この記事をまとめると
■ホンダがCES2024で公開したホンダ0シリーズを青山ウェルカムプラザで展示
■サルーンはすでに市販に備えた段階で見栄えはほぼこのままとなる予定だ
■スペースハブはスペースワゴン的な存在で人々の暮らしを拡張することを目指す
ホンダの新しいEVシリーズのコンセプトカーを青山で展示
今年1月、米国ネバダ州ラスベガスで開催されたCES(電子機器見本市)2024で公開された、ホンダの新たな電気自動車(EV)を指し示すホンダ0シリーズのコンセプトカーが、日本で公開された。3月5日から10日まで、ホンダ本社のある青山ウェルカムプラザに展示されている。
公開されたコンセプトカーは、SALOON(サルーン)とSPACE-HUB(スペースハブ)の2台だ。いずれも、「共感を呼ぶ芸術的デザイン/安全・安心のADAS/IoT・コネクテッドによる新たな空間価値/人車一体の操る喜び/高い電費性能」を、5つの基本的価値とする。
北米を皮切りに2026年から世界的に市販を予定するとのことで、その斬新な外観はもちろん、室内空間の世界観が注目された。
実車を目の当たりにしての第一印象は、違和感なく次世代という未来を垣間見せる姿であることだ。ことにサルーンは、市販に備える段階に入っているようで、見栄えはほぼこの印象を継承するという。ただし、車体寸法は「コンセプトカーなので少し盛った大きさになっています」と、デザイナーは話す。
ガルウイングドアが象徴のひとつだが、商品企画担当者は「まだ、採用が確定したわけではない」と、やや言葉を濁した。ガルウィングドアは、スーパースポーツカーなどで採用例があるような特殊な手法と考えがちだが、じつはテスラモデルXの後ろのドアはこの方式だ。それは単なる見せかけではなく、ガルウィングドアとすることにより狭い場所での乗降に不便がなく、また3列目の座席へ2列目の座席の折りたたみなしで乗り込めるといった実用性を備える。車体全高を下げているので、サルーンの天井は、かなりヘッドクリアランスが限られている様子だが、ガルウィングドアであれば乗降に苦労しないのではないか。
ホンダの理念であるMM思想をEVの0シリーズで模索
スペースハブは、スペースワゴン的な存在で、人々の暮らしを拡張することを目指している。
車名のハブは、まさにそうした空間の中継所(ハブ)となることを意味している。移動した先で基点となる価値を提供し、車室内の空間だけでなく、EVならではの電源を使った作業や余暇などでの活用を視野に、駐車していても役立つクルマの価値を提供する。
すでに市販EVでも、外部電源による利便性の提供は行われているが、スペース・ハブでは追加装備としてではなく、クルマそのものが外部電源を含めた基地となることを目指している。
向かい合った後席に座ってみると、まさに車内というより居間の雰囲気が強く、住まいの延長のような快さがあった。短時間の休息ではなく、長く居続けたいと思わせる雰囲気がある。
ホンダは、1980年代に3代目シビック(通称ワンダーシビック)やアコードエアロデッキというエンジン車を市販し、その長い屋根が、ホンダのクルマ作りの原点といえるMM(マンマキシマム・メカニズムミニマム)思想を形にしたひとつの案といえた。長い屋根によって、従来にない室内の広さや有効性をもたらしたのだ。
また、1990年代になって、ホンダはオデッセイを発売し、それまでのワンボックス車と違う多人数乗車を提供し、一世を風靡した。
2040年にすべての新車を電動車とする方針に向け、ホンダは、かつてのワンダーシビック、アコードエアロデッキ、オデッセイのように、新たなMM思想の姿をEVの0シリーズで模索しているといえるのではないか。ホンダ0シリーズは、デザインを含むコンセプトへの好感とともに、そんな未来への期待を抱かせた。
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