女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「義実家・家族」ジャンルの人気記事です。(初公開日は2020年3月15日 記事は取材時の状況)


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 妊娠・出産をきっかけに精神的・肉体的な嫌がらせや不当な扱いを受けるマタニティーハラスメント。「マタハラ=職場で受けるもの」というイメージがあるかもしれませんが、義理の両親や親族から受ける家庭内マタハラに悩んでいる女性も多いといわれています。



写真はイメージです(以下同)



 今回は20歳のときに授かり婚で結婚をした相原ユミさん(仮名・30歳)に、義母から受けたマタニティーハラスメントについて聞いてみました。


◆義実家の離れで暮らすことに
「高校卒業後に進学した美容専門学校の在学中、当時付き合っていた夫との子供を妊娠していることが分かりました。専門学校は残りわずかだったので、どうにか卒業することはできましたが、内定していたまつエクサロンを辞退して結婚することに。


 義母は結婚には反対はしなかったものの、実家の離れの家で暮らすという条件を私達に出してきました。夫は2歳年上で飲食メーカーに勤務していたのですが、まだお給料が少なかったので義母の要求を飲むことに。これが出産までの間ひどい嫌がらせを受けることになるとは、私も思っていませんでした」


◆妊婦に雑用を押し付ける義理母
 夫の義両親は離婚していたため、実家には義母と夫の兄弟が住んでいました。



「義実家の離れに引っ越してから、義母に頻繁に実家に呼び出されるようになったんです。そこで命じられたのはなんと家事と大量の雑用でした。夫の弟妹はまだ学生だったので実家に住んでいるのですが、3人もいるのでとにかく洗濯物や洗い物が多かったんですよね。それを弟妹達がいない昼間に呼び出されて洗濯をするようにと義母に言われたんです。


『うちに嫁に来るんだったら、それぐらいのことはやってくれないと』と義母は言っていましたが、このとき私はすでに妊娠6カ月。安定期に入っていたとはいえ、カゴに入った大量の洗濯物を階段で何往復も運んで、さらに布団干しや食材の買い出しまでやらされるようになったんです」


 他にも義母のお酒の買い出しや真夏の庭掃除など、義実家の家事をほとんど任されるようになったというユミさん。もっとも、義母側は嫌がらせではなく「嫁なら当然」と思っていただけかもしれません。


 しかし、むちゃぶりは、これだけではありませんでした。


◆出産10日前に親戚への挨拶回りを…
 臨月が近づきお腹がだいぶ大きくなってからは少しマシになったものの、それでも実家の家事をしていたユミさん。そして出産予定日の10日前、いつ陣痛が来てもいいように準備をしていると義母がとんでもないことを言い出します。



「なんと明日から義母の親族に結婚の挨拶回りに行こうとのこと……。それも車で4時間以上かかる場所にですよ? これにはさすがの夫も反対しましたが、義母は『行けるでしょ』『出産前に挨拶しないってどういうつもり?』の一点張り。


 結局、担当医師から『無理に決まってるでしょう』と言ってもらってどうにか義母を説得したのですが、義母は納得いかない様子で『産まれたらすぐにでも行くから』と吐き捨てられましたね…」


 それから約1週間後、ユミさんは無事に男の子を出産。子供が産まれてからは義母の嫌がらせも治まったといいますが……。


◆義妹が出産してまた当たりが強くなった



「でも、それも長くは続きませんでしたね。その後、20歳の義妹も授かり婚をして子供が産まれので、もうそっちの子にメロメロで(笑)。もちろん、うちの息子への愛情も変わらなかったのですが、私への当たりは出産前に戻っていました。


 でも、いま思えば義母も早く結婚したから、当時38歳とすごく若かったんですよ。長男である夫のことを1番可愛がっていたので、息子を取られた嫉妬心から私に強く当たっていたんじゃないかとも思いますね。もし私も長男が22歳で結婚すると言い出したら、義母の気持ちも少し分かるかも……と思うんですよね」


 現在は義実家の離れから引っ越し、電車で1時間ほど離れた新居で暮らしているユミさん。今では義母も落ち着き関係は良好になったといいますが、当時受けた仕打ちは今でも納得がいかないとか。どんなハラスメントでもそうですが、ハラスメントをする側は忘れていても受けた側はずっと覚えているものなのです。


<文/結城>


【結城】男女観察ライター。鋭い視点で世の男女を観察し、 夫婦問題からイタい火遊びまで、幅広いエピソードを華麗に紡いでいく。Twitter:@yuki55writer