ひかり味噌の2022年度の売上は190億円。10年前の125億円から65億円も伸長している。

「10年前に営業部門にユニット制を導入した。その結果、最後に残る利益が可視化され、全営業部員が収支や運営に強い目的意識をもって仕事に取り組めるようになり売上を大きく伸ばした」。入澤将謙営業本部本部長は組織管理形態の変更が成長を促したと説明する。ユニット単位で物流費や保管料、間接経費など全てを管理して、営業実績の詳細が分かるようにしている。

その一方で、ひかり味噌ではユニットや部門を超えた「ワンチーム」としての取り組みも活性化しており、営業活動に活かされている。2023年に新発売した『CRAFT MISO 生糀』は、塩分控えめでフルーティーな香りが特徴のそのままでもおいしく食べられる新タイプのみそとして売上が伸長している。「昨年の春から夏に実施したキャンプ場やスポーツイベントでの『CRAFT MISO 生糀』試食・サンプリングには営業部員も参加し、消費者のリアルな声を聞くことができた。これらのフィードバックは使い方やレシピ提案など日々の営業活動に反映されている。当社史上過去最速の配荷進捗は、その営業活動の結果とみている」。

『CRAFT MISO 生糀』は、付加価値型みそとしてロングセラー商品である「円熟こうじみそ」や有機みそ「こだわってます」に続く第二、第三の基幹ブランドとして育成していく。今期の「CRAFTMISO 生糀」売上は、1.5倍を目標としている。

2024年の春から初夏にかけても、さまざまな試食・サンプリングイベントの実施を予定している。「お取引先である流通のお客様を長野県の工場にお連れすることも重要な営業活動の一環として行っている。」営業担当が工場のスタッフとタッグを組み、細かな説明を加えながら製造現場をご案内する。

「おいしさと安心安全を追求する当社の徹底した品質管理体制、省人化省力化を最大限追求した生産設備、CO2フリー電気『信州Green でんき』を採用して温室効果ガスの削減と省エネルギー化を実現した熟成庫『未来蔵 MIRAIZO』など。これらの製造現場を見学いただくことで、当社の食品安全体制やSDGsに向けた取組みをご理解いただき、未来志向の提案ができている」と語る。

〈経営者意識で視野を広げられる、現場判断の権限を移譲、スピード感を上げる〉

「ユニット経営は経営者意識で視野を広げられるので、いろいろな目が養われて育つ。上長に上がる過程においても、コスト管理意識と数字に強くなるので無駄を省ける」。入社間もない社員でも、利益を意識した仕事のやり方を学べる環境が整っている。

また、現場で判断できる権限を与えている。「何でも本部長の許しを得なければ行動に移せないのでは、チャンスを逃してしまう。スピード感をもっと上げて、お客様の声にどんどん応えていく必要がある」と語る。営業本部では上長との1対1の面談を頻繁に実施しており、問題がありそうであれば未然に防げる体制を設けている。

同社は、年功序列がなく男性女性も関係ない。「20代でも課長職になれる。本人のやる気を尊重しており、自分の個性を活かしてほしい。アグレッシブに攻めて、とにかく仕事を楽しんでほしい」と付け加える。

営業本部は、今年の目標として「Back to thebasics」と「Evolution」の2つを掲げている。「原点回帰としてみその基礎基本をしっかり学びつつ、迅速な意思決定と行動での進化によって新しいことを取り入れていく。現状不満足でいきたい。今期の高い予算を達成し、大きな記録と記憶に残る一年にしたい」と、更なる成長を宣言した。

〈大豆油糧日報2024年3月8日付〉

ひかり味噌営業本部・入澤将謙本部長