Fortniteフォートナイト)」を筆頭に多数の人気オンラインゲームを手掛けるEpic Gamesは6日、iOS版「Epic Gamesストア」のEU限定での提供再開に関する進捗を発表し、アップル社が同社の保有する開発者アカウントを停止したことで、計画が難航していると明かした。

「Let's go!」と乗り気だった数週間後にアカウント閉鎖…発表の流れ

この計画は本年1月26日に、EU圏内で3月より施行予定の「デジタル市場法 (DMA)」への対応として、iOS端末に新たなアプリ提供の枠組み「代替アプリマーケットプレイス」を導入するというアップル社の発表を受けて、同日に「フォートナイト等のタイトルをEU限定で復活させる見通しを立てている」としてEpic Gamesが公表していた。

Epic Gamesは本計画を遂行させるための下準備として、アップルのプラットフォーム上に新たな開発者アカウントを設け、アップル社はこれを承認したことを報告していたものの、今月6日に公開された発表文によると「驚くべきことに」当該アカウントが停止されたことが明らかになり、「これはDMAの重大な違反であり、AppleがiOSデバイスでの真の競争を許可するつもりがないことを示している」と強い抗議を行っていた。

以降、文書では同社が開発するゲームの統合開発環境Unreal Engine」とアップル社との関わりとして「Appleとは継続的な契約関係を結んでいる」としてこれまでの協力関係を挙げながら、今回の決定が通達された経緯をメールのやり取りのスクリーンショットとともに綴っている。その上で「私たちは、ヨーロッパおよび世界中のiOSデバイスに真の競争と選択肢をもたらすために戦い続ける」と引き続き提供に向けて模索する姿勢を示していた。

フォートナイトはアメリカ・Epic Games社が運営するオンラインゲームとして、全世界で4億人以上の登録プレイヤーを有するヒットタイトル。ローンチ以降、スマートフォンやPC、PlayStation等への移植も行われ、多様なゲームモードが人気を博していた。しかし、2020年にEpic Games社がiOS版に導入した独自決済の仕組みが、App Storeのガイドラインに違反しているとした上で同タイトルのアプリをストア上から削除されており、本年初頭に至るまで民事係争が続いていた。

なお、「デジタル市場法 (DMA)」とアップルを巡っては、3月よりEU圏内向けに提供されるiOSやApp Storeにおいて「代替アプリマーケットプレイスの導入」や「決済手段の一部開放」「ブラウザのレンダリングエンジン強制開放」などの変更や、アプリ内課金の大幅な手数料減額が行われる予定。また、「100万インストール以降、1インストールごとに0.5ユーロの支払い義務」が発生する新たな手数料制度「CTF」の敷設も発表されており、開発者や大企業のアプリパブリッシャーからは依然として厳しい声も寄せられている。

アップルがEpicの開発者アカウントを停止 “iOS向けフォートナイトの復活”計画は難航か、声明文で強く抗議