季節のない街

4月5日深夜24時42分から放送されるドラマ25『季節のない街』(テレビ東京ほか)。ディズニープラスで独占配信中の話題作が、地上波で放送されることが決定した。

 
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■不朽の名作を実写ドラマ化

季節のない街 季節のない街 季節のない街

同ドラマは、現在放送中の『不適切にもほどがある!』でも話題の宮藤官九郎氏が、20代のころからずっと切望していた企画で、テレビ東京系ディズニーの共同製作でついに実現。

昨年8月にディズニープラスで先行配信が始まると、「笑って、泣いて、考えさせられた」「宮藤官九郎の最高傑作」「今、みるべき作品」など、多数の賞賛の声が寄せられ、ドラマレビューサイトFilmarksでも4.2点と高得点をマーク。

宮藤氏も「紛れもなく、いちばんやりたかった作品で、これを世に出したら、自分の第2章が始まるような気がしています。」と手ごたえを語っている。

原作は、山本周五郎氏の小説『季節のない街』。誰もがその日の暮らしに追われる、裕福とはいえない“街”を舞台に弱さや狡さを隠さずに逞しく生きる、個性豊かな住人たちの悲喜を紡いだ物語となっており、1970年黒澤明監督が『どですかでん』のタイトルで映画化したことでも知られる不朽の名作だ。

 

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■実力派の豪華キャストが集結

怪しげな男の指示で、街に住む人々の暮らしぶりを報告する仕事を請け負い、猫のトラと一緒に街に潜入する主人公・半助こと田中新助役を演じるのは池松壮亮

街の青年部を率いる、母親の愛情に飢えた承認欲求高めな“親思い”の次男坊・タツヤ役を仲野太賀、街の近所に住む酒屋の息子で、好きな女の子目当てで街に出入りしているオカベ役を演じるのは渡辺大知。

さらに、オカベが恋している街でいちばん内気なかつ子役を三浦透子、タツヤの母・しのぶ役を坂井真紀、「どですかでん」と叫びながら“見えない電車”を毎日1人で運転する六ちゃん役を濱田岳、六ちゃんの母・くに子役を片桐はいり、六ちゃんのよき理解者であり街を見守るたんばさん役をベンガル。

そして、向かいあった仮設住宅に暮らす親友同士である2組の夫婦の、増田益夫役を増子直純(怒髭天)、その妻・光代役を高橋メアリージュン、河口初太郎役を荒川良々、その妻・良江役をMEGUMIが演じる。

他にも、皆川猿時、又吉直樹、前田敦子塚地武雅藤井隆、鶴見辰吾、岩松了など、豪華キャストが集結し、“全員ワケあり&いわくつき”の個性豊かな住人として登場する。

 

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■日本の映像界を支えるスタッフが勢揃い

宮藤氏とともに、監督を務めるのは、『いとみち』などを手がける横浜聡子氏、『ドライブ・マイ・カー』に監督補として参加した渡辺直樹氏、そして音楽には『あまちゃん』『いだてん〜東京オリムピック噺〜』など宮藤脚本の作品のほか、『エルピスー希望、あるいは災いー』の音楽も手がけた大友良英。

撮影には『ある男』『万引き家族』などの話題作で活躍する近藤龍人氏、美術には『すばらしき世界』などの数多くの作品に携わる三ツ松けいこ氏、そして衣装には多くのアーティストのスタイリングを担当し、宮藤作品にも多数関わる伊賀大介氏が参加している。

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■曲者揃いのキャラクターポスターを公開

季節のない街

全9種類のポスターにはそれぞれの住人たちの様子が描かれており、見ただけでキャラクター同士の関係性や街での立ち位置が伝わるような、個性溢れるものとなっている。

 

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■池松「誰かのささやかな楽しみに」

池松、仲野、渡辺からコメントが届いた。

池松:ディズニープラスで配信された『季節のない街』が地上波で放送されること、とても嬉しく思います。未見の方にも、もうみていただいた方にもぜひ楽しんで頂けたらと思います。

 

この街ではみなが同じ痛みや貧しさを知りながら、ただ隣り合って横並びに騒がしく暮らしています。倫理観はさほどないけど、互いに命をそっと繋ぎ止め、互いの明日を作りながら、忘れられることにささやかに抵抗しながらその営みを続けています。

 

戦争や災害を繰り返すこの世界で、このドラマが誰かのささやかな楽しみになることを願っています。

仲野:『季節のない街』の地上波放送が決まったこと、大変嬉しく思います!!

 

宮藤さんのもとに最高のスタッフとキャストが集って、撮影したのが約1年前。仮設住宅で笑ったり泣いたり、踊ったりブチ切れたりした日々が懐かしいです。あの街にしかないカオスがとっても恋しいです。

渡辺:環境や生活が日々変化していくなかで、こんなに人間の「元」を感じさせてくれるドラマが観られるなんて。参加させてもらえて光栄です。毎話、魅力的なキャラクターたちが大暴れしています。

 

このドラマが地上波で観られるのはいまの時代だからこそとても意義のあることだと思うので、放送が待ち遠しくて仕方ないです。あの街のみんなが思いっきり生きているのを、ぜひ目撃してください!

 

■宮藤氏「極寒の茨城の廃校で2ヶ月半の撮影」

宮藤氏、プロデューサーの濱谷晃一氏からのコメントがこちら。

宮藤氏:もともと30分の深夜ドラマを想定して作ったので、個人的には本来の形に近いのですが、改めて、この作品を世に出そうと考え、力を貸して下さったディズニーさん、テレビ東京さんの心意気に深く感謝します。

 

去年の今頃、極寒の茨城の廃校で2ヶ月半の撮影。黒澤明監督の『どですかでん』が大好きな僕にとって、寒い以外は至福のときでした。六ちゃんが、島さんが、ホームレス親子が、かつ子がそこにいる。仮設住宅で生活している。

 

池松壮亮くん、仲野太賀くん、渡辺大知くんの“青年部”にまた会いたいと思っても、彼らはおろか、仮設住宅のセットすら存在しない。けど、映像にはしっかり残っている。大好きな『どですかでん』が2つになった感覚です。

■能登半島地震のあとで「どのように受け止められるのか」

宮藤氏:今年は元日から能登半島地震があり、新たに仮設住宅が建設され始めています。改めて災害の恐ろしさに言葉を失うと同時に、この作品が今どのように受け止められるのか。

 

ただ、触れないことが思いやりでは決してないし、逆境においても人間は逞しく、強く、同時に弱く、時に涙し、ときに笑い、だからこそ人生は面白いという、山本周五郎さんの原作が持つ普遍的なメッセージは、発表から60年が経った今こそ、現代人を勇気づけてくれると信じています。まずは気楽に30分、1話完結の人情喜劇をお楽しみください。

 

■構想を聞いたとき「大きな不安に駆られました」

濱谷氏:宮藤さんから『季節のない街』を、災害で全てを失った人たちが暮らす仮設住宅でやりたい、という構想を聞いたとき、震災、疫病、紛争など、様々なことが起きる世の中で、とても意義のある現代的なテーマになると思いました。と同時に、仮設住宅のオープンセットをテレ東ドラマで作れるのかな…と大きな不安に駆られました。

 

登場人物たちに起こったこと、起こることは、とても苦しく、登場人物たちも常識を逸脱したような人ばかりです。ただ、それを重く届けるのではなく、毒はそのままに、ゲラゲラ笑えて、感動の涙を誘う、これが宮藤さんならではの人間賛歌なんだと、最終回までを通して痛感します。

 

■ドラマ概要

季節のない街

“ナニ”と呼ばれる大災害から12年。今なお残る仮設住宅に、生きる希望を失った主人公の半助こと田中新助(池松壮亮)は、街で見たもの、聞いた話を報告するだけで最大1万円がもらえるという仕事を請け負い、猫とともに軽い気持ちでやってきた。

この街には18世帯ものワケあり住人が暮らしていたが、月収12万を超えると「即立退き」とあってみなギリギリの生活を送っていた。そして彼らはみな一癖も二癖もある曲者ばかり。

そんな中、街の青年部を名乗るタツヤ(仲野)と近所のリカーショップで働くオカベ(渡辺)は、半助を青年部に迎え入れる。徐々に街に溶け込んでいく半助だったが、やがてその仕事が街に思わぬ展開をもたらすこととなり…。

 

■シナリオブックの発売も決定

書籍『季節のない街 シナリオ』(KADOKAWA刊)が放送開始に合わせて4月5日に発売することが決定。

全10話のノーカット版シナリオに加え、宮藤監督をはじめ、横浜監督、渡辺監督による各話の監督解説や、街の美術セット図面、場面写真、宮藤氏が憧れた放送作家・高田文夫氏からのありがたい総解説などが書かれている。

季節のない街

ドラマ25『季節のない街』の地上波放送が決定 池松壮亮、仲野太賀、渡辺大知が出演