南コルドファンの村で、女性器切除(FGM)や児童婚のような伝統的な慣習が有害であることについて学び、コミュニティの人々に伝えるハリマさん。(スーダン、2023年11月撮影) (C) UNICEF_UNI511472_Awad

【2024年3月8日 ニューヨーク 発】

ユニセフ(国連児童基金)が新たに発表した報告書によると、女性器切除FGM)を受けた上で生存している女の子と女性(サバイバー)は、現在世界に2億3,000万人以上います。8年前に発表されたデータと比較すると、サバイバーの総数は15%、つまり3,000万人増加しています。

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3月8日の「国際女性デー」に発表されたこのデータは、FGM撲滅に向けた進展の足取りは依然として鈍く、特にFGMが最も一般的に行われる地域では人口が増加する速度に遅れを取っており、FGMの慣習を2030年までに撤廃するという国連のSDGs持続可能な開発目標)の達成にはほど遠いことを示しています。2030年までにFGMを無くすには、世界の減少スピードを27倍に加速する必要があります。

ユニセフ事務局長のキャサリンラッセルは次のように述べています。「女性器切除は、女の子の身体を傷つけ、未来を暗くし、命を危険にさらします。より多くの女の子がより低年齢で、この行為を受けさせられるという憂慮すべき傾向も見られます。例えば、5歳の誕生日を迎える前に受けさせられている女の子も多くいるのです。これでは、介入できる機会がさらに減ってしまいます。私たちは、この有害な慣習を終わらせる取り組みを強化する必要があります」

新報告書「女性器切除FGM):世界的な懸念(原題:Female Genital Mutilation: A Global Concern)」は、女の子と女性の人権を侵害し、身体的、心理的、社会的に消えることのない影響を残す可能性のある行為であるFGMに関する最新の統計をまとめています。報告書によると、最も多く行われているのはアフリカ諸国で1億4,400万件、次いでアジアで8,000万件、中東で600万件です。また、世界各地の小規模なコミュニティや難民・移民先となっている国々でも、多くの事例があると推定されています。

FGMの慣習が世界的に広まっていることはありませんが、FGMを実践している国で生まれる女の子の数が、世界の他の地域と比べて急速に増加していることが分析から明らかになりました。つまり、FGMを未然に防止する今後の取り組みは、リスクにさらされている人口が多いところに向けなければならないということです。

この分析はまた、FGMを受けたサバイバーの10人に4人が、脆弱で紛争の影響下にある場所で暮らしており、そこも人口増加が著しいことを示しています。この組み合わせの状況では、教育や保健サービスに負荷がかかり、リソースが危機対応に向けられ、ジェンダー不平等に取り組むプログラムが妨げられ、FGMに立ち向かうことが難しくなります。ソマリアスーダンのような地域は紛争と人口増加の渦中にあり、他の緊急課題がある中で、広範囲に行われているFGMとの闘いという難題に直面しています。エチオピアは着実に前進を続けていますが、気候ショック、疾病、食料不安により、女の子を支援するプログラムを確実に提供することが難しくなっています。

しかし報告書は、前進は可能であり、軌道に乗りつつあることも明らかにしています。過去30年間の進捗の半分は、ここ10年間に遂げたものです。例えば、ケニアでは、実施率が中程度から低程度に下がりました。シエラレオネでは、高程度からやや高程度に低下、エジプトでは以前のほぼ普遍的に実施されているレベルから改善されました。

FGMをめぐる意識も変化しています。報告書によると、FGMの慣習があるアフリカと中東の国々の約4億人、つまり人口の3分の2がFGMに反対しています。

FGMを根絶するためにユニセフは、リーダーや地域社会に対し、ジェンダーによる差別と不平等をなくす努力を倍加すること、女の子のためのサービスに緊急に資金を投入すること、女の子の自発的行動と女の子がアセットを持つことを奨励すること、法律と政策において女の子の権利を優先すること、質の高いデータを通じてFGMの実施状況をよりよく把握することを呼びかけています。

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■追記

ユニセフは、2008年に開始した共同プログラムを通じて17カ国で女性器切除の根絶に取り組んでいます。このプログラムは、被害を受けている地域社会における社会規範の転換を図るとともに、各国政府と協力して実行可能な国家的対応体制を整備することを目指しています。

ユニセフについて

ユニセフUNICEF国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/

ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

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