石井琢朗

2023年のベイスターズのチーム打率は、優勝を果たした阪神タイガースと同じ.247、ホームラン105本とタイガースより21本も多く放ちながら、得点は35も少ないという逆転現象が起こっていた。

 

■オープン戦の盗塁成功率は100%

逆転現象の原因は様々あるが、ベースランニングを含めた機動力の差も、かなりのウェイトを占めたと考えられる。そのなかでも盗塁数はタイガースの79に比べて33と半分以下で、成功率も同73.1%に対しリーグワーストの55.9%と著しく低くなっていた。

しかし2024年のベイスターズオープン戦ながら、レギュラーを狙う2年目の林琢真に、ルーキー度会隆輝石上泰輝ユーティリティプレイヤーの西巻賢二、捲土重来を期する森敬斗らがダイヤモンドを掻き回し、盗塁数はすでに10と12球団でぶっちぎりのトップだ。

三浦大輔監督就任時にも、宮本秀明(引退)や神里和毅らの俊足プレイヤーを中心に機動力を求めていたが、如何せん成功率が上がらずトライすることも少なくなっていった。しかし今年の成功率は驚愕の100%と、その変貌ぶりには驚くばかりだ。

 

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■首脳陣も手応え

これには、打撃に加え走塁の指導も兼ねている石井琢朗コーチも「この時期なので、どんどん仕掛けていくクセを付けなければ」と、ここまで積極的に動いている意味を説明した。

シーズンに入ってからも「これを普通にしていかないといけない」と、球団最多335のスチールを決め、4度の盗塁王に輝いたスペシャリストは、足を使った攻撃に目を向けている。

三浦監督も「取り組んでいることができてきている。しっかりと塁に出てからではなく、塁に出る前から準備ができている」と、“走る”という意識付けが浸透してきているからこそ「いいスタートが切れて、相手にプレッシャーをかけることもできている」と手応えを感じているようだ。

打点王牧秀悟を中心に、首位打者経験者の宮﨑敏郎と復活を目指すタイラー・オースティンの破壊力に機動力が加われば、1998年以来遠ざかっている頂点も見えてくる。

 

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■執筆者プロフィール

萩原孝弘:1971年生まれ。生まれも育ちも横浜の生粋のハマっ子で、大洋が横浜に移転して以来、一貫してホエールズ〜ベイスターズファン。

23年のオフィシャルイヤーブックもライターとして参加した。あくまでもファン目線で、独自のインタビューコラムや記事を各媒体で執筆中。

【DeNA】2024年は“走るベイスターズ”へ変貌? 石井琢朗コーチ「これを普通にしていかないと」とギラリ