韓国球界を代表するスターであるイ・ジョンフ。その意識の高さには脱帽させられる。(C)Getty Images

 相当な決意をもって、韓国球界の至宝は海を渡った。今オフにメジャーリーグの名門ジャイアンツと6年1億1300万ドル(約163億8500万円)の大型契約を締結したイ・ジョンフだ。

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 アジア人野手では、2022年のオフにボストン・レッドソックス吉田正尚が締結した5年9000万ドル(約126億円)の巨額契約を超える史上最高のメガディールを手にしたイ・ジョンフ。今春のオープン戦では、その期待に見合うだけのアピールを続け、現地時間3月7日時点で打率.429、1本塁打、3打点、長打率.714、OPS1.214と好成績をマーク。課題とされていたパワーも存分に発揮している。

 元中日ドラゴンズで、韓国球界のレジェンドであるイ・ジョンボム氏を父に持つイ・ジョンフ。そんなサラブレッドに対する期待は、日増しに大きくなっている。だが、彼はそうした周囲の重圧も意に介していない。韓国メディア『MHN Sports』のインタビューに応じた25歳は、「僕はただ、毎日、毎試合ごとに最善を尽くしてやろうとするだけ。自分に注がれるマスコミやファンの関心に対してプレッシャーもないです」と語り、自身の成功に対する考えを解いた。

メジャーリーグは一度も経験したことがなく、まだ分かっていない部分もあると思う。なので、僕がこれからどれだけの成績を残せるかは分からないです。ただ、今、メジャーリーグには多くの日本人選手がいる。その現状を見て、この舞台でプレーしている僕のような韓国人選手が上手くやってこそ、これからもっと多くの韓国人選手も進出できるという考えがある。だから責任感を持って頑張ろうと思います」

 ジャイアンツとの契約直後に母国メディアの取材で「挑戦しに行くのだから、いつか韓国に戻ることを考えるのは贅沢だと思う。なんとか死に物狂いで、生き残るという気持ちで適応したい」とも語っていたイ・ジョンフ。自分自身だけでなく、母国の後輩たちのために道を切り開こうとする姿勢は、まさにあっぱれである。

 なお、ジャイアンツは現地時間3月29日に行われるパドレス戦でレギュラーシーズンの開幕を迎える。ダルビッシュ有松井裕樹が所属する日本でも知られたチームを相手にイ・ジョンフがいかなる結果を残すか。いきなり興味深い試合となりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

「メジャーには多くの日本人選手がいる」韓国球界の至宝イ・ジョンフが語った“成功”と死に物狂いで挑む“覚悟”