小型戦闘機の代表ともいえるスウェーデンの「グリペン」、その最新バージョンE型のコクピットシミュレーターが航空ショーで初公開。実際に体験してみました。

やはり少し狭い…が!

スウェーデンサーブが手掛けた「グリペン」は、小型戦闘機の代表格ともいえるモデルのひとつで、現代の最新バージョンである「グリペンE」もスウェーデンをはじめ世界で採用されています。2024年2月のシンガポール航空ショーで、このE型の操縦席シミュレーターが公開されていましたので、体験してきました。

グリペン」は高性能なわりに価格も低く抑えられているほか、先代戦闘機の「ビゲン」、そして先々代の「ドラケン」とともに、戦争時は一般の道路も使いやすいよう400~500mで離着陸でき、これがほかの戦闘機にない使い勝手の良さとなっています。

そして筆者はこれまで、スウェーデン国内で展示されている「ビゲン」「ドラケン」の操縦席も見学したことがありますが。グリペンEものは特に幅が狭く、長身で肩幅の広い操縦士は窮屈でないかと思えるほどでした。サーブが後部胴体の製造を受け持つ、米空軍の新練習機T-7Aよりも小さく感じたほどです。

反面、米国のF-16戦闘機のように視界が良すぎることもなく、“守られている”安心感はありました。

その「グリペンE」は、1つ前のタイプとなるC型と外形は似ていますが、より高性能の電子機器を搭載し、性能が大幅に向上しています。操縦席も、C型が計器や航法用地図を複数の液晶画面に分けて表示したのに対し、E型は1枚の大きな画面に分割表示されます。

グリペンEのコクピット画面そのものは、F-15EXなど大型戦闘機のそれより一回り小さく思えますが、針路やレーダー探知結果、どのような武装を懸架し使ったかなどの情報はそん色なく表示できます。

では、このシミュレーターの再現度はどれくらいのものなのでしょうか。

実機に比べるとどうなのか

ズバリ、シミュレーターの動きはやはり戦闘機らしく機敏でした。

操縦桿の動きに合わせて画面は間髪を置かずに動き、姿勢の変化を示します。操縦席の目の前の大スクリーンに映る地形や雲の流れもスムーズ。シミュレーターは、軍関係者が試しても問題ないようリアルにつくられているということでした。

なお、今回のシンガポール航空ショーでは、タイ空軍のC型も展示されましたが、E型を採用したのは今のところ本家スウェーデンとブラジルのみです。サーブは今回タイ空軍機の展示に加え、アジアの近隣国でも今後、C型から性能がアップしたE型の需要があると見て、シミュレーターを展示したと見られます。既に、ブラジル周辺に対しても同じ考え方で、南米で何度かこのシミュレーターを展示しています。

小型機ながらグリペンが持つ性能と、E型での性能アップは既に各国の軍関係者に知れ渡っているようで、今回の航空ショーでは各国の空軍関係者などがシミュレーターをかわるがわる熱心に覗いていたのが印象的でした。

「グリペンE」(画像:サーブ)。