川村元気によるベストセラー恋愛小説を映画化した『四月になれば彼女は』(3月22日公開)の完成披露試写会が3月7日にイイノホールで開催され、佐藤健長澤まさみ森七菜、ともさかりえ、山田智和監督が登壇。佐藤と長澤が、共演の感想を語った。

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10年にわたる愛と別れを壮大なスケールで描く本作。婚約者との結婚を控えた精神科医の藤代俊役を佐藤、結婚直前に謎の失踪を遂げる藤代の婚約者、坂本弥生役を長澤、藤代が10年前に交際していた初恋相手であり、世界中を旅しながら藤代に手紙を送る伊予田春役を森、藤代の同僚であり、働きながら子供を育てるシングルマザー、小泉奈々をともさかが演じている。この日のイベントの応募総数は16000通を超え、当選倍率は70倍という注目度の高さをうかがわせた。

歓声と共に迎えられた佐藤は、「映画が完成して、いち早く観たいと思ってくれて実際に足を運んでくれることが、本当にうれしいです」としみじみ。撮影を終えてから丸2年が経つそうで、「感慨深いです」と映画のお披露目を喜んでいた。もともと原作を読んでいたという佐藤だが、「『健で当て書きをした。健がモデルだ』みたいなことを言っていました」と原作者の川村からの言葉を明かす。本作で長編映画に初めて挑戦した山田監督は「佐藤さんには、脚本の段階から一緒に打ち合わせしてもらった。原作への想いが熱い。佐藤さんならではの目線やアイデアも脚本に組み込ませていただいた」と本作には佐藤の存在が欠かせなかったと感謝していた。

佐藤と長澤はこれまでCMでの共演はありながらも、映画では初共演となった。山田監督が「長澤さんは座長気質。ある種、男前というか、みんなを引っ張ってくれる。現場全体の『行くぞ!』という空気を作ってくれる女優さん」と称えると、佐藤も「完全に、長澤さんが現場の空気を作ってくれていた。番長のようにみんなを引っ張ってくれた」と信頼しきり。長澤は「弥生のイメージとかけ離れちゃうけど、大丈夫ですか?」と笑顔をのぞかせていた。

さらに佐藤は「今回、本当にいいところをたくさん知ることができた。長澤まさみという人の魅力を、僕は知らなかったんだと思い知らされた。共演して本当にすてきな人だと思った」と撮影を振り返って惚れ惚れ。「(長澤から)『これは宣伝で言わないでね』と言われるんですが、言います」とお茶目に切りだした佐藤は「すごく大事なシーンがあって。僕はとてもすばらしい、すてきなお芝居だなと思ったけれど、本人は納得いってなさそうで。『昨日、家で練習した時はもっとうまくできたのにな』とか言うんですよ。家で練習!?長澤まさみが!と思って。大好きになりました」と努力家な一面を知ってもっと好きになったという。

「恥ずかしい」とはにかんだ長澤は、「CMで共演した時からのお知り合いですけれど。ちょっとかっこよすぎて」と素直な印象を吐露。ともさかも「わかる。本当にね、すばらしい彫刻を見ているよう」と同調すると、佐藤は「そのトーンで言うのはバカにしているのよ」と照れ笑い。長澤は「恥ずかしくなっちゃって、ちゃんとしゃべれなくて。付き合いづらい人なのかなと思っていた」と撮影前はあまり会話を交わしたことがなかったのだとか。「でも今回は恋人役ということもあって、関係性を築きたいという想いもありましたし、一緒にお芝居をするのも楽しみでした。関係性を作っていこうと思って現場に行ったら、思っていた以上にフランクで、本当はとてもいい子だった」と佐藤の魅力について続けつつ、「サービス精神も旺盛だし、プロデューサー気質なところもあって。作品に対して情熱がある方。一緒にお芝居をしていても、私の不器用な姿にちゃんと反応して、寄り添って受け止めてくれる。人を受け入れることができる器の大きい人。こんな人だったんだというのは全然知らなかった。過去がすべて塗り替えられて、とてもすてきな俳優さんだなと思った。『また一緒に作品をやりたいね』という話をした思い出があります」とお互いに撮影時から再タッグを望むほど、いい関係性を築けたと話す。

森は「大人になるための1本のよう」とキラキラとした部分だけではなく、恋や愛のあらゆる側面を映しだした作品だと表現していたが、佐藤は「恋愛のすべてが詰まった映画になっていると思う。恋愛って答えがないことだからこそ、この映画を観て考えるきっかけにしていただいて。皆さんだけの答えを見つけていただけたら」と呼びかけていた。

取材・文/成田おり枝

長澤まさみは、「カッコよすぎて、こっちが恥ずかしくなる」と佐藤健の印象を語った