上野駅から徒歩2分のビルの地下で、「スナック まきぱん(27)」を経営しているまきぱん(28歳)と申します。人生をお酒にコミットするべく、新卒入社した大手企業を退職し、脱サラ起業して自分の店を持ちました。365日飲酒している生粋の酒好きが、夜の世界だったり、時に昼の世界に思うことをつらつらと綴っていきます。

◆無下にもしにくい「ありがた迷惑」行動

さて、あるセクシー女優さんがファンからのプレゼントに対して言及し話題になっているのをご存知でしょうか。彼女のイベントにファンたちが持ち寄ったのは、500円もしないクレンジングオイルカップ麺「ゴミをもらって喜ぶフリをさせられて可哀想」などとコメントする人も出てくるなど、せっかくの善意が炎上の火種になっています。

ですが、これは今回に始まったことではなく、性産業に従事する女性からすると、「1日に数人から数百円のコンビニスイーツを差し入れされて迷惑」というのはあるあるだというのです。

「喜ぶ顔がみたい」と純粋な気持ちでしたことも、「太るからゴミ箱行き」、「たかだか数百円のもので喜んでもらえると思うな」、などとこき下ろされてしまうことも……。でもそれは、その界隈だけではないかもしれません。お客様の善意の行動が、“ありがた迷惑”と思われてしまうのは、キャバクラやスナックなどの水商売でも起こりうること。

今回は、「お客様も悪気はないし、嬉しいフリはするんだけど、実は迷惑なんだよな」と思ってしまう飲み屋でのお客様の行動を紹介します。

◆①店に「お酒を持参する客」は…

まず浮かぶのは、持込料を払う気のないお酒類のプレゼントです。「自宅に持ち帰ってプライベートで飲んでね」もしくは「売り物にしていいよ」というスタンスであれば大歓迎なのですが、「営業中に一緒に飲もう」と持ち込まれると困ってしまいます。お祝いされている手前、持込料を請求するのはこちらも心苦しいのです……。

夜のお店に限らず、売値から仕入値を引いた差分が飲食店の粗利です。「3掛けもしやがって!」と思うかもしれませんが、ラーメン屋さんだって、20円で仕入れた卵を100円で売っています。「トッピングの卵や海苔は自宅から持参してOK」なんて謳っているラーメン屋さんはないはずです。

しかし、この商売の当然のビジネスモデルを理解されず、「仕入代もかかっていないのに、持込料を取るのはおかしい」と唱えられる方が稀にいらっしゃいます。

希少で珍しいお酒ならまだしも、シャンパンのド定番「モエ・エ・シャンドン」などを持ち込まれる方も……! スーパーで買って持ち込めば節約にはなるかもしれませんが、それ以上に「メニューにあるモエシャンを注文するべきでしょ」とがっかりされていますよ。

◆②食べ物の差し入れには配慮を

飲み物と違い、食べ物に持込料を設けている飲み屋は少ないかもしれません。とはいえ、差し入れには注意が必要です。具体的には、日持ちしないコンビニスイーツ、その場ですぐに食べる必要のある温かいものや、生ものなどです。

「女の子は甘いものが好きだろう」と断定的に判断しても、ダイエット中であったり、イレギュラーな食事を取りたくない人にとっては、あなたの好意が迷惑に変わってしまいます。お腹がいっぱいでも、頂いたものはその場で嬉しそうに食べてお礼を言うことが加点される職業だからです。必ず事前にお腹の具合を確認してから持っていきましょう。

何かしら差し入れをしたい場合は、日持ちするもの、ヘルシーなもの、他のお客様やキャストにお裾分けしやすいものがおすすめです。同じ500円のコンビニ土産をくださるのであれば、スイーツよりもインスタントの味噌汁栄養ドリンクの方が、喜ぶキャストは多いでしょう。

◆③あくまで“客として”ふるまうべき

ありがた迷惑なのは、モノだけではありません。無断でカウンター内に入ってくる行為もその1つ。本人は手伝いのつもりでよかれとやっているのでしょうが、許可のない従業員以外の立ち入りは不法侵入や営業妨害に当たります。

同様に、「バイトしてあげるよー」と言われる方もいますが、水商売はキャスト一人ひとりが商品のため、人材採用は最重要事項。実際に私は人間性や相性を吟味の上、働いてくれる仲間を選んでいます。若くて可愛ければ誰でも良いわけではありません。

スカウトもしていないのに、キャスト気取りに場を仕切るスタンスで来られると、私やキャストを蔑視されているようにさえ感じることも。一般企業の執務室に無断で立ち入ったり、オファーされてもないのに「私を雇わないわけないでしょ」なんて言わないはずです。飲み屋でも、あくまでお客様として、カウンターの外側で気を遣ってくださると、お店にありがたがられる存在になるでしょう。

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人間関係とは難しいもので、善意でしたことが時に迷惑に思われてしまうことも。その境界線は人それぞれで明確なルールが存在しないため、あなたの好意を素直にありがたく受け取ってもらえるか、それもまた「推し」との相性なのかもしれません。

<TEXT/まきぱん>

【まきぱん】
上野にてスナックを経営する27歳。大好きなお酒にコミットするべく鉄道会社を退職し、ほぼ未経験の世界へ転身。TOEIC910取得。趣味は海外一人旅。Twitter、Instagramなど:lit.link

まきぱん