ティモシー・シャラメが主演を務める映画『デューン 砂の惑星PART2』の先行上映が明日から10日(日)の3日間限定で行われ、15日(金)から全国で公開される。

本作は全編がIMAXカメラで撮影された驚異的な映像が高く評価されており、ひと足早く公開になった北米では興行ランキングで1位を記録。作品の評価も高いようだ。本作の映像はなぜ観客を魅了しているのだろうか。日本で実施されたIMAX試写会に参加し、その全貌を確認した上で紹介する。

映画の舞台は架空の惑星アラキス。そこはほぼ全域が砂に覆われているが、希少な物質があることから、誰もがこの星を我が物にしようと画策している。物語は、この星を管理することになったアトレイデス公爵家の息子ポールが、父を殺され、家を失うも、砂漠の民と力を合わせて復讐を果たそうとする姿を描いている。

日本でも映画ファンから信頼を集めるIMAXは、スクリーンと客席の位置・距離が考え抜かれた専用のシアター、IMAX独自のリマスター(DMR)を施された鮮明な映像と音響、それを実現する映写・音響設備が特徴だ。しかし、どれだけ立派な劇場を用意しても、そこで上映される中身が劇場のスペックを活かし切れるものでなければ、IMAXの本領は発揮できない。

本作は全編がArri社のIMAXカメラで撮影され、一部のIMAX劇場では視界を覆うような巨大スクリーンに画面比1.43:1の映像が出現する。撮影監督は前作に続いてグレイグフレイザーが担当。これまでにも『THE BATMANザ・バットマン-』や『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』などでラージフォーマットの撮影を手がけており、本作はIMAXのポテンシャルを極限まで引き出す作品と言えるだろう。

通常、多くの観客がIMAXに期待するのは巨大なスクリーンと、そこで描かれるアクションシーンではないだろうか。ビル数階に相当する大きな画面にモンスターや怪獣が出現したり、大規模なバトルが描かれるシーンは自宅や配信では決して再現できない。フィルムカメラの時代はIMAX撮影の機材が大きく、撮影や同時録音に制約があったが、近年はデジタル撮影が可能になり、『トップガン マーヴェリック』では小型のIMAX仕様カメラを機体にセッティングして空中で撮影が行われなど、機動性も高まっている。

デューン 砂の惑星PART2』でもアクションシーンの迫力は圧倒的だ。さらにこの惑星に棲む巨大なワーム(虫)の登場シーンは大きなスクリーンで観たい場面だ。IMAXでは威圧感、恐怖すら感じさせる大きさで目の前のスクリーンに巨大なワームが姿を現す。

その一方で、本作ではアクションやセット、キャラクターで画面を埋め尽くすのではなく、一面に砂漠が広がる光景や、何もない空間に登場人物がポツンと取り残されたように配置されるなど“余白”を強調した構図が数多く登場する。迫力だけでなく美しさも感じられる映像は、観客の視界を覆うようにスクリーンが広がるIMAXで観ると、圧倒的な“没入感”を感じられる。まるで砂の惑星に自らダイブしたような感覚。主人公ポールの戦いや緊迫した場面を“すぐそば”で観ているような感覚。通常の娯楽映画では観客は主人公や世界観に同化して物語を楽しむが、本作ではそれをさらに上回るイマーシブ(没入感)体験ができるはずだ。

ちなみに本作のスケールは壮大で、全編に渡ってデジタル技術が使われているが、撮影では可能な限り実物を撮影することにこだわっている。地平線の彼方まで砂と岩に覆われた空間を求めて過酷なロケ撮影が行われ、セットも衣装も細部まで作り込まれたものにカメラが向けられた。監督を務めたドゥニ・ヴィルヌーヴは語る。

「本作では大半が砂漠のシーンなので、高解像度映像と最大の没入感を得るために、すべてをIMAXで撮影することにした。グレイグIMAXフォーマットの達人だ。私たちは砂漠を小さなディテールまで捉え、アラキスの砂漠の上を歩いているような感覚をつくり出すために試行錯誤を重ねた。

私は映画監督として、できる限りカメラで撮影することを好む。しかし、このような映画ではできることに限界がある。でも、特殊効果監修のゲルト・ネフツァーのおかげで、その限界に対する挑戦ができた」

キャラクターを楽しみ、物語を楽しみ、その世界観を堪能できる『デューン 砂の惑星PART2』は、IMAXで観るとさらに“没入感”まで味わえる。今週末の先行公開も全国のIMAX劇場で多くの人が砂の惑星アラキスにダイブすることになるだろう。

『デューン 砂の惑星PART2』

3/8(金)、9(土)、10(日)3日間限定先行上映
3月15日(金)全国公開
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