスの、“クローンの中にも他と比べてユニークな能力の持ち主がいて、強化されたスキルをもつ特殊部隊のようなものがあるのではないか”というアイデアをもとに、ルーカスフィルムの最高クリエーティブ責任者であるフィローニ監督によって制作されたシリーズのファイナル・シーズン。

クローン・フォース99、通称“バッド・バッチ“のメンバーたちはクローンでありながら、それぞれが異なる能力を持ち、命令に背いたりする型破りなところが魅力だ。優れた感覚能力を生かしてリーダーシップを発揮する“ハンター”、並外れた怪力の持ち主“レッカー”、頭脳派でありスライサーとしても一流な“テク”、元レック(標準的なクローン・トルーパー)だったが半分機械の体になり加わった“エコー”、狙撃の名手だが帝国軍への忠誠心が強く一時期ハンターたちとは袂を分かち敵対したこともある“クロスヘアー”、そしてこの物語の中心となっている“クローン”の少女“オメガ”。

シーズン1の中で、オメガはハンターらバッド・バッチのメンバーたちに“仲間”だと認められ、シーズン2では“家族”同然の強い絆で結ばれるようになった。その一方でクロスヘアーが帝国軍側に回り、バッド・バッチのメンバーたちを銃で狙うような場面も多々あったが、それでもオメガもハンターたちもクロスヘアーのことを“敵”だとは思わず、きっと“またいつか一緒に”と思っていたに違いない。シーズン2の終盤で、仲間を助けるために自ら犠牲になったテク。それも少なからずオメガの影響があったように感じられた。オメガドクター・ヘムロックに捕らえられ、帝国の研究施設に連れて行かれてしまった。そしてハンター、レッカー、エコーオメガの行方を追い始めたところでシーズン2は終了。その流れでシーズン3が始まっていた。

オメガとクロスヘアーのコンビも新鮮

オメガが連れて行かれた施設に、クロスヘアーが監禁されていて、オメガとクロスヘアーがコンビで行動するシーンが多いのも新鮮。施設から逃げることはできないと諦観しているようなクロスヘアーと、脱出する方法が何かあるはずだと希望を捨てないオメガ。一緒に逃げようと説得するオメガに対し、クロスヘアーは「俺のことは放っておいて自分だけ逃げろ」と突き放そうとするが、オメガも頑固な性格なので譲らない。

第4話「それぞれのやり方」の配信後もオメガの成長について言及するコメントや感想が多く見られた。オメガとクロスヘアーがバッチャー(ハウンド)と一緒に逃げることに成功したが、乗り物は不時着ですぐには使えない状態に。近くの宇宙港から移動することにしたが、警戒が厳重でトルーパーたちに気付かれずに行くのはかなり難度が高い。

クロスヘアーが「半数は俺が一瞬で始末してやる」と自分のやり方で突破しようとするが、オメガは「銃撃戦にならない方法を試すのはどう?」とオメガなりのやり方を提案。どんなやり方をするのかと思ったら、「次のシャトルのチケットを2枚ください」と正面突破。チェーンコードを求められると、「失くした」と正直に伝え、「あなたにとってチャンスかも」と言って“賄賂”を渡そうとする。ふっかけられてしまうが、得意のギャンブルで荒稼ぎ。賭けをしたことへの罰金を払ってもシャトルのチケットを受け取れるくらいの金額に。その間にバッチャーが捕まえられてしまったが、ここでもクロスヘアーの制止を振り切って探しに行こうとする。またクロスヘアーが折れて、一緒に探しに行くことになった。やり方に関しても「お前に合わせる」と伝え、主導権はオメガが握った。しかし、銃を持った連中に囲まれると、「分かった。クロスヘアーのスキルで切り抜けよう」と銃を使うことを許可。

こういうふうに強く自己主張をしたり、主導権を握るようなことはシーズン1の頃には考えられなかった。それゆえ、「オメガの成長ぶりがすごい」「オメガが頼もしくて、クロスヘアーとの連携もバッチリ。不良分隊の一員に成長してる」「オメガが初登場時と比べると随分逞しくなったね」とか、「なんか姉と弟みたいな感じにも見えてきた」という声も見られた。

そして、第4話の終わりにハンター、レッカーとの再会を果たしたオメガ。これには「こんなに早く再会すると思ってなかったから感動!」「再会からの抱擁、泣かせるやん!」「もう最終回かってくらい感動した」と反響も大きかった。

クロスヘアーが姿を見せた時、ハンターとレッカーとの間に不穏な空気が流れたが、これまでの経緯を考えたらそれも仕方がないことかと思う。ここでクロスヘアーが仲間として再び一緒に行動するのか、それともオメガを送ってきただけでまた単独行動をするのか、それも含めて第5話以降の展開が気になる。

スター・ウォーズ:バッド・バッチ」シーズン3は、毎週水曜にディズニープラスで独占配信中。

◆文=田中隆信

「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズンの第4話より/(C)2024 Lucasfilm Ltd.