短編映画制作プロジェクト『MIRRORLIAR FILMS Season5』の劇場公開日が5月31日に決定。横浜流星主演『MIMI』を始めとした全6作品のラインナップと、ティザービジュアル、新規場面写真が公開された。

【写真】6作品をチラリ『MIRRORLIAR FILMS Season5』場面写真

 『MIRRORLIAR FILMS(ミラーライアーフィルムズ)』は、クリエイターの育成発掘を目的とする短編映画制作プロジェクト。2021~2022年公開のSeason1~4では俳優、映画監督、漫画家、ミュージシャンなどが監督した36本の短編映画を発表した。2024年春より順次公開となるSeason5~8は、シーズンごとに地域に拠点を置き、「企業版ふるさと納税」の制度を活用した地域振興・教育事業として、官民一体の実行委員会の組成、市民参加の制作・上映、学生や市民を対象とした映像制作ワークショップを行い、多くの人々に映画制作と触れ合って貰う事を目的とした、一般参加型プロジェクトとなっている。

 この度、個性豊かな全6作品のラインナップが解禁。元理学療法士という特異な経歴で得た感覚と感性で劇映画・ドキュメンタリーを創作する榊原有佑監督作は、数々の映画やドラマに出演し、俳優として第一線で活躍し続ける横浜流星を主演に、プロジェクトのプロデューサーでもある阿部進之介、山田孝之森永悠希らを共演に迎え、山下幸輝がカメオ出演する「俳優は鏡をも騙す」という意味の本プロジェクト名「MIRRORLIAR」を探求し「鏡の奥を探る」をテーマとした『MIMI』。

 俳優をはじめ、コメディアン、画家、ミュージシャンなど多彩な分野で活躍する竹中直人監督作は、演技力とコンビネーションが話題のお笑いコンビ・スクールゾーンの橋本稜、俵山峻を主演に迎え、ちいさな喫茶店の一角で起こる壮大な群像劇を描いた『たてこもり』。

 漫画家、俳優とマルチに活動する大橋裕之監督作は、お笑い芸人として、作家として独自のクリエイティビティを表現する又吉直樹を主演に、山田孝之伊藤沙莉という豪華キャストを共演に迎え、ふと嗅いだ“におい”をめぐる物語『変哲の竜』。

 上記3本に加えて、一般公募の中から選出された、22歳のリトアニア人ピウス・マチュルスキス監督が競争社会で生きる若者の葛藤、そして垣間見える暴力性と残酷さを描き、2023年夕張国際映画祭短編部門にてグランプリを獲得した『NAIKU』、巖川虎太郎監督が、ちょっと変わった3人のとある1日を描き、池袋みらい国際映画祭にて特別審査員賞を受賞した『さようなら、あおいの赤いメガネンティティ』、下北沢映画祭にノミネーションされた十川雅司監督が友情と恋愛のはざまを描いた儚い恋物語『駆け抜けたら、海。』の計6作品が決定している。

 併せて、“鏡”をモチーフにしたティザービジュアル&全6作品の場面写真が解禁。「監督は鏡に変化を与え、俳優は鏡をも騙す。」という本プロジェクトのタイトルにちなんで鏡がモチーフになっており、今まで俳優、ミュージシャンなど、その職業に関わらず様々な監督が作品を生み出してきた本プロジェクトのように、まるで映画制作の固定概念を壊していくかのような、割られた鏡が印象的なビジュアルとなっている。

 また、各作品の場面写真も解禁に。列車の中で意味深にこちらを見つめてくる横浜流星の姿や、公園に佇む又吉直樹の姿などそれぞれバラエティに富んだ作品であることが窺え、各作品への期待が膨らむ写真となっている。

 また本作はJOYSOUNDの対象機種を導入の全国のカラオケルームで利用できるサービス「みるハコ」との連携により、本作の鑑賞やオリジナル映像配信を行う予定だ。

 映画『MIRRORLIAR FILMS Season5』は、5月31日公開。

※各監督からのコメントは以下の通り。

<コメント全文>

■『MIMI』榊原有佑監督

本作はミラーライアーフィルムズ特別制作作品ということで、折角であればストレートにプロジェクトのコンセプト「俳優は鏡をも騙す」をテーマに脚本を書きたいと思いました。このコンセプトに自分なりの解釈を加え、挑戦的な撮影・演出で撮影に臨みました。

完成した作品は短編映画らしく、鋭利で、かつ奥行きのあるエンターテインメント作品になったと思いますし、主演の横浜流星さんが15分の尺の中で見せる表情の移り変わり、佇まいの変化なども注目していただきたいです。

2度、3度観ることで新しい発見や解釈ができるような構成にもなっているので、ぜひ何度もご覧になってほしいと思っています。

■『たてこもり』竹中直人監督

いつか【ミラーライアーフィルムズ】からお声がかからないだろうか…と思っていたので今回参加することが出来て本当にうれしく思っております。きょねん7月、数十年ぶりに秋田を訪れ、ロケハンをしました。久しぶりの秋田はとても素敵で、ロケ場所は次々と決まっていきました。ところが、撮影する予定だった8月、秋田が災害に見舞われ撮影は中止。非力な我々は何も出来ず、またいつか秋田ロケが出来るようスタッフ、キャストが集まり秋田の映画関係者の方々にビデオメッセージを送りました。そんな中、秋田市の映画関係者の方々が力を尽くしてぼくたちを迎え入れてくださったのです。大変厳しい状況の中、ぜひ映画を…と集まって下さった秋田のスタッフひとりひとりに深く感謝しております。【たてこもり】はどくとくな映画です。どくとくなのでちょっとどくとくな気持ちになってしまうかも知れません。「どくとくな映画だなぁ…」と思って観てくださるととてもうれしいです。「さぁ、どくとくな世界へ、いらっしゃぁ〜い。」

■『変哲の竜』大橋裕之監督

普段漫画を描いている時は孤独な作業なので、撮影中は多くの人が関わる映画制作の大変さと楽しさを味わえる刺激的な毎日でした。

緊張して「スタート」や「カット」の掛け声すらも上手く言えていなかったと思いますが、関わってくださった皆様のおかげで無事完成しました。

とんでもなく素敵な方々に出演していただいたのに、とんでもなく地味なストーリーの映画です。地味に面白いと思うのでぜひご覧ください。

■『NAIKU』ピウス・マチュルスキス監督

こんにちは! 今回はNAIKUを選んでいただけたこと、非常に嬉しく光栄に思います。本作がプログラムにとって興味深い一本になることを願っています!

これは、痛みと興奮を伴う奇妙なゲームについての物語であり、私の苦い記憶を元にしています。昔、強豪チームのバスケ選手として、リトアニアの小さな町で大会に参加した時のことです。その際に宿泊した質素なホテルには、ボールだけのビリヤード台がありました。当時13歳の少年達は集団の王になろうと、彼らが思いつく限りの凶暴なゲームを編み出したのです…。私を魅了した、興奮と残酷さの両方を解き放つ競争心。この感覚をNAIKUでお伝えできると嬉しいです。

■『さようなら、あおいの赤いメガネンティティ』巖川虎太郎監督

初めまして、監督の巖川虎太郎です。小学校の卒業文集に「映画を作りたい」と書いて10年ほど経ちました。今回このような機会をいただき、小学校6年生の自分も、フリーター2年生の自分も大変喜んでいます。

本作は、その辺に居そうで居なさそうな、でもどこかに居そうな3人の映画です。そんなどこかの誰かの、ヘンテコな1日を覗き見しているような、そんな感覚で楽しんでいただけたら幸いです。

■『駆け抜けたら、海。』十川雅司監督

数年前の夜、今でも忘れられない瞬間を見ました。周りを気にせず、車道の真ん中を走る2人の同性カップルの後ろ姿です。自分たちが世界で1番幸せと言わんばかりに、大きな笑い声を上げながら、手を繋いで、夜の街を駆けていました。ほんの一瞬だったけど、とても美しく、2人が世界を楽しむ様子に、強い羨ましさを感じました。いつかあの後ろ姿を映画にしたいと思い続け「駆け抜けたら、海。」が生まれました。

海は美しくもあり、怖くもある。そして未知であり、可能性です。私たちはまだ見ぬ未来に向かって今を駆け抜けています。幸せで美しい瞬間もありますが、同時に辛くて残酷な瞬間も存在します。しかし、それでも人生は美しいものだと僕は信じています。そして、人が人を好きになるという現象に僕は強く惹かれるのです。既存の枠組みなど一切関係なく、その現象の美しさは絶対です。理解はできなくても、共感はできる。そこに新しい未来が生まれるのだと思います。

映画『MIRRORLIAR FILMS Season5』ティザービジュアル (C)MIRRORLIAR FILMS PROJECT